NTTドコモは4月28日、2006年3月期通期の決算説明会を開催した。営業収益は対前年度比で1.6%減の4兆7659億円。営業損益ベースでは同6.2%増の8326億円の黒字と、減収増益となった。
中村維夫社長は、2007年3月期の業績予想も発表。営業は4兆8380億円、営業利益が8100億円と増収減益を見込むという。契約数が増えることや、FOMA販売の比率が増えることにより増収となるが、販売関連経費が増えるほかFOMAエリアの充実のために減価償却経費がかさむなどして、営業費用が増す見込みだという。
この1年の携帯の売れ行きは、どうだったか。中村維夫社長は、ワンセグケータイを出したものの価格がやや高かったことが販売のネックになった(3月3日の記事参照)と話す。それよりは、「デザインを中心に動いていった」という。
この発言に「新しい機能に対するユーザーの反応が悪かったのか」との質問も飛んだ。中村氏の答えは「カメラ対応携帯であるとか、折りたたみ携帯であるとか、あのときのような衝撃は(ワンセグ端末も含めて)なかったということだ」。
同氏によれば、今の携帯業界は「音楽機能」など基本的に“サービス”の部分がアップデートされている。ドコモでいえば、「プッシュトーク」や「iチャネル」といったサービスがこれにあたる。NTTドコモの発表によれば、iチャネルの契約数は開始後7カ月で200万契約に達しており、2006年度末では500万契約を超える見通しだという。「iチャネルだけでも、数百億円の市場を開拓できた」としており、ハイエンド向けの機能よりこちらのほうが経営に与えるインパクトは大きかったようだ。
「昔はハード的に大きく変わることがあったが、今はそうではない。それよりは、(デザイン性を追及した)薄型の携帯などが好まれる傾向で、ハード面で画期的なものはあまりなかった」
決算説明会の場とあって、ドコモの事業の方向性を問う声も上がった。中村氏は、まずは携帯の通信・通話サービスというコア事業がどう動くかがポイントになると話す。
「ユーザー数がどうなるか。端末販売数は減っているが、『キッズケータイ』のように非常に若い層であるとか、法人など(比較的手付かずの市場もあり)やらねばならないことが多い。ARPU(Average Revenue Per User:加入者一人あたりの月間売上高)は低減しているが、利用が少ないユーザーの比率が少なくなっており、ARPUの推移もいい方向に進むだろう」
その上で、コア以外の事業にも積極的に取り組み、新たな収益源を確保したい考えだ。ドコモはこのところ各業界の有力事業者に次々と出資しているが(3月30日の記事参照)、これにより放送やインターネットなどの新規事業に進出し「コア事業と新規事業の相乗効果」を狙う。
ドコモが積極的に取り組む、「iD」のクレジットカードサービスも新規事業として重要だ。中村氏は目標として、“2006年度末までにiDのリーダー/ライター15万台設置”と“DCMXの会員、1000万人獲得”の2つを掲げる。
「DCMXの1000万会員獲得は、『当面のうちに』と言っている。当面のうちがどのくらいかということだが、だいたい3〜5年で到達したい」
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