ボーダフォンがつぶやいた「FMCの障害」モバイル編集部、ただいま取材中

» 2006年02月28日 09時15分 公開
[新崎幸夫,ITmedia]

 今日は、ボーダフォンの発表会だった。事前の案内で「社長、会長ともに出席」とあったのでそれなりの内容だろうと思っていたが、やはり相当盛りだくさんな内容だった。新機種「904SH」の公開、ワンセグ端末のお披露目、新サービス・新技術続々登場で、さらには「今後は新サービスに注力してイノベイティブな事業者になる」という決意表明まで聞かれた。

 ひとしきり発表があったあと、質疑応答の時間になった。ここで会場から「固定と移動体を融合する『FMC』(Fixed Mobile Convergence)のサービスが見当たらないが、これはどう考えているのか?」という質問が飛び出した。これに対する津田志郎会長の回答が、少し興味深かった。

 「FMCは市場の流れ。その方向に向かうだろうと認識しているが……ボーダフォンはモバイル事業のみ。1社(=KDDI)は固定の事業もやっており、1社(=NTTドコモ)はグループの中に固定事業者が入っているが、ボーダフォンも固定事業者とアライアンスを組む必要がある」

 思えば、ボーダフォングループはADSL事業や固定事業を次々切り離して(2005年5月13日の記事参照)、売却してきた(2003年8月21日の記事参照)。今になって、固定事業がないからFMCの事業展開に制限が生じる……というのも、皮肉な話だ。ちなみに、2003年当時にKDDIも「auを別会社にすればよいのでは」というアナリストの指摘を受けていた。このとき小野寺正社長は、「いずれユーザーは固定&携帯のシームレスな通信を要求してくる」と考え、このアイデアを退けている(2003年9月19日の記事参照)。2006年に入り、KDDIが携帯とPCの融合サービス「LISMO」を打ち出したことを見ると、このときの方針はある程度的を射ていたというべきだろう。

 しかし、ボーダフォンに打つ手がないわけではない。当然ながらボーダフォンは「固定事業者をアライアンスを組むことで」FMCに進出可能になる。ここで気になってくるのが、同社がソフトバンクなどの新規事業者とMVNO事業で提携を模索していると伝えられることだ(2月9日の記事参照)。ウィルコムなどもFMCの布石としてCATV事業者とMVNOで提携しており(2005年10月27日の記事参照)、ボーダフォンも同様の選択を行う可能性がある。

 とはいえ「具体的に実現するとなると、どういうステップからか、どういうパートナーと合意できるか検討を進めているところ」。現段階では詳細を明かさない津田氏だった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年10月10日 更新
  1. 「Pixel 8a(ほぼ新品)」を実質5.9万円で購入するも、直後に“予想外の悲劇”が起きたハナシ (2024年10月09日)
  2. 携帯番号に「060」が採用されるワケ 「電話番号とは何か」を歴史とともに振り返る (2024年10月09日)
  3. 総務省がFCNTに行政指導 「arrows We2」で工事設計に含まれないアンテナで電波を発射していた事案について (2024年10月09日)
  4. 「iPhone 16」「Pixel 9」シリーズどちらを選ぶ? お得に買えるのは? スペックを比較してみた (2024年10月08日)
  5. 国産スマートグラス「MiRZA(ミルザ)」、24万8000円で10月16日に発売 メガネ感覚で外界をふさがず情報取得 (2024年10月09日)
  6. ドコモのSIMカード約93万枚で通信不良の可能性 交換対応へ (2024年10月08日)
  7. 世界初3つ折りスマホ「HUAWEI Mate XT ULTIMATE DESIGN」に触れる 衝撃の完成度に“未来のスマホ”を見た (2024年10月10日)
  8. ヨシノパワーの固体電池ポータブル電源「Yoshino B300 SST」を試す リビングに置いても違和感のないデザインに注目 (2024年10月08日)
  9. 「TORQUE G06」新色のオリーブグリーンが抽選で3人に当たる 京セラがご愛用感謝キャンペーン開催 (2024年10月09日)
  10. CIO、Amazon「プライム感謝祭」の対象商品を発表 第2弾は充電器や電源タップ (2024年10月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー