インタビュー
» 2008年10月20日 20時30分 公開

目指すは米国App Storeナンバー1──ハドソン 柴田氏が語る「iPhoneアプリにかける思い」ゲームプラットフォームとしてのiPhone(2/3 ページ)

[園部修,ITmedia]

日本でも盛り上がりを見せるiPhoneアプリ開発

 柴田氏が感じている“iPhoneの可能性”については、国内の開発者も高い関心を寄せている。ソフトウェア開発者の支援を行っている特定非営利活動法人MOSAが開催したイベント「第4回 DEMOsa」に参加した柴田氏も「注目度は非常に高い」と話す。

 「メーカーという立場だと、まだ様子見のところが多いと思います。すでに持っているコンテンツがあって、本当にこのメディアに出していいのかな、と検討しているところなのでしょう。ただ、一般の開発者や小規模な会社は、ものすごい、願ってもないチャンスととらえ、すごくわくわくしていると感じます。成熟したプラットフォームだと、なかなかそういう会社は参入するのが難しいですから」(柴田氏)

 iPhoneの画面上で、池の中を鯉が泳ぐ様子が楽しめる「KOI POND」や、ライターを付ける感覚でiPhoneの画面に火をともし、それを別のiPhoneに移したり、世界中のどこで火が付けられているかを地球儀に表示する「Sonic Lighter」といった、個人や小規模の会社が開発した非常に人気が高いアプリはすでに多数登場している。またユビキタスエンターテインメントなどが、iPhoneの画面を紙のノートのように自由に使えるようにするアプリ「ZeptoPad」のような日本発のアプリも開発している。

 「iPhoneは、お客さんが作っていくメディアとしての可能性を持っていると思います。面白い商品があれば、自然とユーザーの間に広まりぐっと伸びてきます。最近は、YouTubeで映像を見て、面白いと思ったものをiPhoneで探す、という流れができていると思います。ハドソンでも、全タイトルの映像を用意して、YouTubeで公開しています。もちろん、アプリはいつでもどこでも3Gネットワーク経由でiPhone 3Gに直接ダウンロードできるよう、可能な限り容量は10Mバイト以下に抑えています。やはり思いついたときにダウンロードできるのと、家に着いてからiTunesでダウンロードするのとでは違いますから」(柴田氏)

「半年以内に北米でトップ10に入りたい」

Photo 米国のApp Storeで半年以内にトップ10入り、可能であれば1位を狙うと話す柴田氏

 ハドソンがリリースしているゲームの価格は、無料から7.99ドル(900円)まで、さまざまなものがあるが、値付けは常に悩んでいると柴田氏は言う。ゲームの価格は地域によって差があり、意外に知られていないことだが、ゲーム専用機(コンソール)向けのゲームの場合は、実は日本より北米の方が安い。店頭での価格は、主にバイヤーや店舗が決めるため、商品によっては1000円や2000円で売られるものもあり、平均すると4000円弱が一般的だ。一方日本では、4800円や5800円といったタイトルが多い。北米でそこまでの値段が付いているタイトルはほとんどないそうだ。

 「これがデジタルダウンロードになると、日本と北米は逆転します。北米では、ケータイゲームなどでも500円や600円のタイトルは普通にあります。日本の場合、315円や210円といった価格のアプリが多いせいか、iPhoneアプリの価格はやや高いイメージがあると思います。でも、海外市場で見ると実はそれほど高価とは受け止められていません」(柴田氏)

 ただ、最近は無料アプリがものすごく多いため、全体の価格が無料に引っ張られて少しずつ下がっている傾向が見られるという。

 日本と海外で人気のあるアプリにも違いがあると柴田氏は指摘。「今後どうなっていくかはかなり流動的なので分かりませんが」と前置きしつつ、「日本のiPhoneユーザーは非常に“ハイソサエティ”といいますか、ある意味とんがったユーザーが多いので、iPhoneを持っている人の割合で考えると、海外よりアプリを買っている人の数は非常に多いと思います。積極的にコンテンツを使ってみようとする方が多いのでしょう。しかも、メーカーに対しては比較的温かいまなざしで見守ってくださっている感じがします」と、日本の状況を説明した。

 一方、北米では初代iPhoneの発売以来、数百万台以上出荷され、幅広い年齢層のユーザーがいることもあって、「ユーザーは日本よりも厳しい目を持っていると思います」と柴田氏は話した。

 現状では、ハドソンのタイトルの地域別ダウンロード比率は、日本が全体の2〜3割に上る。この数字は、端末の販売台数を考えると非常に多い。もちろん、ハドソンが日本人になじみ深い、よく知られているソフトベンダーであり、日本語のアプリを開発しているからという理由もあるので、海外のベンダーとは大きく傾向が異なるだろう。しかし逆に、この数字は海外ではもっと売れる可能性を秘めているともいえる。

 「ハドソンとしては、半年以内に北米でベスト10以内に入りたいですね。できればトップをとりたいです。今までの最高は、ボンバーマンで16位でした。それもApp Storeがオープンして間もないころでした。『KOI POND』には勝てていないわけです(笑)。やはり北米では、ハドソンのネームバリューはまだ低く、ブランディングも浸透していません。iPhoneアプリでハドソンブランドが強化されれば、コンソールも含めてほかのジャンルにもいい波及効果が望めると思っています。北米の高い壁は、チャレンジのしがいがあります。面白いゲームが出せれば、北米ベスト10は絶対とれる自信はあります」(柴田氏)

Androidにも興味津々

 iPhoneだけでなく、モバイルの新しいプラットフォームという意味では、Windows MobileやAndroidなども広がりを見せているが、ハドソンとしてはこれらのプラットフォームをどう見ているのだろうか。

 柴田氏は「我々はコンテンツメーカーなので、やろうとしている考えに合致し、やりやすそうであれば、どんなプラットフォームでも出していきます。何かにためらう気持ちは全くありません。iPhoneだけにとどめるつもりはありませんし、今まで以上にケータイもやっていきますし、Androidも含めたさまざまなプラットフォームに対して積極的にやっていきたいですね」と、その意気込みを見せた。

 特にAndroidは、現在非常に注目しているプラットフォームの1つだという。具体的な形はまだ見えてきていないが、App Storeのようなアプリケーション配信の仕組みである「Android Market」が提供予定であること、そしてYouTubeが容易に閲覧可能であることが重要なキーになると柴田氏は指摘した。

 「Android Marketは、App Storeと共通する部分があると予想されます。誰でも登録できて、さまざまなコンテンツを全世界に配信できる仕組みはとても魅力です。AndroidでもiPhoneを同じような展開ができるようになるなら、今まで構築してきたノウハウが生かせると思います」(柴田氏)

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