N903iと言えばやはりNTTドコモ初のVGA+(460×690ピクセル)ディスプレイ。実際の使用感について多くの質問が寄せられた。開発者インタビュー(11月10日の記事参照)にもあるように、VGA+の解像度で利用できるのは待受画像、カメラ、フルブラウザ、ドキュメントビューワ、iモーション、そして対応iアプリになる。
代表的な対応アプリがN903iにプリインストールされている「ゼンリン地図+ナビ N」で、他社の903iにプリインストールもされている「NAVITIME」は、VGA+には対応していない。調査した範囲ではそのほかに、フルブラウザの「jigブラウザ」「ibisBrowserDX」が対応している。jigブラウザは、フォントサイズを細かく変更できるのがありがたい。
また、「iMona」「W2ch」「Gikolet」といった2chブラウザの最新バージョンは(フォントサイズ固定のアプリもあるが)全て対応している。
いずれのVGA+対応iアプリも、460×690ピクセルのディスプレイのうち480×480ピクセルを使用する。ダウンロードしたiアプリがVGA+対応か判断するには、ソフト一覧画面で機能メニューから「ソフト情報」を呼び出し、「表示領域設定」項目に“480×480”と記載されているかどうかで確認できる。
VGA+対応のメリットは大きい。ナビアプリのゼンリン地図+ナビ Nは、地図が高精細で地名やアイコンなども無理なく表示され、ズームイン/アウト、スクロールもなめらかだ。フルブラウザ、ドキュメントビューワなどPC向けのサイトやコンテンツも表示範囲が約4倍に拡大されることで、圧倒的に見やすくなる。正直なところ、筆者はもうQVGA端末には戻れないと感じた。
N903iのミュージックプレーヤーは、「N902iX HIGH-SPEED」と同じ仕様になる。従って、着うた/着うたフルとSD-Audio(MPEG-2/AAC(LC)/HE-AAC)に対応するだけでなく、両者が混在するプレイリストを作成可能だ。プレイリストから異なる圧縮方式の曲を切り替えても、特にもたつきは感じられなかった。
ミュージックプレーヤー起動中に端末を閉じた場合は、背面のサブディスプレイに曲情報を表示する。また、サイドボタンで音量調整、アシストキーで再生/一時停止、長押しで再生終了という基本操作が可能だ。さらに、ミュージックプレーヤー起動中でも、カメラとiアプリ以外のほとんどの機能がマルチタスクで起動できる。マルチタスクに強い“N”らしく、地味だがありがたい仕様だ。
903iシリーズより、Felicaリーダ機能も内蔵されたため(10月16日の記事参照)、ICカード通信などの新機能が可能になった。
中でもこのN903iは、身近なFelicaカードを登録することで、端末にかけたロック解除がその登録カードを端末にかざすことで行える「ICカード認証」機能が搭載されている。
また、端末を閉じる動作や、一定時間の無操作で自動的にロックをかける「キー操作ロック」機能も追加された。
この2つの機能を組み合わせることで、セキュリティ対策が非常に容易になった。キー操作ロックを指定しておけば意識せずに端末にロックがかかり、紛失・盗難時の漏洩リスクが一気に小さくなる。
ロック解除もICカード認証機能によって、登録したFelicaカードをかざすだけ。認識するまでに2秒程度かかるので、すばやく端末暗証番号を入れたほうが若干解除は早いが、その差を気にして急ぐような場合はまずないだろう。
頻繁にかかる端末ロックを、毎回暗証番号を入力してロック解除する面倒さが一気に減り、端末ロック設定を疎ましく思う気持ちもなくなった。
筆者は勤務先の社員証がFelica内蔵で肌身離さず持ち歩いているため、それを登録カードとすることで便利に使っている。
実際、筆者は海外旅行中に買ったばかりのN903iを盗まれたのだが、キー操作ロックを行っていた上、すぐ近くのネットカフェから「MyDoCoMo」にアクセスし、利用停止したため、通話に使われることはなかった。ただし、端末と一緒にFelicaカードを盗まれてしまうとアウトなので気をつけて欲しい。
上述のようにN903iの盗難にあった筆者だが、残念ながら3GローミングエリアではGPSの測位機能は動作しなかった。よって、いまどこサービスも使えない。おそらく、他の903iシリーズも同様だと思われる。
くれぐれも海外では携帯電話の紛失・盗難に注意し、(12月22日の記事参照)をかけるなど万全の対策を取っていただきたい。
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