“自称”iPad 2に潜む“驚がくの真実”を分解して知る:バラして見ずにはいられない(2/2 ページ)

» 2013年12月04日 16時55分 公開
[柏尾南壮(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ),ITmedia]
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VIAの技術がこんなところに

 iPad 2(パチ)のプロセッサは、WonderMediaの 「WM8650」だ。この会社は、台湾のCPUメーカー「VIA Technologies」(以下 VIA)の関連会社であり、実質的にVIAの製品といえる。VIAのプロセッサは、工場のコンピュータなど、組み込みシステムで広く採用しているが、モバイル機器向けではほとんど知られていない。動作周波数も800MHzと低く、7インチの画面を動かしたり無線機能を動作させたりと、多くの処理を同時に行うタブレットには性能が不足している。このプロセッサは、中央演算装置としてだけでなく、電源管理やディスプレイ制御など、主要な機能をワンチップで担当する。

 iPad 2(パチ)では、低価格タブレットやスマートフォンで採用が増えている「Mediatek」のチップは採用していない。その代りにWonderMediaから主要なチップを調達している。CPUに加え、多数の音源を再生するときに使用するオーディオコーデックICもWonderMedia製だ。

システム基板の正面側(写真=左)と背面側(写真=右)

 iPad 2(パチ)は第二世代移動体通信規格GSM(日本では使われていない)に対応しており、通信ユニットは独立したPCカードサイズの小型基板として用意し、メイン基板にソケットで接続している。通信ICはSilicon Laboratoriesの「Si4210」で、ベースバンドICは“MSTARA”の「MSW8533」を使っている。なお、分解作業担当が調べた限り、MSTARAというメーカは存在しない。有名なICメーカ「MSTAR」に名前を似せたノンブランドチップと推定している。GSMパワーアンプはRF Micro Deviceの「RF7163」だ。同社のICも低価格デバイスで採用する例が多い。

GSMモジュール用サブ基板(写真=左)と、無線LANモジュール用のサブ基板(写真=右)

コストを抑えるならここまでやるぜ

 低価格“模造品”は、最低限必要な機能を削ってでも価格を下げる。iPad 2(パチ)では、BluetoothとGPSを搭載せず、無線LANのみ利用できる。無線LANモジュールはメイン基板から独立した小型基板に搭載しており、アンテナもその基板に埋め込んでいる。無線LANコントローラはRealtekだ。

 フラッシュメモリはHynix製で、これとは別に通信モジュールにサムスン電子のフラッシュメモリを実装している。DRAMはNanya製だ。同社のデータシートによると実装しているDRAMは128Mバイトで、プロセスルールは70ナノメートルとなっている。これを2基搭載しているのでメモリ容量は256Mバイトとなる。これは、iPad 2の半分に過ぎない。

 タッチパネルもコスト削減の影響を受けている。タブレットやスマートフォンで普及している「静電容量方式」ではなく、電気を通すフィルム2枚を、間隔を開けて重ねて配置し、上から押して下と接触した場所をタッチと検出する「抵抗膜方式」を採用している。同じサイズの静電容量方式と比較して安価に生産できる。ボールペンの先や手袋をした指でも操作が可能で、駅の券売機などに広く普及している。その一方で、複数の同時タッチは検出できない。

カメラは有効30万画素のメインカメラを搭載し(写真=左)、タッチパネルは抵抗膜式という(写真=右)、ギリギリまで安い部材を採用してコスト抑制を図っている


 “模造品”の開発は、オリジナルを作った人たちのアイデアと時間を“盗んで”成り立つ。そのような知的財産を無視することが常態化している企業に部品やリソースを提供することは同属と評価されてしまうことにもなりかねない。模造品との取引は、その数の多さから短期的には実入りの良いビジネスかもしれないが、それは企業の評判を損なう危険性が潜んでいる。それは、たとえサブブランドを立ち上げても同じことということを“関係するメーカー”は知っておいてもいいだろう。

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