KDDIが10月30日、今夏公開の映画「風立ちぬ」を応援するキャンペーン「風立ちぬへの手紙」で寄せられた2万通以上の手紙を、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏に手渡す“お披露目会”を実施。鈴木氏からは協力パートナーにKDDIを選んだ理由についても語られた。
KDDIは、今夏に公開されたスタジオジブリの映画「風立ちぬ」を応援するべく展開した「au loves ジブリ」キャンペーンにて、「風立ちぬ」を観た想いを専用のWebサイトから手紙として送付し、スタジオジブリに届ける「風立ちぬへの手紙」という企画を実施。期間中に寄せられた手紙は2万4004通にも上ったとのことで、10月30日にはそれらの手紙をスタジオジブリに手渡す“お披露目会”が実施された。
会場ではKDDIの代表取締役執行役員専務である高橋誠氏が登壇。全ての手紙を収めたDVDの入ったトロフィーが、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏に手渡された。高橋氏は今回の企画の成果について、「これだけ利用者から多くの声が届いたキャンペーンはかつてなかった」と、その反響の大きさに驚いていた。
一方の鈴木氏は、多くの手紙をもらったことについて「とてもうれしいことだが、映画は観終わってから感想を書きとめたり、人に話したりすることで、忘れられないものになるもの。手紙を書いた人は、(私以上に)もっとうれしいのでは」と話していた。
さらに今回の企画で寄せられた手紙の中から、一部を抜粋したスペシャルフォトブックを、抽選で100人にプレゼントするキャンペーンが、新たに実施されることも発表された。「au loves ジブリ」のWebサイト、auスマートパス公式サービスの「ジブリの森」から応募でき、10月30日から11月30日まで実施される。
鈴木氏と高橋氏によるトークセッションも実施。鈴木氏は「風立ちぬ」がロングランヒットしていることについて、「(監督の宮崎駿氏が)引退会見をしたけれど、皆さんもこれが最後の作品になると予感していたのでは。今見ておかないと、この人の映画はもう見られないんじゃないかと思ったんじゃないでしょうかね」と話している。
一方で、作品が誕生する背景も、面白さに影響を与えているとの見解も示す。「(宮崎氏は)人のために映画を作る人。彼は戦闘機が大好きだけど、戦争の時代を題材にした映画は、彼の中でやってはいけないものだった。それを僕がこじ開けたんだけど、自分が好きな戦闘機が出てくる映画だから慎重だった」と鈴木氏は話しており、その慎重さがほどよい緊張感を与え、作品が面白くなった要因にもなっていると感じているようだ。
11月23日に公開を予定している「かぐや姫の物語」についても、鈴木氏は「みんなが知っているかぐや姫の原作通りなのだけど、高畑さん(監督の高畑勲氏)はそこには描かれていない、かぐや姫自身の気持ちを描いた。1人の女性の半生がしっかり描かれている」と、その魅力について語っている。
人気映画作品を多数輩出するスタジオジブリだが、インターネット上に向けた取り組みは積極的でないことでも知られている。鈴木氏は今回、そのスタジオジブリがKDDIと協力関係を持ったきっかけについても、あらためて説明している。鈴木氏によると、実は以前から、NTTドコモやソフトバンクモバイルからは積極的な働きかけを受けていたとのことだが、ビジネスの色が強く、手を組むとなると抵抗感があったという。そんなときにスタジオジブリが企画したメアリー・ブレア展に、KDDIが協賛したことで高橋氏らと出会い、「私から見れば若くて、言うことに裏がなく、率直で付き合いやすいと思った」(鈴木氏)ことから、KDDIと協力関係を持つに至ったのだそうだ。
これを機にKDDIは、「コクリコ坂から」でのタイアップ企画、さらには「風立ちぬ」、そして「かぐや姫の物語」への出資という形で、スタジオジブリとの協力関係を続けている。またスタジオジブリの側も、2013年の5月から、auスマートパス会員向けにWebマガジンコンテンツ「ジブリの森」を提供。「ジブリの森を見ている人は解約率が0.1%くらいで、ほとんどの人が契約を止めない。本当にびっくりしている」と高橋氏が話しているように、同サービスの中でも人気のコンテンツとなっているようだ。
両社の関係は、今後も継続していくとのこと。それを象徴するように、鈴木氏は最後に「今後もauさんと付き合っていく」と話している。
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