まもなく対応端末も登場──“EV-DO Rev.A”でアップロードを12倍高速に(2/2 ページ)

» 2006年08月22日 21時41分 公開
[園部修,ITmedia]
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多数の利用者に情報を一斉配信する「BCMCS」も9月に開始

 KDDIは、12月のEV-DO Rev.A導入に先駆けて、9月に「BCMCS」という新機能もネットワークに組み込む。BCMCSとは、Broadcast / Multicast Servicesの略称で、放送のように特定のコンテンツを多数のユーザーに同報配信する機能を指す。この機能は、端末側の対応が必須になるものの、基地局側はEV-DO Rev.0のシステムソフトウェアをアップグレードするだけでよく、すぐに商用サービスを始めるという。

 BCMCSを利用すれば、ラジオの文字多重放送「見えるラジオ」のように、対応端末にデータの一斉配信が可能になる。基地局とユーザーの間に1対1の無線回線を用意する必要がないため、ユーザー数が増えても配信するデータ量は変わらず、大量かつ大容量の配信を、一定のスループットで効果的に行える。

 「リアルタイムで情報の一斉配信が可能なので、ニュースなどの配信サービスを拡充したい。また無線ネットワークのリソースを気にすることなくコンテンツ配信ができるため、コンテンツの大容量化もできる」と渡辺氏は話す。ニュース配信機能と聞くと、待受画面にニュース速報を表示したり、天気を表示したりするMediaFLOのIPマルチキャストやドコモのiチャネルなどを想起するが、似たようなサービスが提供されるのかもしれない。

 またKDDIでは、現在EV-DO Rev.0のネットワーク経由で配信している「EZチャンネル」などのコンテンツの中で、特に人気の高いもの(購読者数が多いもの)は、今後BCMCSで配信することも検討しているという。多数のユーザーに一度にコンテンツを配信できるBCMCSを利用すれば、ネットワークに長時間負荷をかけずに済む。BCMCS対応端末が増えれば、無線ネットワークのリソースにも余裕ができる。できた余裕は、既存のネットワーク経由で配信する、視聴者数の少ないコンテンツの大容量化やリアルタイム性の向上に生かすというシナリオを描く。

PhotoPhotoPhoto BCMCSは、3GPP2で標準化されている同報配信機能だ。大容量コンテンツの一斉配信やニュース配信などに活用する予定(左)。それほど無線ネットワークの帯域を使わずに多くのユーザーに一斉配信できるというメリットがある(中)。当面は大容量コンテンツや購読者の多い人気コンテンツをBCMCSで配信する(右)

 技術的にも、BCMCSには魅力がある。WINや1Xのネットワークでは、データを受信する際にエラーがあればパケットの再送を要求してエラーを修正しているが、BCMCSではあらかじめエラー訂正用の冗長データを用意しており、データの一部が受信できなくても元のデータを復元できる仕組みを用意する。また高い誤り訂正能力を持つ符号化技術“LDPC”を採用するため、電波の状態が悪い場所などでも受信に成功しやすい。さらに、どうしてもエラーが修復できない場合は、従来通りデータを再送してもらうことでデータが復元でき、配信に失敗する率が低いという。

 基地局と基地局の境界に家があったりすると、夜中に配信されるコンテンツがうまく受信できないといったケースも想定されるが、BCMCSではGPSで時刻を同期している複数基地局からの電波を同時に受信できるため、基地局から遠い場所にいても安定した受信ができるという特徴もある。

PhotoPhoto BCMCSでは、複数の基地局から同時受信した電波からデータを合成でき、基地局から遠い1でも安定した受信ができる(左)。強力なエラー訂正機能やデータ復元機能を備え、配信成功率も高い(右)

 ネットワーク側でこうした仕組みを持つことで、ユーザーは意識することなく従来より快適にコンテンツが利用できるようになる。

今秋発売の新端末は動画のアップロードやテレビ電話が可能?

 KDDIは新しいEV-DO Rev.AやBCMCSのインフラを利用して、具体的にどんなサービスを提供するのか。コンシューマ事業統轄本部 au事業本部 au商品企画本部 モバイルサービス部長の重野卓氏は、「(EV-DO Rev.AとBCMCSに)対応した端末を発表するときに合わせて発表する」とだけ話し、テレビ電話サービスの詳細や、それ以外のサービスについての明言は避けた。

 EV-DO Rev.Aのサービスには、新しい名称が付くのか。従来のWINと同じ料金体系で利用できるのか。テレビ電話機能は、どれくらいの利用料で使えるのか、ドコモやボーダフォンの3G端末にかけることもできるのか。グリーに出資(7月31日の記事参照)した意図は、携帯から動画がアップできるSNSサービスを提供するためなのか。謎は尽きない。しかしBCMCSの提供が始まる9月はもう間もなくやってくる。対応端末は9月中に発売されるのは間違いないだろう。EV-DO Rev.Aのサービス開始は12月だが、こちらの対応端末も、近々概要が発表される予定だ。

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