900iは全機種ツインCPU構成へ

» 2004年01月28日 16時57分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 FOMAの普及機ともいえる900iシリーズでは、5機種すべてがツインCPU構成を取った。そしてF900iは、F2102Vから引き続き「Symbian OS」を採用している。

端末名 F900i N900i P900i SH900i D900i
OS Symbian OS 従来と同じリアルタイムOS リアルタイムOS iTRONベースのリアルタイムOS
アプリCPU OMAP OMAP OMAP 名称非公開 M32R系
 D900iは、画像処理用のコンパニオンチップも別途積んでいる

目的の一つは開発期間短縮

 ソフトウェア開発が複雑化し開発期間が長期化していく中で、解決策として挙げられていたのは、ツインCPU化と汎用OSの採用だ。

 ツインCPUとは、通信用のCPUとアプリケーション(メニュー動作も含む)用のCPUを別個に持つ構成のこと(2002年7月の記事参照)。50xなどの2G端末の多くは、通信処理用のCPUの余った演算能力を利用して、メニューなどの処理やJavaを実行させていたが、3Gへの移行を機に、ツインCPU構成を取るメーカーが増えている。

 通信CPUとアプリCPUを切り分けることで、それぞれを別個に開発できるのが最大のメリット。通信側の完成を待つことなくアプリケーション開発を進められるほか、一方の仕様変更が他方に影響を与えない点も重要だ。

 アプリCPUは、DSP分野に強いTexas Instruments製のOMAPを採用したメーカーが多い。このジャンルには、ルネサス テクノロジの「SH-Mobile」やIntelの「XScale」も名乗りを挙げているが、3GではOMAPがシェアを固めつつある。

 通信CPU部は、開発コスト低減のため、共同開発も進められている。NECとパナソニックは、早くからW-CDMA向けの通信チップを共同開発しており(2002年2月の記事参照)、2102Vシリーズから成果を利用している。両者のチップはツインCPU構成を前提としており、当初からOMAPを候補として想定していた。

 三菱電機は東芝と3G端末のプラットフォーム開発で提携しているが(2002年3月の記事参照)、具体的な成果はまだ出ていない。D900iでも、通信チップは三菱独自のものを使っている。

ツインCPUだからできたPDF、Excelファイル閲覧

 具体的なCPU名は不明だが、ツインCPUによって大幅に速度が向上したのが「SH900i」だ。50xなどPDC端末ではシングルCPU構成を取ってきたシャープだが、SH900iではアプリCPUを追加した。

 これによって実現したのが、PDFやExcel、Word、PowerPointなどのPCファイルを携帯電話上で閲覧できる「ドキュメントビューワ」機能だ(2003年12月の記事参照)。

 シングルCPU構成のPDC端末の場合、CPUコアはARM9で100MHz前後のパフォーマンスが一般的。PDF閲覧など重い処理は「PDC端末ではやっぱりできないと思う」(シャープ)。

 「せっかくあるハードウェアを使い、2.4インチのCGS液晶で表示する」(シャープ)。この発想が、ドキュメントビューワの搭載に結びついた。

Symbian、Linux……汎用OS導入はもうしばらく先

 ツインCPUは一般的となりつつあるが、汎用OSの導入はF900iのみに留まった。

 携帯電話のOSは、多くがiTRONをベースとしたリアルタイムOSだといわれている。組み込み機器では、緊急の割り込みに対応できることを保証したリアルタイムOS(RTOS)を使うのが一般的だが、各社がカスタマイズを施していることもあり、開発者が豊富とは言い難い。

 また携帯のOSは、きれいなレイヤー構造になっているとは言い難く、OSを通さずに直接ハードを制御してしまうアプリケーションも多々利用されているという。これがしばしば携帯電話でもバグが起こる原因として指摘されていた。

 Symbian OS(2003年6月の記事参照)やLinuxのような汎用OSを使うことで、多数の開発者が確保でき、ハードとソフトを切り分けることでバグを減らす。これが汎用OS導入の目的だ。

 とはいえ、これまでの資産でもあるリアルタイムOSを簡単に手放すこともできず、移行のタイミングを狙っている……というのが各社の状況。「リアルタイム性がどこまで確保できるか」(三菱電機)などの観点から、検討を重ねているという。三菱電機はCeBITなどで展示した試作機でSymbian OSを採用しており(2003年10月の記事参照)、今後の方向を模索している。

 NECとパナソニック モバイルは、プラットフォーム共通化に当たり、通信CPUだけでなくOSも共通のリアルタイムOSをベースとしている。メニュー構成などはNEC製端末譲りだ。ただしNECは携帯電話用のOSとしてLinux採用の検討を続けており(2003年1月の記事参照)、今後の展開が注目される。

 ドコモ自身も、FOMA向けのOSとしてはSymbian OSとLinuxを推奨しており、既に携帯向けの仕様を定めた(2003年12月の記事参照、2003年12月の記事参照)。開発コスト低減や期間短縮といった意味でも、今後FOMAメーカーは、どの時点で汎用OSに切り替えるのか決断を迫られる。

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