イー・モバイルが7月6日、国内初となるDC-HSDPA方式を用いた下り最大42Mbpsの高速通信サービスを、10月から提供すると発表し、技術デモを披露した。
DC-HSDPA方式とは、HSPA+で利用する通信帯域(5MHz幅)を2つ利用することで通信速度を2倍に向上させる技術。これを順次導入し、「国内最速」(エリック・ガン社長)の高速通信サービスを全国に展開する。実際に商用サービスを展開しているイー・モバイルの屋内ネットワークを利用して行ったデモでは、下りで約40Mbpsを記録した。実際の利用シーンでも、理想的な環境であればこれくらいの速度が出るという。


実際のサービスの通信速度でも他社のサービスより優位であることをアピール。さらに、次の42Mbpsサービスでは、環境がよければ下り(受信)速度が最大で40Mbpsを超える様子を披露した。デモにはQualcomm製のUSB接続型端末が用いられていたイー・モバイル代表取締役社長のエリック・ガン氏は今回のデモ開催にあたり、6月末時点でイー・モバイルの契約数が250万契約を突破する見込みであることを紹介。これに合わせて、ユーザーが快適に各種サービスを利用できるよう「快適化計画」として2つの施策を実行することを発表した。1つが、すでに発表済みの帯域制限だ。24時間で通信量が300万パケット(366Mバイト)を超えるようなユーザーは、当日21時から翌2時までの通信を制御し、通信速度を下げる。もう1つが、この日発表した42Mbpsの高速サービスだ。
「サービスを高速道路に例えると、帯域制御(通信速度制限)は大型トラック(ヘビーユーザー)向けの登坂車線のようなもの。さらに42Mbpsのサービスは、既存ユーザーに影響を与えずに速く走れるように、車線を2倍に増やして提供する」(ガン氏)


加入者数が250万を突破するのに合わせ、ユーザーが快適に各種サービスを利用できるよう「快適化計画」として2つの施策を実行する。帯域制限はヘビーユーザーがトラフィックを占有するのを防ぐためのもの。42Mbpsサービスは車線を2倍にしてより速く快適に利用してもらうためのもの。国内最速のサービスをDC-HSPAで実現するサービス開始日や料金、対応端末など、詳細は2010年の秋に発表する。なおイー・モバイルでは、2012年をめどにLTEのサービスを始める計画だが、DC-HSPAはそれよりも速く同程度の速度が出せるサービスということで、先行して導入することにしたという。
42Mbpsサービスの提供エリアは、当初は大都市圏が中心になるとのこと。その後約1年で人口の60〜70%をカバーする計画だ。料金は他社のLTEサービスなどの料金もにらみつつ検討していくとしており、明言を避けた。ただ、阿部氏は「最近は『Pocket WiFi』などの製品も、お客さまにはフラットレートを中心にご案内しているので、42Mbpsサービスも基本的にはフラットレートになるようにしていきたいと考えている」と、定額での提供を考えていることを示唆した。
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