販売奨励金分離、SIMロック解除、MVNO推進──最終報告書案を提示「モバイルビジネス研究会」第10回会合(2/2 ページ)

» 2007年09月19日 20時23分 公開
[園部修,ITmedia]
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MVNO活性化による経済効果は、2015年に端末5000億円、収入1兆6000億円

 最終報告書案の確認が一通り終わったあと、参考資料として構成員である野村総研の北俊一氏が「MVNO活性化による経済効果の試算」を提示した。これは同氏が第7回会合で「資料を提出する」としていたもの。前述のモバイル活性化プランに掲げた事項が2011年度をめどに実現していることを前提に、MVNO関連市場の規模を試算。MVNO契約の潜在的な顧客ベースをMVNOの7種類のタイプ(CRM MVNO、ユビキタス端末MVNO、コンテンツMVNO、ローカルMVNO、法人向けMVNO、FMC MVNO、M to M MVNO)ごとに推計し、これを元に成長曲線を用いて2008年から2015年の端末出荷台数と回線数推移を推計。さらに端末価格や通信料金、付加料金を設定して経済効果を算出している。

 それによると、2015年時点でのMVNO関連市場の端末出荷台数は約1700万台、回線数は4300万回線程度になるという。同じく2015年のMVNO関連市場における端末市場規模は約5000億円、通信量やそれに付随する付加収入は合計で約1兆6000億円に上る。なおこの市場は、純粋にMVNO事業者だけで構成されるものではなく、MNOの付加価値の高いサービスも含まれており、MNOとMVNOがこの市場を分け合うイメージだと北氏は話した。

 またMVNOが普及すると、現在の携帯電話市場の置き換えだけでなく、「2台目需要を喚起するような新たな市場が創出される」と北氏は指摘。MVNOによる市場の約2割が1台目の置き換え需要、約8割が2台目需要、すなわち新規に創出される市場とおおまかに位置づけ、2007年末の携帯電話回線数を1億と仮に設定すると、2015年にはMVNOの活性化によって総回線数はおよそ3400万回線ほど増え、1億3000万回線に達すると予測している。

 金額の規模は、新たに創出される端末関連市場が2600億円、通信料と付加収入が約1兆円程度と推計。MVNOの有効活用を進めれば、波及効果(優良顧客の維持・拡大や競争力強化、収益拡大、付加価値収入の増大など)も創出されるため、実際の効果はさらに大きくなるとの見通しを示した。

「この報告書が日本のモバイルビジネスのさらなる発展のベースとなれば」──斎藤座長

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 なお、今回が研究会最後の会合となるため、閉会前に座長の斎藤忠夫東大名誉教授が短く挨拶した。同氏は日本の携帯電話事業者が、それぞれに世界一や世界初の技術を取り入れ、先進的なサービスを提供した結果、実際に行われているサービスは非常に多様化したものの、似たようなサービスも、それぞれ別なやり方で行われていることを指摘。端末がそれぞれのネットワークと密接な関係を持っており、番号ポータビリティ制度を導入しても、結局今まで使っていた環境をそのまま移行できないため、キャリアを変えたくても変えられない現状を、「NMPっていったいなんだったんだ、という議論もある」と憂いた。

 さらに、その密接に連携したネットワークと端末が、端末ベンダーの市場を小さくし、国内市場の技術をベースに国際進出することを難しくして、国際競争力をそいでしまったという持論を展開。3Gでも、それをベースにした多様なサービスをシステムインテグレーターが展開するといったことは難しく、「世界一である日本の携帯技術をベースに、さらに発展していくためには、基本に戻って考え直す必要がある」と、現行の枠組みは変更すべきという考えを改めて示した。

 最後に同氏は「いろいろな歴史を持っているので、最初からビジネスモデルを作り直すことは難しい。しかし、ぜひこの報告書を総務省が活用して、各関係者と協力し、日本のモバイルビジネスのさらなる発展のベースとなるとうれしい」と話した。最終報告書は、今会合で話し合われた内容を反映した上で、近日中に提出される。

 今後は前述のとおり、総務省がこの報告書を元に、ロードマップである「モバイルビジネス活性化プラン」を策定する。そして各施策の進捗状況の評価などを行う「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」によって、モバイルビジネスは継続的に総務省からの監視とオープン化へ向けたプロセスの推進が求められることになる。パブリックコメントやキャリア各社からの意見も一部参考情報として追記されているが、総論は当初の報告書案から大きくは変わらなかった。

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