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» 2005年08月31日 17時49分 公開

イー・アクセス携帯事業会社にTBSが出資〜放送・通信連携へ

イー・アクセスの移動体事業会社に、TBSが100億円を出資する。資本提携により「放送と通信の融合」を狙うという。

[杉浦正武,ITmedia]

 イー・アクセスの移動体事業を担当するイー・モバイルは8月31日、東京放送(TBS)を割当先とする総額100億円の第3者割当増資を行うと発表した。資本提携により「放送と通信の融合」を狙う。

Photo 左から、イー・アクセスの種野晴夫社長、千本倖生会長兼CEO、TBSの城所賢一郎専務、原田俊明氏

 イー・モバイルの資本金は8月31日時点で303億5000万円で、このうち99.8%をイー・アクセスが出資している。今回の増資により、9月30日以降はTBSが400億円のうちの100億円を占める株主になる。両社は移動体向けの地上デジタル放送である「1セグメント放送」でも提携を検討するという。

3Gのコンテンツは「放送・動画に集中する」

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 イー・アクセスの会長兼CEOの千本倖生氏は、放送事業者と通信事業者がこのように本格的に手を結ぶのは「日本で最初の事例だ」と話す。これを嚆矢として、似た事例がどんどん出るだろうと予想する。

 「携帯電話のブロードバンド化で、3Gのモバイル・コンテンツの主力は明らかに『放送・動画』になる。すべての通信放送産業が、ここに向かって集中してきている」

 TBSとイー・モバイルは今後、「モバイルブロードバンド・コンテンツ戦略推進委員会(仮)」を設立する予定。相互のノウハウを生かし、放送とデータ通信が連携する番組などを検討、推進する。

Photo イー・アクセスが示した今後のロードマップ。通信・放送連携サービスは「できるだけ早く具体化したい」(イー・アクセスの千本氏)

「排他的な提携」ではない

 会場では、TBSはイー・アクセス以外の事業者とは協力関係を結ばないのかどうか、つまり“排他的な提携”かどうかを問う声が上がった。

 TBS専務の城所賢一郎氏は、これを否定する。「イー・モバイルとの事業を機軸にするが、エクスクルーシブ(排他的)にはしない」。ほかのキャリアとも提携を検討するという。

 その上で、城所氏はなぜイー・アクセスを選んだかを説明する。

 「実は、イー・アクセス創立のときもTBSは(出資しないかと)声をかけてもらっていた。当時、放送局としてもADSLに関わるのは時期尚早ではないかという意見があり、そのときは申し出を断っている」

 その後、TBSとしてイー・アクセスがどう発展していくか、陰ながら見ていたのだと城所氏。「今回、TBSが新しくモバイル分野に進出したいと思っていた時期にもう一度声をかけていただいた」。100億円と大きな規模なので半年近く検討したが、最終的に出資を決めたという。

 イー・アクセスの千本氏も、TBS以外の放送事業者と協力関係を結びたいとコメント。「いろいろな事業者に声をかけたい」という。

 会場では、イー・モバイルがTBSのほかにも出資してくれる戦略パートナーを募集する考えが示された。イー・アクセスの種野晴夫社長は、「イー・モバイルとして1000億円集めたい」と話す。この資本をもとに、レバレッジ(てこ:少ない資本で多額の資金を集める)をきかせて移動体事業に必要とされる3000億円を調達したい考えだ。

 TBSの出資後にはイー・モバイルの資本規模が400億円になるから、あと600億円をほかから集める考え。どこと組むかは明示されなかったが、さらなる民放キー局との資本提携は「積極的には考えていない」(千本氏)という。

TBSの狙いは?

 TBSといえばテレビ番組の資産を持っており、過去には実際にTBS、フジ、テレビ朝日が出資する「トレソーラ」(2002年10月24日の記事参照)を通じてブロードバンド配信を試みた経緯がある。今回の提携で、イー・アクセスのモバイルブロードバンドプラットフォーム上でテレビ番組が配信されるのか。

 トレソーラ社長でもあるTBSの原田俊明氏は、トレソーラでは2回の実験を行ったが、著作権の問題もあり「右から左へとリッチコンテンツを出す(提供する)のは難しいのが事実」と話す。ブロードバンドでの番組配信は「様子見」(同氏)だという。

 それよりも、TBSが興味を示したのが携帯の「パーソナルなメディア」としての要素。「もう少しデータ的なところ(ユーザーの個人情報)に関わるとか……」

 提携では、イー・アクセスが課金プラットフォームを持った上でコンテンツ配信するビジネスも示されている。放送事業者として、新たなビジネスモデルを期待すると話した。

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