音楽携帯として見たau「W41CA」と「LISMO」の魅力:音楽携帯の春モデルを試す(後編)(2/2 ページ)

» 2006年04月03日 13時30分 公開
[北島武仁,ITmedia]
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既存の音楽ライブラリがインポートできないのが弱点

 以上のように、統合コンテンツ管理ソフトとして、非常に優秀な機能と使い勝手を実現しているau Music Portだが、ほかのプレーヤーを使っているユーザーにとって、どうしても納得がいかない大きな問題が1つある。

 ほかの記事でもすでに取り上げているが(1月20日の記事参照)、PCのHDD上にある、ほかの音楽管理ソフトで取り込んだ楽曲データなどの既存のライブラリが、au Music Portに一切インポートできないのだ。ライブラリの規模がCDの10枚や20枚程度だったら、なんとかリッピングしなおすこともできなくはない。しかし、HDD容量で数10Gバイトにも上る楽曲データをライブラリ化している場合、それをリッピングしなおすのはとんでもなく手間のかかる作業となる。

 すでにポータブルオーディオプレーヤーを使い込んでいるヘビーな音楽ファンの場合、インポート機能がない現状では、いくら環境として優秀だったとしても、おいそれとは移行しにくいに違いない。そう考えると、あえて別売の「SD-Jukebox」を入手して、SD-Audioプレーヤーとして利用するほうが、既存のライブラリを活用するという観点ではいいのかもしれない。

リモコンはないが操作しやすく音質も良好な「W41CA」

Photo W41CAのトップメニュー。音楽再生機能のau Music Playerはメニューど真ん中の一番アクセスしやすい場所にある

 続いて本体のプレーヤー機能を見てみよう。第一印象で意外だったのが、スピーカーの音のよさ。携帯電話の内蔵スピーカーには、サラウンドサウンド機能などを備えているものもあり、これはこれで、確かに立体感のある音場効果は強烈に得られる。しかし、スピーカーの口径が小さいこともあり、エフェクトのかかり具合はよくても、低音や高音の成分が失われ、迫力に欠けたサウンドになってしまうケースはよくある。

 だがW41CAの内蔵スピーカーは、卓上スピーカーなどに比べればはるかにサイズは小さいものの、サイズの割に低音までちゃんと聴こえる比較的迫力のあるサウンドを再生する。ヤマハの携帯向けサウンドチップ「MA7i」の効果もあるかもしれない。ポータブルオーディオプレーヤーだけに、内蔵スピーカーのみで音楽を聴くという使用スタイルはあまり考慮する必要はないかもしれないが、部屋でゴロ寝している最中にちょっと音楽聴きたい、という程度であれば、W41CAでヘッドフォンなしのスタイルを楽しむのも悪くない。

 LISMO用のプレーヤーソフト、au Music Playerの使い勝手自体は、ポータブルオーディオプレーヤーと携帯電話の基本的な操作が分かる人であれば、特に迷うところはない程度のもので、ことさら難解なところはない。携帯電話上でのレート変更や簡単なプレイリスト作成も可能。携帯電話でのレート変更は、同期することでau Music Portのライブラリにも反映されるので、新しく購入したCDをリッピングして携帯に転送して持ち出し、通勤/通学中にお気に入りの曲を選別をしておくという整理術も使える。

Photo au Music Player上で楽曲を再生中の画面。携帯電話のプレーヤーとしてはごく一般的な画面構成&操作性で、携帯電話の使い方がわかっているユーザーなら操作に悩むところはほとんどないはず
Photo サブメニューを表示したところ。au Music Player上でプレイリストを作成したり、楽曲ごとのレートを設定することも可能。
Photo ダイナミックプレイリストの使用も可能。プレーヤー機能としては、前回試したMusic Porter IIより多彩で、iPodなどの専用機に近いイメージ
PhotoPhoto ヘッドフォン出力、スピーカー出力ともにイコライジング+エフェクト効果を選択できる。スピーカーの設定は数こそ少ないものの、効果の効き具合、予想外に“聴ける”音質ともに好印象

