MediaFLOで目指すのは「放送のWeb化」──クアルコムジャパン会長 山田純氏に聞く神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2008年09月17日 10時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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MediaFLO + デジタルサイネージに可能性あり

ITmedia 島根ユビキタスプロジェクトでは、MediaFLOをデジタルサイネージ端末のコンテンツ配信インフラとして使う実験も予定されています。デジタルサイネージは最近の注目分野ですが、これとMediaFLOを組み合わせる可能性について、どのように見ていますか。

山田 クリップキャストとデジタルサイネージ端末の関係は、大きな可能性があります。MediaFLOのバックエンドシステムは、大量の(デジタルサイネージ端末用)コンテンツを、“どの端末に、いつ配るのか”という創意工夫を可能にします。これを応用すると、多くのコンテンツを配信しながら、それを実際に表示するデジタルサイネージ端末は(広告コンテンツの最大効果が得られるように)最適化されているという仕組みが構築できます。

ITmedia それは携帯電話向けのクリップキャストとは異なる使い方ですね。

山田 そうです。デジタルサイネージ端末ごとに、自動的にクリップされたコンテンツが取捨選択される。こういった実証実験は海外でも行われていないので、意味があると思っています。

ITmedia MediaFLOのようなモバイルマルチメディア放送を使うと、コンテンツ配信コストの低廉化が見込めますし、運用性も向上します。さまざまな点で、デジタルサイネージとは相性がよさそうです。

山田 そうですね。デジタルサイネージとクリップキャストとの組み合わせですと、映像コンテンツや静止画像といった考え方になりますが、一方でIPデータキャストを使って(Flash)アニメでコンテンツを流すといった可能性もあると考えています。

放送に参加する人と企業を増やしたい

ITmedia 今回の島根ユビキタスプロジェクトでの取り組みは、北米で商用化済みのストリーミング放送だけでなく、クリップキャストやIPデータキャストなどMediaFLOのポテンシャルを大きく引き出すものになりそうですね。

山田 そうですね。日本、そして北米でも、本当の意味で“モバイルマルチメディア放送が何をもたらすのか”について、模索されている段階です。ですから、(クリップキャストやIPデータキャストも含めた)次世代のモバイル向け放送の在り方やビジネスモデル構築について、早い段階から挑戦するチャンスが得られたと考えています。

 我々の希望としては、(既存の放送業界にとどまらず)モバイルマルチメディア放送への参加者を広げたいのです。全国規模の放送では、映像コンテンツホルダーや放送キー局の持つコンテンツやノウハウが必要になりますが、MediaFLOで”ローカル放送”の部分にも新たな可能性が見いだせれば、各地に小さな放送局やコンテンツ制作会社が生まれるかもしれません。我々としてはMediaFLOとインターネットとの親和性とさらに高くして、ネットのコンテンツやサービスを創る感覚で、放送サービスに参加する人や企業の受け皿にもなりたいのです。

ITmedia それはインターネット的な分散型の情報対流の考え方ですね。放送キー局がポータルサイトならば、その周辺に“多くの参加者が集える仕組み”が用意されることで、サービスやコンテンツ、ビジネスの多様性が生まれそうです。

山田 まさに「放送のWeb化」です。MediaFLOは、それを実現するために必要な技術的な要素が埋め込まれているので、ぜひ、それを実現したいのです。

ITmedia 最後に今後の目標をお聞かせください。

山田 まず、地域性のあるものも含めて、さまざまな映像コンテンツが発掘されて、流通する新たなディストリビューションの構築に貢献したいと思います。また、それらをビジネス化する目処も立てたいと考えています。

 また一方で、MediaFLOの技術そのものも進歩させていきます。例えば、映像の圧縮技術もさらに進化させ、(モバイル向けでも)画質も向上させていった方がいい。放送技術というと「いちど決めると、なかなか変えられない」のが常識でしたが、PCのメディアプレーヤーソフトのように、ソフトウェアアップデートで新技術に積極的に対応して進化していくことで、電波利用効率が上がり、提供するコンテンツの(画質などの)クオリティもあげられます。すでにサンディエゴ(Qualcomm本社)でMediaFLOの改良には着手していますので、ユーザーとコンテンツホルダーのニーズに合った形で、今後もMediaFLO技術は進化していきます。

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