日本全国が内線エリア〜Vodafone Mobile Office:モバイルセントレックス最新動向インタビュー

» 2004年12月18日 01時34分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 オフィス内の固定電話と同じ役割を携帯が担う──。話題のモバイルセントレックスを、広義の意味でいうなら、こんな表現になるだろう。

 PBXシステム(企業内に設置する電話交換機)自体を置き換えたり、ビル内に専用の基地局を設置したりする大規模なモバイルセントレックスシステムがある一方で、大がかりな設備が必要なく少数からでも容易に導入が可能なのがボーダフォンが提供する「Vodafone Mobile Office」だ。

初期費用不要の柔軟性のあるシステム

 「世の中一般に思われているモバイルセントレックスは、屋内にそれなりの設備やアンテナを置く。Wi-Fiなのか3Gなのかは別にして、特定のエリア内で内線を無料で利用できるものを想像されると思う。Vodafone Mobile Officeでは、初期費用のようなものは発生しません」

法人営業統括部ビジネスイノベーション部Voiceソリューションズグループの大石和哉課長

 ボーダフォン法人営業統括部ビジネスイノベーション部Voiceソリューションズグループの大石和哉課長は、Vodafone Mobile Officeの特徴をこう話す。

 初期費用は一切かからず、導入に必要な日数も10日程度。さらに最少20回線から導入でき、回線数の増加も容易だ。「非常にハードルが低い。まずは小規模のお客様、あるいはトライアルとして部課単位で導入できる。それでメリットがあれば拡大していただく」(大石氏)

 導入コストなしで、かつスケーラビリティに富んだシステムとなる理由は、「自営でネットワークを作るのではなく、公衆網(ボーダフォンの一般向け3G無線回線)を使って内線ネットワークを構築する」(大石氏)点にある。

 Vodafone Mobile Officeは、インフラとして3Gの公衆網を使い、いわば「音声系のVPNサービスの携帯版」(大石氏)として提供される。ボーダフォンの3Gインフラの中で利用者を登録してグループ化し、内線番号を付加。090や080の携帯番号だけでなく内線番号でも呼び出しができるよう、仮想的な内線ネットワークを提供する。

 システムにグループとして登録されている携帯同士であれば通話は無料。もちろん、ボーダフォンの3G携帯電話であれば電話機の種類も問わない。

料金プランDay timeAll time
月額基本使用料8190円9240円
8時〜19時対携帯電話無料無料
対一般電話15.75円/分10.5円/分
19時〜8時対携帯電話10.5円/分無料
対一般電話21円/分15.75円/分
Vodafone Mobile Officeのグループ間通話料。一般電話をグループ内に組み入れた場合。年間契約割引や回線数に応じて最大25%の基本料金割引も用意している

日本全国が内線電話の範囲に〜まずはモビリティありき

 3Gの一般電話網をそのまま利用するため、決められたビル内に限らず、日本全国で無料の内線通話ができるのも大きな特徴だ。「内線通話が使えるエリアを問わない」(大石氏)で、通話料無料の内線電話として携帯を利用できる。

 この“まずはモビリティありき”というのが、Vodafone Mobile Officeの最大のコンセプト。

 世界26カ国に展開するVodafoneグループも、「Vodafone Wireless Office」という名称で同様のサービスを展開しているが(Vodafoneサイト参照)、こちらは国をまたがった国際通話でも内線通話として利用できる。現在のところ、Vodafone Mobile Officeは日本国内のみがエリアとなるが、次の展開の1つはVodafoneグループのサービスとの接続だ。Vodafone Wireless Officeとの統合が進んだ暁には、まさに“全世界が内線エリア”となる可能性もある。

PBXとの連携が次のステージ

 3G網を使うことでさまざまなメリットを打ち出すVodafone Mobile Officeだが、その仕組みゆえの課題もある。

 ビル内に内線専用のネットワークを作るのではなく3G網をそのまま利用するため、トラフィックが増加した場合の対処は気になる点の1つだ。大石氏は「例えばあるビルにトラフィックが集中する使い方をすると、トラフィックが逼迫することもある。その場合は屋内に(公衆網向けの)小型基地局を設置する場合もある」と、対処法を説明する。

 既存のPBXに手を入れることなく導入できるのはメリットの1つだが、逆にPBXとの連携が難しいという問題もある。現在、固定電話への発信については、携帯電話10台に対して1台固定を割り当てて、グループに組み入れられるようにしているが、アクセスチャージなどの問題もあり、固定への通話は無料になっていない。グループ内に固定通信事業者を持たない、現在のボーダフォンの課題でもある。

 「携帯1台で、固定の内線の役割まで実現しようというコンセプトはある。ただし日本では信用上の問題などから固定の電話番号は残さざるを得ないだろう」(大石氏)

 もう1つは、PBXを使った内線電話では当たり前の機能──例えば着信保留転送や、代表電話への着信を転送する機能などが実装されていない点だ。内線番号が利用できて内線通話が無料の携帯電話──Vodafone Mobile Officeのスタートラインはここにある。

 「必ずしもPBX機能すべてを積んでいけばいいとは思っていません。提供するにしても、携帯電話で実現するとメリットのある機能に絞り込んでいくアプローチを取ろうと思っています」(大石氏)

Vodafone Mobile Officeは第2の内線電話

 モバイルセントレックスの理想を描くとすれば、それは現在の固定の内線システムをすべて携帯電話で置き換えた姿。ただし、どんな順序を踏んでそこにたどりつくかは、モバイルセントレックス提供各社によって考え方が異なる部分だ。

 ボーダフォンは、いきなりPBXシステムと組み合わせるというよりも、Vodafone Mobile Officeを“第2の内線”として活用することを提案している。

 「究極の姿としてPBXの完全リプレースがあるのかもしれないが、我々はその途上にある。第一歩としては内線電話のリプレースは働きかけていない。携帯電話をコストも含めて有効活用するためのもの。第2の内線、携帯の進化版とイメージしていただくのが近いです」(法人営業統括部企画管理部長の家高朋之氏)


モバイルセントレックスとは何か
ドコモ:PASSAGE DUPLE導入事例
KDDI:「OFFICE WISE」で好みのau携帯が内線に
ボーダフォン:日本全国が内線エリア〜Vodafone Mobile Office

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