アジアでW-CDMAが普及しはじめている。日本でドコモ、ボーダフォンが採用しているのはもちろん、台湾やシンガポールでもテストサービスが始まっている段階。香港でも、W-CDMAサービスを開始した事業者が増えてきた。
香港の通信事業者CSLは、21日からW-CDMAサービスを開始した。CSLは豪Telstraの子会社で、香港内でシェア2位の事業者。
CSLが新たに投入する端末は「Nokia6630」で、価格は2688香港ドル(約3万7000円)から。W-CDMAに加え、GPRSより高速なEDGEにも対応した。すでにCSLは香港内で本格的にEDGEサービスを開始しており、W-CDMAカバーエリア、非カバーエリアのどちらでも高速なデータ通信や快適なストリーミングビデオ閲覧が可能だという。
Nokia6630でテレビ電話を利用する場合、端末をたてかけて撮影できる別売のユニット「Nokia Video Call Stand PT-8」を利用する。屋外で利用する場合などではやや不便な場合もあるが、テレビ電話を重視するユーザー向けには既に発売中のSonyEricsson製「Z1010」も用意されている。ビジネスユーザー向けには、W-CDMA/GPRSデュアル対応のPCMCIAデータ通信カード「Merlin U530」も発売される。
一方、12月2日からデータ通信カードで先行サービスを開始していた「SmarTone」(12月7日の記事参照)も、20日から音声サービスを開始した。
SmarToneのリリースした端末はMotorola製「E1000」。価格は4280香港ドル(約5万8000円)から。追ってNokia6630も発売される予定だ。
コンテンツサービスの豊富さが同社の武器だ。CNNや香港ローカルTVの24時間ビデオニュース、日替わりのアニメ放映に加え、多人数参加によるオンライン3Dゲームは香港で同社が最初にサービスを開始するもの。
テレビ電話はヨーロッパを中心に17カ国で利用可能。シンガポールや韓国のユーザーともテレビ電話できる。また、W-CDMAローミングは当初日本を含む7カ国での開始となる。
香港にはGSMの通信事業者が6社あるが、うち4社がW-CDMAの免許を取得している。3社が2004年にW-CDMAサービスを開始、来春にもう1社がサービスインの予定だ。
CSL、SmarToneのサービス開始に合わせ、先行するHutchisonは両社が発売する「E1000」と「Nokia6630」のリリースを発表。端末種類の豊富さをアピールしている。一方CSLは新規契約時に「W-CDMA端末の下取り」を行っているが、これは実質、Hutchisonから顧客を奪うためのキャンペーン。各社がW-CDMAサービスを開始したことで、事業者間の競争もさっそく始まっている。
香港のW-CDMAサービスは、カバーエリアの不備や端末種類の少なさなどデメリットも指摘されている。しかしシェア1位〜3位の上位3事業者がサービスを開始したことで、今後香港における3Gの普及は本格的に進むだろう。
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