PASSAGE DUPLE導入事例〜JFEシステムズ(2/2 ページ)

» 2004年12月18日 02時47分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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無線IP電話の音質は?

 2フロアで配置したアンテナは24台。実際にオフィスの引っ越しをする前に電波の測定を行ったところ、公衆無線LANや他社の使っている無線LANなど、外から入ってくる電波がかなり多かったため、使用チャネルをずらすなどの対策を取った。事前のシミュレーションに沿って配線をしたが、キャビネやパーティションなどを実際に入れていくと、電波状況が変わったため、アンテナの位置や向きなどを適宜調整しながら利用している。

 また音声を安定させるため、引っ越しした最初はデータ用のアクセスポイントは止めておき、音声通話の無線化が安定してから無線データ通信を開始した。今のところ、クリティカルな干渉などは起こっていないという。

 N900iLを持って、フロアを移動してみた。待ち受け画面の上部にある無線LAN(SIP)とFOMAのアンテナ表示を見ながら歩く。部屋の場所によってはFOMAのアンテナが立っていないことがあるが、ワイヤレスLANの電波状態は安定して良好だ。「無線の音声通話は、安定して使えている。音質はチューニング次第でもう少しアップできそう」(稲原氏)

N900iLでは、無線LAN(SIP)とFOMAのアンテナ二つが並んで表示される(左)。JFEシステムズで導入された音声用無線LANアクセスポイント(右)

 実際に通話してみると、少しこもったような音だが、聞き取りにくいということはない。ちょうど携帯電話のような音質だ。若干遅延が感じられるものの、途切れはなかった。離れたところで会話している分には気にならないだろうが、目の前で通話すると口の動きと音声とがワンテンポずれて、ちょっと腹話術のような印象を受ける。

通話料で初期投資は回収できる

 イニシャルコストについては「通常のPBXより高い。300台で5000万円くらいかかるが、これが普通のPBXならば半額くらいだろう」(吉田氏)。しかし2005年2月からは、JFEグループ全体がIP電話を採用する予定になっており「このIP電話網に直結することで、拠点内は無料、その他のエリアでも全国で3分8円で通話ができるようになる。このコストダウン分を考えると、数年で回収できそう」(吉田氏)とする。

 N900iLにはさまざまな機能があるが(7月13日の記事参照)、現在は音声通話機能と、社内では「WLANブラウザ」、社外ではiモードを使ったイントラネットへのアクセスが中心だという。インスタントメッセージングサービスである「メッセンジャー」、相手の状態を知る「プレゼンス」などの機能は使っていない。

 しかしこれは、あくまでも始めの一歩だと吉田氏。「将来的には例えばFOMA上で業務用アプリケーションを動かして、社内の業務システムの端末として携帯を使うなど、もっといろいろなことをやっていきたい。そういう将来性を見越してNTTドコモを選んだ」(吉田氏)

 同社はPASSAGE DUPLEを最も早く導入した企業の1つだ。他社に先駆けて導入した理由を聞くと「むしろ先例となりたかった。自分たちがまず実際に無線IP電話を導入して、使い勝手を知り、経験値をためることが大事。そうして初めてお客様に提案できる」と答えた。


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