「BeeTV」の取り組みをはじめ、携帯向けの動画コンテンツに注力するNTTドコモが、その“視聴習慣”を作りだすための大きなプロモーションに打って出た――。NTTドコモとフジテレビジョンは4月30日、フジテレビ50周年記念映画「アマルフィ 女神の報酬」(7月18日公開)と連動した携帯向け動画作品「アマルフィ ビギンズ」の配信を発表。6月5日から無料で配信する。
「アマルフィ 女神の報酬」は、イタリアを舞台にしたサスペンス映画。その“序章”として配信される「アマルフィ ビギンズ」では、映画では描かれない、織田裕二さん演じる外交官・黒田康作の過去が明かされる。1話あたり約9分の作品で、6月5日から7月3日までの5週にわたり、全5話の作品が順次配信される。記者会見に姿を見せた織田さんは「映画のおまけではない」と作品のクオリティーに自信を見せた。
ドコモでは2008年6月から「ドコモ動画」と題して同社の携帯向け動画コンテンツをアピールしているが、今回の取り組みもそのキャンペーンの一環だ。NTTドコモ プロモーション部 広告担当部長の青谷宣孝氏は「半信半疑で(フジテレビに)企画を持ちかけたが、あっさりと実現した」と話す。「映画のダイジェストや予告編といったものが携帯で配信されることは今までもあったが、今回のように映画の序章が見られるのは初めてだと思う」(青谷氏)
制作はフジテレビが行うが、制作費はドコモが負担した。フジテレビには映画をPRできるメリットがあり、一方のドコモは、ユーザーに携帯で動画を見る習慣を広める「きっかけ」として、大作映画とのコラボレーションが有効だと考えている。フジテレビジョン 執行役員常務映画事業局長の亀山千広氏は「言い方は悪いが、ドコモさんのお金で新しいことにチャレンジできた。破格の制作費をいただき、作らせてもらった」と内情を明かした。
また亀山氏は「本来ならテレビの方が訴求力はある」と指摘する一方、「たった1回のテレビの放送と比べて、(映画公開の)1カ月前から、好きな時間・好きな場所で何度も見ることができる携帯動画は、パブリシティの面で強いかもしれない」とコメント。「“携帯から映画へ”のテストケースになれば」と、タイアップコンテンツとしての携帯向け動画の可能性に期待を寄せた。
もともとは1話5分ほどの作品として制作する予定だったが、織田さんが「ノッてしまった」(亀山氏)こともあり、5作品合わせて46分の大作が生まれたという。織田さん自身も「現場にいて久しぶりにドキドキワクワクできた」と、これまでにない取り組みに関わった充実感を言葉にした。
また織田さんは「おまけのノリでやるのは、映画を侮辱することになる。映画と携帯動画がお互い切磋琢磨(せっさたくま)して、ライバルとしてクオリティを高めていかなければ意味がない。関わったスタッフも一流の人たち」と、作品の“本気”ぶりをアピールした。
「アマルフィ ビギンズ」へのアクセスは、
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