LINEは、21日に「Hello, Friends in Tokyo 2013」というイベントを開催。新サービスの「LINE MALL」「LINE Music」「Video call」を発表した。2012年のイベントでは、プラットフォーム化をうたい、新サービスを続々と投入してきたLINE(当時はNHN Japan)。ゲーム、占い、電子書籍、ニュース、ツール、タイムラインなど、サービスのジャンルは多岐に渡る。スタンプの有料課金を開始したのも、2012年のことだ。
イベントでは、約1年が経ったプラットフォーム化の実績も明らかになった。中でも成長著しいのが、1億9000万ダウンロードを超えたLINE GAME。個別のタイトルでも、パズルゲームの「LINE Birzzle」は「短期間で5000万ユーザーになった」(代表取締役社長 森川亮氏)といい、人気の高さがうかがえる。ゲームはアイテム課金を採用しており、LINE社の収益にも大きく貢献している。


LINE GAMEはトータルで1億9000万ダウンロードを突破(写真=左)。中でも人気が高いのがLINE Birzzleだ(写真=中)。タイトル数は36になった。規模を考えるとまだ少ないが、これはクオリティを重視しているため(写真=右)スタンプの販売も好調だ。執行役員の舛田淳氏によると、月間の売上高は「現時点で10億円を超えた」そうで、2012年の3億円から大きく伸びている。スタンプの人気は、広告にも生かされている。例えば、リアルな物販と連動させ、商品を購入すると限定スタンプのダウンロードが可能になる「LINEマストバイ」は、「すべて効果があった。失敗しているものはない」(取締役 出澤剛氏)といい、「桃の天然水」のケースではキャンペーンの参加率が16%という高い数値をたたき出した。
こうしたLINEのプラットフォーム化を支えているのが、ユーザー数の伸びだ。ユーザー数は、全世界で2億3000万を突破。年内には3億ユーザーを目指す。最も比率が高いのは日本だが、タイや香港などのアジア圏での普及率も高い。また、スペインやタイでは「後発でありながら既存のメッセンジャーサービスを超える実績を生み出している」(森川氏)といい、欧米圏では主流の「WhatsApp」を超える国も出始めている。
一足先に「90%以上の方が使っている」(森川氏)状況になった日本では、コミュニケーションの質的な変化が起きているという。森川氏によると、LINEは「親密な関係を深めるツールとして、リアルな世界でも影響を与えるようになった」といい、カップルや夫婦、家族での利用も進んでいる。
また、ドコモとの提携によって「らくらくスマートフォン」向けにLINEを提供することも決まった。シニア世代の端末であるらくらくホンシリーズに取り組むのは、「例えばお孫さんとおじいちゃん、おばあちゃんのやり取りがある。文字は打てないが、スタンプなら送れたり、写真を共有できたりもする。既読が出ると家族も安心できる」(森川氏)からだ。こうしたユーザーはまだまだスマートフォンに移行しておらず、LINEにとっての伸びしろと見ることもできる。
こうした状況の中、「次の手」(舛田氏)として送り出すのが、冒頭挙げた3つのサービスとなる。Video callは、LINEのベースともいえるコミュニケーションサービスを拡充するための新機能。「ビデオ通話はWi-Fiだけでなく、3G環境でも使える」(同)といい、機能自体はiPhoneのFaceTimeに似ているが、OSに依存していない分、利便性が高そうだ。LINE Musicは「友達と一緒に音楽を聴き、音楽を通じてコミュニケーションを楽しんでいただくことを目的にしている」(同)コンセプトのサービス。舛田氏は「1曲いくらぐらいになるのか」という質問に対し、「どういうビジネスモデルかも含めて、改めてお話しする」と述べていたが、今のトレンドを考えるとストリーミング型の定額サービスになる可能性は高い。
もう1つのLINE MALLは、「ユーザーベースとリアルグラフ、スマートフォンを生かしたコマース」(舛田氏)という形を想定している。ショッピング的なサービスと、オークションの2つを合わせたような形になることが考えられる。モバイル分野での物販は、毎年市場規模が伸びている分野で、特にスマートフォンの普及が進んだ2012年は前年比128%と大きく成長している(モバイルコンテンツフォーラム調べ)。プラットフォーム化をうたうLINEがこの分野に参入するのは、自然な流れと言える。ただし、各サービスの詳細はまだ明らかになっていない。LINEならではの味つけがどのようにされているのかも、引き続き注目しておきたい。
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