「803T」 ハードの完成度が高い。ソフト面充実に期待携帯はオーディオプレーヤー替わりになれるか? Vol.4

» 2005年12月21日 13時06分 公開
[北島武仁,ITmedia]
ボーダフォン「Vodafone 803T」。ルックスはポータブルオーディオプレーヤーのそれにかなり近い。クレードルに乗せただけで転送作業ができれば文句なしだったのだが

 「P901iS」「W31S」に続き、今回はボーダフォンの3G端末「803T」の音楽機能を見ていこう。803Tは、テレビ電話向けインカメラを省略して音楽機能面を優先した点など、ポータブルオーディオプレーヤー機能を非常に強力にアピールした製品だ。

 端末側は、本体を閉めた状態でプレーヤー機能を直接操作できる専用ボタンの装備が最も特徴的。背面には視認性のよいモノクロサブディスプレイを搭載。曲情報などが確認でき、標準的なポータブルオーディオプレーヤーと操作性に大差はない。付属のリモコン付きヘッドフォンも、再生/停止/曲送り/戻し/ボリューム調整などの専用ボタンが備わっており、ワンボタンリモコンの「P901iS」に比べると、ぐっと単体のポータブルプレーヤーっぽいスタイルと使い勝手だ。ハードウェア面では、今回取り上げた3製品の中で一番ポータブルプレーヤーに近い。

サブディスプレイとプレーヤー機能用ボタン。メイン液晶を開くことなく、音楽再生機能を使える。付属のリモコンは機能的には「W31S」とほぼ同様。ボリューム調整や曲移動などの専用ボタンを備える
音楽再生中のサブディスプレイの表示(左)。モノクロのシンプルな表示だが、曲情報など主要な情報はここで一望できる。メインディスプレイ側の「メディアプレイヤー」メニュー(中)。PCから転送した音楽ファイルはここの「Beat Engine Box」に収納されている。音楽再生中のメインディスプレイ(右)。解像度や表示色数などの違いはあるものの、表示内容自体はサブ側とあまり変わらない

 続いてソフトウェアの面を見ていこう。P901iSやW31Sでは、リッピング/ファイル管理/転送機能を備えた統合ユーティリティが本体に付属し、基本的にこれらのユーティリティ上で音楽ファイルを取り扱う。一方、803Tでは、miniSDカードに音楽ファイルを転送するだけの単機能ソフト「Beat Engine」を使う。リッピング機能やファイル管理機能は一切持たず、「iTunes」または「Windows Media Player 10」との併用を推奨。CDからのリッピングはこれらのソフトで──とされている。

付属の音楽ファイル転送専用ソフト「Beat Engine」。非常にシンプルな転送ソフトで、リッピング機能も持たない。楽曲は専用フォーマットに変換されて転送される

 Beat Engineの使い方は単純で、ウィンドウ下段左側のペインに音楽ファイルを登録し、登録曲の中から転送したい曲を選んで画面中央の矢印ボタンを押す。曲の登録は、

  1. 画面上部のメニューをクリックしてファイル選択ウィンドウを呼び出して選択
  2. エクスプローラからドラッグ&ドロップ
  3. iTunesのライブラリからドラッグ&ドロップ

 のいずれの方法かで行う。(1)や(2)はファイルを探して拾い出すのが面倒なので、筆者としては(3)の方法をお薦めしたい。この方法だと、スマートプレイリストで自動抽出した曲をBeat Engineに登録することも可能なので、コンテンツの管理と転送の一歩手前までは非常に快適な作業が行えるだろう。2種類のソフトを併用する、というのはややスマートさに欠ける気もするが、音楽ファイル管理ソフトとしては最高峰の使いやすさと機能を持ったiTunesを、そっくりそのまま活用できるというのはある意味「オイシイ」点ではある。

Beat Engine自身はリッピング機能、ライブラリ管理機能を持たないので、これらの機能はiTunesに任せるのがスマートな使い方。iTunes上でファイルを選択し、ドラッグ&ドロップでBeat Engineに登録できる

 なお、ほかの2製品の付属ソフトと違って、Beat EngineではWMAが取り扱えず、AACをサポートする。Windows Media Playerユーザーの筆者としては、まずはAACのライブラリに移行しなければならないというのが辛いところ。WMAからAACに自動変換しながら移行することになるので、かなり長い時間が必要になる。しかし元々iPod+iTunesを利用しているユーザーにとっては、ほかの製品より楽だろう。

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