ソニー製の「C413S」(2001年5月の記事参照)以来、約3年ぶりに登場するBluetooth搭載携帯電話が東芝の「A5504T」(3月1日の記事参照)。
携帯への搭載がBluetooth普及の足がかりになるといわれる中(3月5日の記事参照)、A5504Tで「どんなことができて、どんな可能性があるのか」に注目が集まる。
東芝の商品企画第一部で主務を務める今村誠氏に、A5504TのBluetooth機能について聞いた。
A5504Tは、前モデルの「A5501T」(2003年11月の記事参照)にBluetooth機能と英和・和英辞書機能などが追加された端末。A5504Tでは右ソフトキーがBluetooth機能に割り当てられている。
Bluetoothがなかなか普及しない中でよく交わされたのが、「鶏が先か、卵が先か」という議論。Bluetoothは“接続先があってこそ”の機能のため、“接続相手が出てくるまでは……”とみんなが及び腰になり、お見合い状態になっていたのも普及が遅れた理由の一つに挙げられる。
そうした中、携帯電話へのBluetooth搭載の決め手になったのが「道交法の改正試案が出たこと」だと今村氏(2003年12月の記事参照)。車内のハンズフリー通話のニーズが見えてきたことが、Bluetooth搭載につながったという。
「“どんなプロファイルを入れるか”ではなく“どんな使い方ができるか”を考えた」(今村氏)という通り、Bluetooth機能の用途は明確でシンプル。発表時に挙げられたのは 1)G-BOOK(1月13日の記事参照)対応のカーナビとの連携によるハンズフリー通話 2)Bluetooth対応PCおよびPDAでのダイヤルアップ接続 3)Bluetooth対応プリンタへのデータ送信 の3つだ。
ただA5504Tは、端末から写真やアドレス帳などのデータ送信はできるが受信には対応していない。「携帯同士で何かをさせるのは、自分と相手の端末が2台必要になる。そうした使い方にはあまり重きを置いていない」
相手先機器への接続は、最初に一度登録を行ってしまえば、あとは接続を意識させることはないと今村氏。例えばG-BOOK対応カーナビでのハンズフリー通話も「携帯を持って車に乗り込み、エンジンをかけると勝手にカーナビに携帯がつながる。電話がかかってくるとカーナビ側の機能で電話を受けたり話したりできる」という簡単さ。A5504TがBluetooth経由のデータ受信に対応していないため一方通行になるが、端末内のアドレス帳データをカーナビ側に送信することも可能だ。
ほかの機器との接続も基本的には同様だ。「PCのダイヤルアップも最初に一回、接続機器として登録しておけば、あとはダイヤルアップしたいときにPC側からダイヤルアップ接続操作すればつながる。携帯をポケットやかばんの中にいれたままでもインターネットにアクセスできる」。
また、東芝のBluetooth対応ダイナブックには、アドレス帳データや写真データの送信も可能だ。「(ダイナブックには)Bluetooth設定というツールがあり、それを使えば各種ファイルをどのフォルダやアプリと関連付けるかの設定が行える。PC側で設定しておけば、携帯側のアドレス帳データをPCのOutlookに送信して、Outlookからデータを閲覧できるようにしたりできる。写真データも任意のフォルダを設定すれば、その中に格納される」。
なお、東芝製のPocket PC、「GENIO e」シリーズ+Bluetooth SDカードとA5504Tとのダイヤルアップ接続やデータ送信に関しては、「現在検証中。対応する方向で進めたい」(今村氏)としている。
他社製のBluetoothデバイスについては、auの接続機器認定プログラム「au FITS ALL PROGRAM」を通して、参加企業が対応を検証することになる。動作保証されたデバイスについては「auサイト内のA5504T製品ページ内で順次アナウンスする予定」(KDDI広報)。
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