グローバルで最大のかき入れ時ともいえるクリスマス商戦に向け、各社がフラッグシップモデルを水面下で準備している。そのお披露目の場として発表が集中するのが、9月6日に独ベルリンで開催されるIFAだ。こうした動きに先がけ、LGエレクトロニクスは、8月8日(現地時間)、米ニューヨークでフラッグシップモデルの「LG G2」を発表した。この発表に先がけ、LGは端末のブランドを刷新。従来から使用していたOptimusという名称は、使われないことになった。
フラッグシップモデルが「G」、画面の比率が4:3のモデルは「Vu」と呼ばれるようになる。LGのマーケティング担当者によると、「Optimusシリーズは必ずしもうまく行っていなかった」というのがブランド変更の理由だ。一方で「『Optimus G』や『Optimus G Pro』は、北米や東南アジアで評判がとてもよかった」(同)という。事実、LGはグローバルでのシェアは微増傾向にあり、2位のAppleとの差を少しずつ詰めている。成功したモデルのイメージを引き継ぎつつ、過去のイメージを払しょくしたい――このような思いが、「G」という一文字に込められている。
G2のコンセプトは「Learning from you」。LGの携帯電話部門でCEOを務めるパク・ジョンソク氏は、「何千時間にもおよぶリサーチの結果生まれたもの」と語り、ユーザーの利用スタイルを徹底的に調査したことを明かした。パク氏が「最も革新的」だと自信をのぞかせたのが、背面に搭載された電源キーと音量調整キー。通常のスマートフォンでは、側面や端末上部(AQUOS PHONEの一部は端末前面にある)に配置される2つのキーを、あえて背面に移したのが特徴だ。
これによって、左右どちらの手で端末を持っても指をかけやすくなった。日本では、富士通がARROWSシリーズで背面に押下できる指紋センサーを搭載しているが、発想は非常に近い。もちろん、ARROWSとの違いもあり、G2では、音量調整キーにカメラやメモの起動が割り当てられている。また、シャッター代わりにこのキーを使うことも可能だ。
持ちやすさは、ディスプレイのサイズを検討する際の焦点にもなったという。LGエレクトロニクスUSAのジェームス・フィシュラー氏は「何インチが最大なのか、G2は5.2インチにしていることが重要だ」と語った。2013年に入ってハイエンドでは5インチが主流になっているが、5.2インチはそれをやや上回るサイズ感だ。代わりに、「通常タッチセンサーのコネクターは1つだが、G2では上下に分けた2つを使い、結果としてベゼルをたったの0.1インチ(2.54ミリ)にできた」(同)という。横幅を70.9ミリに抑えられたのも、そのためだ。ちなみに、夏モデルで同じ5.2インチのディスプレイを採用する富士通の「ARROWS NX」も、狭額縁設計で横幅は70ミリ。5.2インチで持ちやすさを確保するためにベゼルをギリギリまで狭くすると、70ミリ台の横幅になるというわけだ。
G2は「Snapdargon 800」を搭載し、下り最大150MbpsのLTE-Advancedもサポート。1300万画素のカメラは、光学式手ブレ補正にも対応している。内蔵式のバッテリーは3000mAhと大容量。現時点では最も魅力な機能を備える機種の1つといえるだろう。G2は韓国を皮切りに、欧米やアジアでも発売される。取り扱うキャリアは130を超えるという。この中に、日本が含まれることは確実視してよさそうだ。一方で、残念ながらLGのスマートフォンはまだ日本で強い存在感を示せていない。ドコモはもちろん、過去にOptimus Gなど納入した実績のあるKDDIとの関係も強化していく必要がある。
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