今日は、ボーダフォンの発表会だった。事前の案内で「社長、会長ともに出席」とあったのでそれなりの内容だろうと思っていたが、やはり相当盛りだくさんな内容だった。新機種「904SH」の公開、ワンセグ端末のお披露目、新サービス・新技術続々登場で、さらには「今後は新サービスに注力してイノベイティブな事業者になる」という決意表明まで聞かれた。
ひとしきり発表があったあと、質疑応答の時間になった。ここで会場から「固定と移動体を融合する『FMC』(Fixed Mobile Convergence)のサービスが見当たらないが、これはどう考えているのか?」という質問が飛び出した。これに対する津田志郎会長の回答が、少し興味深かった。
「FMCは市場の流れ。その方向に向かうだろうと認識しているが……ボーダフォンはモバイル事業のみ。1社(=KDDI)は固定の事業もやっており、1社(=NTTドコモ)はグループの中に固定事業者が入っているが、ボーダフォンも固定事業者とアライアンスを組む必要がある」
思えば、ボーダフォングループはADSL事業や固定事業を次々切り離して(2005年5月13日の記事参照)、売却してきた(2003年8月21日の記事参照)。今になって、固定事業がないからFMCの事業展開に制限が生じる……というのも、皮肉な話だ。ちなみに、2003年当時にKDDIも「auを別会社にすればよいのでは」というアナリストの指摘を受けていた。このとき小野寺正社長は、「いずれユーザーは固定&携帯のシームレスな通信を要求してくる」と考え、このアイデアを退けている(2003年9月19日の記事参照)。2006年に入り、KDDIが携帯とPCの融合サービス「LISMO」を打ち出したことを見ると、このときの方針はある程度的を射ていたというべきだろう。
しかし、ボーダフォンに打つ手がないわけではない。当然ながらボーダフォンは「固定事業者をアライアンスを組むことで」FMCに進出可能になる。ここで気になってくるのが、同社がソフトバンクなどの新規事業者とMVNO事業で提携を模索していると伝えられることだ(2月9日の記事参照)。ウィルコムなどもFMCの布石としてCATV事業者とMVNOで提携しており(2005年10月27日の記事参照)、ボーダフォンも同様の選択を行う可能性がある。
とはいえ「具体的に実現するとなると、どういうステップからか、どういうパートナーと合意できるか検討を進めているところ」。現段階では詳細を明かさない津田氏だった。
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