ドコモの新FOMA 900iシリーズの最大の魅力は、有名ゲームがそろった「パワーアップiアプリ」だ(2月5日の記事参照)。しかし、各機種でアプリ実行性能が大きく違うのはドコモ端末の常。恒例のiアプリ速度のベンチマークをお届けする。
※3月26日の初出時点でのグラフィックス描画集計結果に誤りがありました。本文・グラフについて、正しい値に基づいて加筆・修正してあります。読者の皆様、関係各社にお詫び申し上げます。
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ベンチマークテストは、iアプリ(Java)の各命令を実行させ、かかった時間を計ることで行った。テスト項目は大きく3種類ある。数値演算の速度を測る「Java VM」、画面描画の速度を測る「グラフィックス」、メモリとのデータのやり取りの速度を測る「I/O」だ。
900iでも各機種で得手不得手が大きく分かれる結果となった。バランスがよく、特にゲームで重視されるグラフィックス描画の値が良かったのが「F900i」だ。そしてJava MVの値で最速、グラフィックスもF900iに次ぐ「SH900i」が優秀。
ただし「F900i」は、3月26日時点でもファイナルファンタジーが動作しない。「機種依存部分の調整に時間がかかっており、現在のところ対応の目処が立っていない」(スクエア エニックス)ということだ。速度だけでは評価が難しい部分があることを示している。
今ひとつふるわなかったのが「N900i」。これまで特にグラフィックス描画が高速で“iアプリが高速”という定評のあったパナソニック モバイル製の「P900i」も、今回は他機種の後塵を拝する形になった。
Java VMの速度は、数値演算を中心としており、PCでいえばCPUの速度に当たる。コンピュータとしての基本性能の違いがここで分かる。
Java VMのテストで最速をたたき出したのは「SH900i」だ。アプリCPUを追加し、大幅速度向上をうたうSH900iだけに(1月28日の記事参照)、505iに続きJava VMトップの座を守った。
試作機ながら振るわなかった「D900i」は、「メソッド呼び出しが特に遅い」(テストを行った技術者)。演算性能などでは、他機種と遜色ない結果を出している。
Java VMとは一転して、SH900iがふるわなかったのが「I/O」。最速の「F900i」は、「スクラッチパッドのread/writeが特に速い」(技術者)特徴がある。
スクラッチパッドは、iアプリがデータを保存しておく領域。ゲーム中のセーブ/ロードなどのほか、プログラムの作り方によっては各所のパフォーマンスに影響が出る。
ゲームの動作で最も重要なグラフィックス描画では、「F900i」と「SH900i」が、他機種を一回り上回る結果を出した。
このテストでも「D900i」が振るわなかったが、「lock/unlockが非常に遅い」(技術者)ため。チューニング次第で発売時には改善されている可能性もある。
エイチ・アイ製の3Dポリゴンエンジンの性能は、今やiアプリゲームでも使われるなど、iアプリ性能の重要な指標となっている。
3D描画速度も計測したところ、こちらも大きな差が見られた。最速は「F900i」だ。それに「N900i」「P900i」「SH900i」と続く。
通称「パワーアップiアプリ」と呼ばれる900iシリーズのJavaは、仕様としては「DoJa3.5」となる(ドコモ資料参照)。プログラム本体であるJARの容量が100Kバイト、保存領域であるスクラッチパッド容量が400Kバイト、合計で500Kバイトまで拡大された。
よく言われるこの容量だけでなく、注目したいのがヒープ領域の容量だ。iアプリが巨大になるにつれて、ヒープ容量の大小が問題になってきている。505iシリーズでは2000K〜4000Kバイトだったが、900iシリーズでは5000K〜8000Kバイトと倍増している(Javaヒープ/ネイティブヒープ合計)。
機種 | iアプリ保存件数 | ヒープ容量(Javaヒープ/ネイティブデータヒープ、Kバイト) |
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P900i | 10〜200件 | 2800/4900 |
F900i | 100件 | 2048/3584 |
SH900i | 10〜100件 | 8000 |
N900i | 10〜200件 | 3000/4700 |
D900i | 未定 | |
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