中国移動のTD-LTEサービスが正式に開始山根康宏の中国携帯最新事情(3/3 ページ)

» 2014年01月14日 15時24分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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迎え撃つ中国電信、中国聯通の動きは

 2014年1月の中国各地は、旧正月(1月31日)を前にして街中に華やかな飾り付けが増えている。それに加えて今年は中国移動の「4G」の広告もあちこちで目立っている。4Gで一気に先行を図ろうとする中国移動に対し、中国電信、中国聯通はどのように対抗しているのだろうか。

 まず、中国電信は4G免許交付直後の2013年12月10日に4Gサービスの新ブランドを早くも発表している。3Gサービスの「天翼」に対して「4G天翼」と4Gをアピールする分かりやすい名称にしている。また、上海や広州など主要都市には早くも4Gサービスの広告が目立ち始めている。中国電信は2013年に100億元をかけLTEテストネットワークの構築を行い、夏には南京市で一般消費者向けのデモも行った。

 2014年のLTE関連の投資額は457億元(約7920億円)の予定で、2014年中には数都市でサービスを開始するだろう。なお、中国電信は2014年8月開催の「南京ユースオリンピック」で通信関連スポンサーとなっており、同イベントで4Gサービスを大々的に提供する予定としている。中国移動がTD-LTEの免許交付を待たずに商用テストサービスを開始した前例があることから、中国電信もFDD-LTEをテスト名目で提供する可能性はありそうだ。

南京市内では車載カメラからのストリーミング映像を4G配信するテストも行っている(写真=左)。大都市にお目見えした中国電信の4Gサービス広告(写真=右)

 2社が4Gサービスで具体的な動きを見せている中、中国聯通は3Gサービスの強化と「4G」のアピールで対抗を図ろうとしている。2013年秋に中国移動が広東省でTD-LTEテストサービスを開始したのに対し、中国聯通は同省全土にすぐさま下り最大42MbpsのDC-HSDPA高速サービスを提供した。また、4G時代を見据えた「中国聯通G時代」というキャンペーンも開始した。これは無料データ利用分を“Mバイト”ではなく“Gバイト”単位とし、最大12Gバイト/年をユーザーに贈呈し、さらには音楽や動画の定額サービスを提供し、4G時代を先取りできると訴求している。

 広東省では営業所に早くも「4G」の表記を出すことで消費者をひきつけようとしている。中国聯通としてはTD-LTEのネットワーク投資をしつつ、FDD-LTEの免許が下りれば端末も基地局もグローバル展開しているものをすぐ導入することが可能であり、現時点では「焦らず、じっくりと準備」という状況なのかもしれない。

4Gサービスを開始していないにも関わらず中国聯通の店舗には「4G」の広告を掲げている(写真=左)。「沃」は中国聯通のサービスブランド名。「3Gも聯通、4Gも聯通」といった広告を展開する(写真=右)

 中国政府は、2013年の早い時期にTD-LTEの免許を交付し、中国移動もより早い時期にサービスを開始できたかもしれない。しかし、準備不足で始めてしまったTD-SCDMAの反省を生かし、今回は慎重なスタートとなった。準備期間が長かったこともあり、2014年はTD-LTEの商用化が一気に広がるだろう。LTE関連企業の動きが活発になるだけではなく、高速通信を生かした新たなサービスも生まれてくるかもしれない。今年の中国はLTE需要が大きく拡大する1年になりそうだ。

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