 惜しいと感じたのは、リモコンが標準添付されておらず、オプションにも用意されていない点。試しにW41Sに付属していたリモコンを装着してみたが、正しく動作してくれなかった。回転2軸型のボディ構造を採用し、液晶を開かなくても操作できるためリモコンは不要という考え方もあるかもしれないが、ポケットから本体を取り出すことなく操作できる方法があればもっと便利だろう。

 また、バッテリー駆動時間もやや悩ましい。実際に試してみたところ、音楽の再生だけなら約6時間ほどの持ちとなった。途中にメールや通話などの通信を行っていないため、日常使用ではもう少し駆動時間は短くなると思われる。ポータブルオーディオプレーヤーとしてもバリバリ使うのであれば、自宅とオフィスの両方に充電できる環境を用意しておきたいところだ。

PhotoPhoto 2軸回転型ボディなので、写真のように液晶面を表に向けてプレーヤーを利用することもできる。オーディオプレーヤーとして利用するにはこのスタイルがおすすめだ。操作は本体側面のボタンで行なう

KDDIの「本気」を感じるLISMO

 今回初めて、実際に持ち歩くことを目的にW41CAとau Music Portを使ってみたが、「いよいよKDDIは本気で音楽プレーヤーをやる気だな」という印象を強く受けた。現時点ではサービス分野がまだ不明な点はあるが、少なくとも、音楽CDをベースとしたポータブルオーディオプレーヤーとしては、リッピング→管理→転送→日々のアップデートという流れが非常にスムーズで、先行する各社のポータブルオーディオプレーヤーと比較しても遜色はなく、世界シェアトップのiPodとiTunesにも迫るものがある。

 これだけ本気な感じを出しまくっているにもかかわらず、ほかの形式の音楽データをインポートする機能を持たせなかったのはかなり疑問だ。すでにオーディオプレーヤーを使っているユーザーからしてみれば、全体としては非常に魅力的な製品/プラットフォームであるにもかかわらず、この点だけでLISMOへの移行を躊躇、もしくは見送る理由になりかねない。すでにポータブルオーディオプレーヤーを使っている可能性が高く、かつデジタル機器にも関心のあるようなヘビーな音楽ファンを積極的に取り込んでいこうと企図しているのであれば、インポート機能は絶対に必要だ。将来的なバージョンアップなどで、何らかの対応を望みたいところ。ただ、これはKDDIの戦略と考えることもできる。むしろ、いまだにMDを使っているような、iPodなどが浸透していない若年層をターゲットにしているとしたら、こういったやり方もありなのかもしれない。

まとめに代えて

 前後編2回にわけて2機種の音楽機能について触れてきたが、今回取り上げた2機種を比べた場合、筆者はW41CAをより高く評価したい。Music Porter IIは、確かに操作インタフェースやバッテリー駆動時間の面でポータブルオーディオプレーヤーとしてかなり優秀なデザインとスペックを備えているが、いかんせん要となるPCとの連携にもう少し作り込みが必要だと感じる。端末上のプレーヤーソフト部分に、オーディオプレーヤーとしての便利で特徴的な機能も目立たない。全体に、ハードはよくできているけどソフトはいまひとつ、といったところだ。

 一方W41CAは、オーディオプレーヤー機能に特化しているわけではなく、音楽以外にもいろいろな機能を備えたスタンダードな高機能機だが、LISMOの完成度の高さから、オーディオプレーヤーとしても非常にハイレベルな次元でまとまっている。KDDIが、あえて「音楽特化ケータイ」とうたわずにこれだけの製品を出してきているとなると、「音楽特化ケータイ」というコンセプトを前面に打ち出しをしているドコモとしては、ややシンドイところだろう。携帯電話とオーディオプレーヤーの融合、という点では、今のところはKDDIがドコモに対してかなり優位なポジションを獲得しているといえる。

 とはいえ、楽曲データのインポート問題など、LISMOにもまったく弱点がないわけではない。今後、2社がポータブルオーディオプレーヤーというものをどれだけ追求し、お互いに競争していってくれるかで、この先の展開は大きく変わってくるはず。“競争の原理”によってお互いさらにブラッシュアップされ、両ブランドの製品が携帯としてだけでなく、ポータブルオーディオプレーヤーとしても優秀な端末に育ってくれることに強く期待したい。

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