コラム
» 2004年07月29日 18時59分 公開

携帯日本語入力 進化の系譜〜POBoxの現在(1/3 ページ)

ほかの目立った機能の陰に隠れながら、この数年に大きく進化した機能。それが携帯の日本語入力だ。進化の牽引役であった“予測変換機能”を軸に、各社の日本語入力機能の進化を見ていく。そしてソニー・エリクソンの「POBox」が、夏の新端末「SO506iC」と「W21S」でどのような進化を遂げたか見ていこう。

[斎藤健二,ITmedia]

 携帯の予測変換機能の代名詞的存在ともいえる「POBox」が、夏の新機種「SO506iC」「W21S」から大きな革新を遂げた。ユーザーがオリジナルの辞書をPCで作成できる「辞書クリエーター」サービスが始まったのが1つ(7月26日の記事参照)。そして、もう1つは端末側でも文字入力方法に大きな改善が図られたことだ。

携帯文字入力──進化の系譜

 最新のPOBoxの強化に触れる前に、ここ数年の携帯向け文字入力方式の進化のもようをおさらいしておこう。カメラなどの進化の陰に隠れがちではあったが、日本語入力の進化の早さが分かると思う。

  • 夜明け前〜2001年頃

 2001年。ドコモが503iシリーズを主力とし、au端末もC400シリーズが中心だった頃だ。

 当時、多くの端末は連文節変換機能の搭載をウリとしていた。1文字入力すれば候補を予測して表示してくれる、いわゆる予測変換機能を備えていたのはソニー製端末のみ。TFT液晶の搭載で話題になった「SO503i」や、au向けの「C406S」だ(2001年6月7日の記事参照)。これが初の携帯POBox搭載端末である。

  • 黎明期〜2002年頃

 2002年に入って504iシリーズが登場すると、予測変換機能を備えた端末が増え始める。N、P、F、Dがそれぞれ予測変換機能を搭載し、au端末でも初のGPS搭載機「C3001H」がATOKの予測変換機能を装備した。

 ただしこれはかなり中途半端な機能でもあった。1つは、予測変換機能を備えていても、予測候補を画面に表示しない機種が多かったこと。「P504i」「D504i」「F504i」をはじめ「C3001H」や「C3003P」もそうだ。au端末初のカメラ内蔵機「A3012CA」も、表示される予測候補は1個だけだった。

 2つ目の問題は、予め予測辞書を持たず、ユーザーが一度変換した単語だけを予測候補に持たせる端末が多かったことだ。予測辞書を最初から備えていたのはソニー製端末のほかは、「P504i」「A1012K」などごく一部。しかもその予測精度にはかなり問題があった。

 この時期、「N504i」「P504i」のように、用途別の辞書をダウンロードして追加できる機能を持った端末も出始める。POBoxも12月には満を持してダウンロード辞書機能を搭載したが(2002年12月12日の記事参照)、機能面だけ見るとPOBoxが追いつき、追い越され始めたタイミングだ。

  • 普及期〜2003年頃

 505iシリーズが登場する2003年頃になると、ほとんどの機種がPOBox搭載端末と似通ったスペックになってくる。1)1文字入力すると画面下半分に予測候補を表示 2)上下キーで候補を選択 3)決定すると、つながり予測が行われ、続く単語が予測され表示される といった流れだ。

 日立製のau端末「A5303H」のように、この時代になっても予測候補が画面に表示されない機種もあったが、基本的にすべての機種が似通った仕様になってきた。

  • 成熟期〜2004年頃

 今年に入ると、予測変換機能自体は成熟に入る。予測精度の向上──つまり予測語彙の豊富さと、精度を上げるための絞り込みの競争が中心となった。この時期まできてもPOBoxの予測変換機能は一頭地を抜いていた。予測変換という仕組み自体は各社の端末が搭載していたが、3年以上に渡る辞書の作り込みは、一朝一夕には真似できないからだ。

 とはいえ、予測変換機能自体とは別の部分で、POBoxを取り巻く入力環境に古さが目立ってきたのも事実だ。この分野での遅れをとり戻すため、この夏登場したドコモ向け「SO506iC」とau向け「W21S」では、大きな改良が行われた。

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