「mixiの次となる本流を作りたい」――ミクシィが仕掛ける“脱力”メッセージアプリ「muuk」の設計思想:スマホアプリの最前線(2/2 ページ)

» 2014年03月17日 11時46分 公開
[村上万純,ITmedia]
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スクリーンショットを撮られて困る人間関係じゃない

 納得できないものは実装しない――muukを開発する上で川崎氏と岡崎氏が徹底したことだという。muukは「写真が3秒で消える」という性質上、「送信相手にスクリーンショットを撮られたらどうするんだ」という疑問を投げかけるユーザーもいる。だが、ユーザーにとっての本質的な問題とは何なのかを考えると、安易にその機能を制限すればいいというわけではなさそうだ。

photo 「Snapchat」と「Facebook」の違いも結局は人間関係だと話す川崎氏

 「スクリーンショットは厳密に機能制限することはできませんが、撮ったことを本人や相手に通知することは可能です。ですが、それよりも優先すべきことがあり、そもそもその実装でいいのか、何の目的で禁止しようとしているのかなど、本質を考える必要があります。muukの場合は、スクリーンショットを撮られて困る人間関係なのかどうかという疑問もあります」(川崎氏)

 類似サービスとして米国の「Snapchat」があるが、こちらはスクリーンショットを撮ると相手に通知が届く。だが、川崎氏によると、本来の通報的意味合いだけでなく、今は「この写真を気に入っているよ」という意味で使われることもあるという。同じ機能でもユーザーによって使い方も意味合いも異なってくるようだ。

若者には若者の“SNSの流儀”がある

 muukを開発する上で、女子高生や女子大生などにヒアリングをし、日ごろどのようなアプリを使っているか調査したという川崎氏と大崎氏。そこで浮かび上がってきたのは、彼女たちは独自の“流儀”を持ち、SNSをきっちり使い分けているという実態だった。

 「彼女たちに話を聞くと、LINEは連絡用、Facebookは写真共有用と、SNSを使い分けている印象でした。『疲れた』というのは独り言なので、LINEではなくTwitterでつぶやく。そこで友達から返信がくれば、詳しい話をLINEで話すこともあると。Facebookでは絶対独り言なんて言わない。なぜか聞くと、『流儀があるじゃん!』と」(川崎氏)

 muukにmixiやFacebookなどのソーシャルログインを実装しない決断を下すきっかけも、こういったユーザーの生の声を聞いたからだ。彼女たちの言い分は「そんなこと(ソーシャルログイン機能の実装)をしてくれるな」。複数のSNSを使うと人間関係や使い方が曖昧になりがちだが、「若い世代ほど空気を読む力が高いことが要因ではないか」と川崎氏は考えている。

人間関係の周期は1〜3年

 「新しい人間関係」に焦点を当てたmuukでは、アプリ側で人間関係を整理していくことも標ぼうしている。今はブロック機能を備えていないので、IDを検索して友達以外からの心ないメッセージが届くこともある。一方で、特定の友達からしかメッセージが届かないとなると、人間関係が硬直して飽きられてしまう可能性もある。その点について、開発担当の大崎氏はどう考えているのだろうか。

photo 「所属するグループが極端に多かったり少なかったりということがないようにケアしていきます」と話す大崎氏

 「まだ起きていないですけど、恐らくmuukは1つのグループが突然活動しなくなるサービスだと思ってます。ほかのSNSは少しずつ人が離脱していくんですけど、muukは親密な関係性でこそ続くものなので、その関係がなくなると全員が一斉にやめるでしょう」(大崎氏)

 そうした課題に対して大崎氏が考えているのが、アプリ側で人間関係を整理し、コントロールするということだ。「この状況をうまく感知し、仲のいい2〜3のグループを世代交代させていく設計にしていかないと。人間関係の周期は1〜3年で、クラス替えや卒業、入学などで変化していきます」と大崎氏は説明する。muukを継続的に利用してもらうためには、各ユーザーが有するグループ数や利用頻度を把握し、個別に対応していく必要がありそうだ。


 「まずは国内100万ユーザー突破を目標にし、アジア圏を中心に海外展開も視野に入れていく」と展望を語る川崎氏。「コミュニケーションをもっと自然にしたいので、それに向けて一歩一歩進んでいきたい」(川崎氏)という。インタビュー中もしきりに登場した「作りたい世界がある」という言葉。24時間携帯するスマートフォンを使い、常時友達とつながれるようになった昨今における“新しい人間関係”のあり方とは――。ミクシィの挑戦は続いていく。

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