“携帯で音楽もアリだ”と思わせた──「D903i」ITmediaスタッフが選ぶ2006年のベスト端末(編集部後藤編)

» 2006年12月27日 16時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
順位 端末名 概要
1位 D903i スライドボディ、着うたフルとWMAに対応、2.8インチディスプレイ、FMトランスミッター、GPS
2位 SO903i 3インチ液晶、1Gバイトの内蔵メモリ、MP3、ATRAC3、AACに対応、背面の音楽操作用ボタン、GPS
3位 W42SA ダイヤルキーを使った手書き入力、2.4インチ液晶、LISMO/SD-Audio対応、コンパクトなボディ

スライドボディとNapsterがニーズにぴったり合った──「D903i」

Photo スリムなスライドボディの「D903i」。着うたフル、WMAに対応

 1位に「D903i」を選んだ理由は大きく2つある。1つはポータブルオーディオプレーヤーを持ち歩かなくてすむと思わせた点。もう1つはスケジュール管理をしやすい点だ。

 音楽機能については、端末の機能というよりもNapsterに対応したことのほうがポイントが高い。洋楽を聴くことが多いため、洋楽中心の150万曲というラインアップは魅力的であり、実際、ポータブルオーディオプレーヤーに入っていた6〜7割ほどの曲をNapsterで入手できた。

Photo iTunes Storeで買ったため携帯では聴けなかった曲も、Napsterにラインアップされていれば聴けるようになる。欲しかったけどiTunes Storeになかった曲もNapsterにあったので、個人的には満足度が高かった。ただ、当然のことながらiTunes StoreにはあるけどNapsterにはない曲も多々ある(特に日本の曲)。曲送り/戻しが遅いとか、リストに曲名がすべて表示されないとか、改善の余地はいろいろとあるが、“携帯だけで音楽を聴く気にさせた”功績は大きい

 PC内にある楽曲ファイルは、CDから取り込んだMP3やAAC、iTunes Storeで購入したAAC、オンラインで購入したATRAC3やWMAなど、さまざまなフォーマットのものが混在している。一方で、携帯に内蔵されたプレーヤーで再生できる圧縮方式は限られており、これらを変換して転送する手間を考えると面倒で、結局使わなくなるというのが、いつものパターンだった。

 しかし、PCの中にある曲の多くがNapsterで配信されているなら、ダウンロードも端末への転送も(時間はかかるが)さほど面倒ではない。外部メモリが最大2Gバイトなのが、ポータブルオーディオプレーヤーと比べてつらい部分だが、もともと4Gバイトのポータブルオーディオプレーヤーを使っており、あまり聴かない曲を転送しないことで対応できた。月額1980円というNapster To Goにかかる出費も痛いところだが、“興味はあったけれど聴く機会がなかった曲”も聴くようになったことでよしとした。

Photo 待受画面上にスケジュールやToDo、メール/電話の新着情報が表示できるのが便利

 Napsterが気に入っただけなら、「F903i」や「SH903i」という選択肢もあるが(11月9日の記事参照)、それでもD903iを選んだのは、端末を開くことなく情報を確認できる、スライドスタイルの利便性によるところが大きい。

 メールを確認したり、Webを見るだけなら端末を開く必要がなく、「待受カスタマイズ」機能を使えば、待受画面上にカレンダーや直近の予定を表示できる。予定の詳細にも待受画面からアクセスできるので、メニューの深い階層をたどる煩わしさがない。

 携帯電話としての利便性とNapsterの組み合わせがニーズに合ったため、D903iを1位に選んだ。


音楽の取り込みやすさと使いやすさがポイント──「SO903i」

Photo ソニーの技術を結集した「音楽」「カメラ」「大画面」の三位一体ケータイ「SO903i」手書き文字入力機能を備えた「W42SA」

 2位の「SO903i」を選んだ理由は、音楽機能と予定表の使い勝手のよさだ。SO903iはNapsterには対応していないが、PC内にあるMP3をドラッグ&ドロップで転送できるなど、音楽データを簡単に取り込める点が便利だ(11月17日の記事参照)。私の場合、PC内に保存したMP3データがわりと多かったため、ポータブルオーディオプレーヤーに比較的近い環境を、簡単操作でSO903iの中に再現できた。

 予定表は、待受画面上に「ライフタイムカレンダー」を表示できる点が便利(12月7日の記事参照)。ライフタイムカレンダーは、予定だけでなく、その日に送受信したメールや撮った写真なども合わせて表示する機能だ。1週間分/1カ月分のいずれかを待受画面に表示できるので、直近の予定を把握するのに重宝する。こちらも待受画面上から予定の詳細にアクセスできるので、確認や修正も簡単だ。


こんな方法で手書き入力を!という驚き──「W42SA」

Photo 手書き文字入力機能を備えた「W42SA」

 「W42SA」は、手書き機能を実現するための方法がユニークで驚かされた端末だ。ちょうど、携帯の文字入力が苦手な親のために、文字入力しやすい携帯を探していたところで、“こんな方法があったのか”と思わず膝を打った。

 ダイヤルキー部分を入力エリアに見立てて、指先で字を書くように入力するというアプローチは、携帯の文字入力が苦手な人の敷居を低くしてくれる。携帯メールを年齢や性別、携帯の習熟度を問わず、ふだんの作法の延長線上で使えるようにした“やさしさ”のようなものを感じさせる端末として、強く印象に残っている(9月5日の記事参照)


番外編:ワンポイントで印象に残った端末

  • 「F903i」の横UI
Photo 横UIを徹底的に作り込んだ「F903i」

 今年はアクオスケータイのサイクロイド型や、「W44S」のデュアルオープンスタイルなど、画面を横にして使う機構を取り入れた端末が多数登場し、新しい携帯の利用スタイルを提案した。しかしいずれも、すべての機能のユーザーインタフェース(UI)が横用に作り込まれているわけではなく、その点が惜しまれた。

 そんな中、徹底的に横UIを作り込んだスイングスタイルの富士通製端末「F903i」が強く印象に残った。メール閲覧時やカメラ利用時、フルブラウザ利用時には横画面をフルに生かしたUIになっているなど、工夫されており、今後の進化が楽しみだ。


  • 「G'zOne W42CA」「SO902iWP+」の防水機能

 “半身浴をしながら携帯を使う”という、新しい利用シーンを提案したことで印象に残ったのが「G'zOne W42CA」「SO902iWP+」の防水携帯2モデル。たまったメールの返事を書いたり、電子コミックを読んだり、音楽を聴いたり──と、お風呂タイムを楽しくしてくれた。

PhotoPhoto (写真左)auの防水タフネス携帯「G'zOne W42CA」
(写真右)ドコモの防水携帯「SO902iWP+」

  • 「DOLCE SL」の3つのワンタッチキー
Photo 革のような手触りの「DOLCE SL」。光る3つのワンタッチキーにベタ惚れだった

 DOLCE SLのディスプレイ下にある、3つのワンタッチキーは、想像以上に便利に使えた。このボタンには特定の相手の電話番号やメールアドレスだけでなく、各種機能も割り当てることができ、私の場合はこのボタンの1つを予定表にしていた。いちいちメニューをたどることなく予定表にアクセスできるのは本当に便利で、すべての携帯にこのようなボタンをつけてほしいと思ったほど。ボタンのデザインが「いかにもなボタン」ではないところも好感が持てた。


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