FOMAにかかる「ワン切りテレビ電話」

» 2005年02月24日 16時21分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 ワンコールで切れる着信。履歴を見てかけ直すと、ダイヤルQ2のようなメッセージが流れ、料金を請求される──。これが、2001年頃流行した“ワン切り”の手口だった(2001年12月の記事参照)

 携帯各社の対策やワン切り防止法案などの甲斐あってか、このところワン切り被害は聞かれなくなっていた(2002年12月の記事参照)

 ところが、最近FOMAユーザーの間でワン切りが相次いでいる。しかも履歴を見るとテレビ電話だ。いったいこれは何なのだろうか。

テレビ電話の着信で“FOMAかどうか”を判別

 ワン切りがあった後のFOMA端末をチェックすると、ワン切りと迷惑メールを組み合わせた手口が見えてきた。

 「テレビ電話の不完了呼の大量発信は、SMSを利用して迷惑メールを送信する前に、FOMA契約回線の電話番号を確認する目的で行なわれている可能性もある」とドコモ。2月24日時点で、360回線について警告や利用停止を行っているという。

 推測される手口はこうだ。まずドコモと想定される電話番号にテレビ電話をかける。090に続く電話番号の頭3桁はキャリアごとに決まっているため、ドコモと考えられる番号にかけるわけだ(総務省参照)

 テレビ電話は、相手がFOMAやボーダフォンの3Gなどならば接続され、ムーバのように2Gの電話だった場合接続されない。もしも接続できたらすぐに電話を切る。これで、ある番号がFOMAかどうかが識別できる。

新たな迷惑メール送信手段──SMS

 この時点で「FOMAユーザーの電話番号」が取得できる。ドメイン指定受信などの対策強化により、通常のiモードメールを使った迷惑メール送信が難しくなっている昨今、FOMAは狙われやすい。「SMS」を送りつけることができるからだ。

 FOMAなどのW-CDMA方式3G携帯電話は、共通仕様として電話番号宛にメッセージを送ることができるSMSに対応している。欧州などではSMSの利用は一般的だが、Eメールが先に普及した日本ではSMSの送受信は普及していない。迷惑メールの送信が始まったのもここ数カ月だ。

 送信するSMSには、電話番号と紐づけたメッセージをURLとして記載しておく。受信したユーザーが、もしもURLクリックしたら携帯電話番号を画面に表示して架空請求を行う。

 次のステップは、実際に電話をかけて支払いを促す。「あなたは有料サイトにアクセスしたから振り込め」とリアルに電話がかかってくるわけだ。業者側は、“どの電話番号のユーザーがURLにアクセスしたか”を判別できるためだ。

ドコモ関西の資料より

 ワン切りテレビ電話がかかってきたら、あなたの携帯がFOMAだということが迷惑メール業者に知られてしまったと思っていい。続いてやってくるのは迷惑SMSメール、クリックしてしまったら電話がかかってくる。

 SMSをクリックしたからといって、名前や住所、iモードのメールアドレスが相手に分かってしまうわけではないが、実際にサイトにアクセスしているだけに電話で入金を促されるのは気持ちのいいものではない。不用意にSMSに記載されたURLにアクセスしないようにしたい。

 またドコモはSMSの受信拒否機能を提供しているため、こちらも便利に使いたい(2004年8月30日の記事参照)

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