10MHz幅で下り16Mbps以上を実現──商用レベルに近づくイー・アクセスのモバイルWiMAX:WiBro World Forum

» 2007年10月30日 22時16分 公開
[園部修,ITmedia]

 KIICA Tokyo(韓国情報通信国際協力振興院)が10月29日、WiBro World Forumを開催した。モバイルWiMAX互換のサービスとして、すでに韓国で商用展開を行っているWiBroの技術紹介やサービス開発の状況を解説するこのセミナーで、WiBroフォーラムのメンバーでもあるイー・アクセス WiMAX事業本部CTO兼技術開発部長の諸橋知雄氏が講演し、オープンワイヤレスネットワーク(OpenWin)が10月11日に免許申請した、2.5GHz帯を利用するモバイルWiMAXサービスの特徴やモバイルWiMAX実証実験の現状を説明した。

「WiMAX事業ではホールセールモデルに徹する」

Photo イー・アクセス WiMAX事業本部CTO兼技術開発部長の諸橋知雄氏

 すでに発表されているとおり、オープンワイヤレスネットワークは、モバイルWiMAXの事業免許を取得した暁には“WiMAXのホールセール事業”を展開する計画だ。イー・アクセスが以前から主張しているように、「オープンでグローバルなビジネスを携帯市場に持ち込む」ため、エンドユーザーに直接サービスを提供するのではなく、MVNO方式でネットワークを提供する。

 オープンワイヤレスネットワークが担う役割は、全国でのインフラ整備だ。同社はネットワークを構築するMNO事業に徹し、ソフトバンクとイー・アクセスを始めとするMVNEが、インターネットサービスプロバイダー(ISP)などのMVNOと組んで事業を行う。これはまさにイー・アクセスがADSL事業で行っているようなビジネスモデルで、ISPが自社ブランドで無線でのインターネットアクセスサービスを提供できるようになる。

 諸橋氏は、他のWiMAX事業者と比較した際のオープンワイヤレスネットワークの強みとして、既存の3G携帯電話事業とのシナジー効果があること、すでにイー・アクセスやソフトバンクがホールセール事業の実績を持つこと、首都圏での実証実験を実施しており、豊富なデータを持っていること、資金調達や携帯電話事業が計画通りに推移していることなどを挙げた。

PhotoPhoto オープンワイヤレスネットワークはMNOとしてネットワークの構築を行う。ソフトバンクやイー・アクセスがMVNEとして仲介し、ISPなそがMVNOとしてエンドユーザーにサービスを提供する。諸橋氏はオープンワイヤレスネットワークの強みとして5つのポイントを挙げた

多種多様な機器に、オープンかつ低価格なサービスを提供予定

 オープンワイヤレスネットワークがモバイルWiMAX事業でターゲットとしているのは、ワイヤレスアプライアンスから携帯電話、データ通信カードから固定網の代替まで幅広い。将来的にはあらゆる小型のデバイスにWiMAX通信モジュールが組み込まれ、携帯電話にもWiMAX対応端末が出てくると予想。現在PHSやHSDPAのデータ通信カードを利用しているユーザーからの移行や、ADSLやFTTH、ケーブルテレビなどを利用したインターネット接続サービスからの移行なども想定している。

 オープンなモバイルWiMAX事業では、既存の携帯電話のように特定の端末メーカーがキャリアに対応端末を納入するのではなく、どんな事業者でもWiMAX対応端末をリリースできるのがポイントだ。諸橋氏はPCやPDAのようなデバイスからデジタルカメラ、ゲーム機、車載機器など、さまざまなWiMAX機器の可能性を示した。合わせて同氏は「既存の垂直統合モデルに追随することはない」と明言し、携帯電話事業とはビジネスモデルが異なることをアピールした。

PhotoPhoto モバイルWiMAXのターゲットとして想定しているのは、小型情報機器、携帯電話、データ通信カードなど。また固定ブロードバンド回線の代替も担う。ビジネスモデルは基本的にオープンな水平分業を前提としており、携帯電話事業とは異なることをアピール

 なおネットワークのバックボーンは、すでにソフトバンクとイー・アクセスが構築しているIPベースのバックボーンを活用することを紹介。基地局は、携帯電話事業で利用している基地局用地などを共用可能であることから、用地確保や設備投資などが抑えられ、結果的にオペレーションに必要なコストも下げられることを強調した。

Photo バックボーンはソフトバンクやイー・アクセスがすでに構築しているネットワークを活用する。基地局なども既存の携帯電話用基地局を設置してある場所を有効利用することで、用地確保の手間や費用、設備投資を抑えられる

実証実験では下り16Mbps以上を記録

 最後に諸橋氏は、豊富な実証実験の実績があることを実例を交えて紹介した。

 代表的な例として同氏は、慶応義塾大学やWIDEプロジェクトと共同で、湘南藤沢キャンパスで実施している実証実験を紹介。2007年6月から開始したこの実証実験では、キャンパス内にモバイルWiMAXの基地局を設置し、電波の伝播特性や、モバイルWiMAXとHSDPAのハンドオーバー、オープンなプラットフォームでの認証技術などの検証を行っているという。また技術面だけでなく、ビジネスモデルやアプリケーションについての研究もしているのが特徴だ。

PhotoPhoto 慶応義塾大学やWIDEと共同で、湘南藤沢キャンパスで実施しているモバイルWiMAXの実証実験では、技術的な検証だけでなく、アプリケーションやビジネスモデルについての研究も行っている。基地局は現在第2世代のプロトタイプを利用しているという

 もう1つが東京都内で実施している実証実験である。芝、新橋、虎ノ門の3カ所に基地局を設置して実施した実験では、松下電工と共同で緊急通報装置の実験を行ったほか、都市部におけるモバイルWiMAXの性能に関するノウハウを蓄積した。実際に車に実験機器を積んでテストした際には、10MHz幅の帯域を使用して、下りで16Mbps以上のデータ転送速度を実現したとのことで、「モバイルWiMAXは、商用システムとして使えるレベルに近づいている」と自信を見せた。

PhotoPhoto 東京都内の城南地区で行った実証実験では、下りのデータ転送速度が16Mbps以上を記録した

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