「子供向けケータイ」に市場性を感じるコンテンツプロバイダ

» 2006年03月08日 21時37分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 携帯が、徐々に「子供に持たせるもの」になりつつある。この春小学1年生になる児童に「近いうちに携帯を持たせよう」と考える親が、全体の2割近いという調査もあるなど(1月30日の記事参照)携帯を持ち始める年齢の低年齢化が進んでいる。ここに市場性を感じるコンテンツプロバイダもいるようだ。

 セガは3月6日、「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」のモバイル専用公式サイトをオープンした。オシャレ魔女 ラブ and ベリーはもともと、「オシャレまほうカード」を使って着せ替えを楽しむ業務用キッズカードゲーム。モバイルサイトはこのカード情報や関連グッズ情報を配信するものだが、注目すべきはこのサイトのターゲット層が「小学校低学年」だということだ。

 「オシャレ魔女〜は、小学校3年生ぐらいまでに人気のあるコンテンツ。『ファッションに興味を持ち始める』年頃の女の子から人気があり、小学校高学年になると、ややメインターゲットから外れてくる」(セガ)

Photo (C)SEGA

 セガがこうした小学生向けコンテンツを出すのは、これが初めてではない。同社は今冬から業務用キッズカードゲーム「甲虫王者ムシキング」のモバイルサイトである「ムシキング.com」を月額315円で提供している。こちらは、甲虫王者ムシキングのミニゲームや、全国で開催されるムシキング大会のイベント情報などを閲覧できるサイトだ。

 「ムシキングは小学生の男児を中心に人気がある。サイトをオープンしたのは昆虫の『シーズンオフ』ともいえる冬場で、真夏でなければ盛り上がりは難しいかとも思ったが、セガが提供するほかのモバイルコンテンツと変わらないだけのユーザー数を集めた」(セガ)

 ムシキングは、カード出荷枚数が3億1700万枚を超えるというキラーコンテンツ。オシャレ魔女 ラブ and ベリーもカード出荷枚数が9700万枚を超える人気コンテンツであり、ムシキングに追随してモバイルサイトを立ち上げた格好だ。

“遊び心重視”のケータイも?

 ハードウェア面でも、コンテンツプロバイダが絡んだ携帯電話が登場しようとしている。バンダイは現在、「キッズケータイ」と銘打った携帯電話のデモサイトをオープンしている(3月1日の記事参照)。画面には「ケータイは たのしく なくっちゃ!」というキャッチフレーズが大きく表示され、同社のゲームキャラクターとおぼしきキャラが写った写真が一部公開されている。バンダイは同社のコンテンツ「たまごっち」を内蔵したPHS「たまぴっち」を発売した過去もあり、同様の取り組みになると推測される。

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 現段階でバンダイは詳細を明かしていないが、サイト内の「保護者の方へ」という項目には「位置情報通知機能とか料金制限サービスとか、親にとって嬉しい機能はもちろん必要だけど、お子様自身が好きになれないのでは携帯してもらえません。安心で安全なケータイに、とびっきりの楽しさを」という文言が見られる。

 携帯キャリアは今年に入って子供向け携帯をリリースしており、KDDIは2月25日に「ジュニアケータイ」こと「A5520SA」を(2月24日の記事参照)、またNTTドコモも3月4日に「キッズケータイ」こと「SA800i」を全国発売している(2005年11月24日の記事参照)。これらは防犯ブザー機能を備えたり、バッテリーパックを外しにくくしたりと“子供を守る”というコンセプトを明確にしているが、バンダイはコンテンツプロバイダらしく“子供が楽しめる”という新しい軸を打ち出した格好だ。

 さらなる拡大が見込まれる子供向けケータイ。その追い風に乗って、子供向け携帯コンテンツ市場も拡大するのか。なおNTTドコモのSA800iは“子供向けiメニュー”といえる「キッズiメニュー」をオープンしているが、NTTドコモマルチメディアサービス部長の夏野剛氏は「とりあえず1機種だが、コンテンツプロバイダに声をかけたら100コンテンツ以上が集まった」として、その手ごたえを強調している(2005年11月24日の記事参照)

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