ヤフーとの連携は? PHSはどうなる? ワイモバイル寺尾氏に直撃佐野正弘のスマホビジネス文化論(2/2 ページ)

» 2014年08月12日 14時14分 公開
[佐野正弘,ITmedia]
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 イー・アクセスは元々ADSL事業を展開していたことから、固定通信事業の今後についても気になるところだが、寺尾氏は「ADSLは下降トレンドではあるが必要とされているサービスは継続する。ただし、光事業を直接手掛けることは考えていない」とのこと。グループにヤフーやソフトバンクテレコムなど、固定通信事業を手掛ける企業が存在することから、ワイモバイルはモバイルに集中し、固定通信に関してはそれらの企業と連携するスタイルをとるようだ。

 ただいわゆる“セット割”など、モバイル事業と固定通信との連携に関しては、「自宅のトラフィック対処などで、固定通信とのシナジーは十分ある。商材を組み合わせて解約率が下がったり、事業の拡大に寄与したりするのであれば検討していく」とのことで、将来的には何らかの可能性があることを示唆した。ただしNTT東西が光回線の卸サービスを発表し、NTTドコモがセット割に前向きな動きをしていることに対しては、「相対で卸ができるようになり、それを圧倒的に強いNTTグループの中でやられると勝てなくなる。フェアネスが重要だということを伝えていきたい」と話すなど、NTTグループへの警戒感を示している。

IoT時代に向けて再びPHSが存在感を発揮するか

 最後に端末面についてだが、当面力を入れていくのは、やはりスマートフォンとなるようだ。調達するメーカーは特に限定している訳ではないとのことで、スマートフォンは技術の進化が早くコストダウンが進むことから、より幅広いメーカーからコストパフォーマンス的にベストなものを採用しつつ、ヤフーのアプリを入れるなどして味付けをしていく方針なのだろう。一方で寺尾氏は、イー・アクセスが販売していた「Nexus 5」などNexusシリーズに関する取り組みも、チャンスがある限り続けていきたいと話しているが、ウィルコムが一時期旧機種を取扱いしていたiPhoneに関しては、「今日時点で取扱う計画はない」と答えるにとどまっている。

 また話題のSIMロックに関しては、イー・アクセスとウィルコムとで方針が異なっていたことから、ワイモバイルの新機種でもSIMロックがあるものとないものの2種類が登場しており、方針が見えにくい。この点について寺尾氏は、「エリック(ワイモバイル代表取締役のエリック・ガン氏)はイー・アクセス時代、SIMロックフリーであることを重視していたが、現在我々は、お客さまにとって本当に良いのはどちらか、を考えている状況。過当競争はナンセンスだが、適切なインセンティブは端末の買い替え需要を喚起するメリットもあり、今後も議論していくことになる」と話している。

photophoto Y!mobileの新スマートフォンは「STREAM S 302HW」と「DIGNO T 302KC」の2機種。いずれもSIMロックに違いがあるなど、まだワイモバイルの方向性を明確に示してはいない

 当面はスマートフォンに重心を置くワイモバイルだが、その先を見据えた展開も考えているという。それを象徴しているのが、東京・六本木の「ワイモバイル六本木 Internet Park」。同ショップはワイモバイル製品の展示・販売に加え、IoT(Internet of Things。モノのインターネット)機器の展示・体験ができるのが、大きな特徴となっている。

photophoto 東京・六本木の「ワイモバイル六本木 Internet Park」

 寺尾氏は「僕達はスマートフォンを使ってインターネットで買い物をし、その日のうちに商品が届くという体験ができるが、より上の世代がそうした体験をできるかというとそれは難しい。『ネットワーク機器を意識しないサービスを作って、そうした問題を解決できたらいいね』という話を、ヤフーとの議論の中で話し合っていた」と話しており、顧客に利便性を提供するならスマートフォンの形にこだわらない、さまざまな形のネットワークデバイスを検討し合っているとのこと。「例えば、コンセントに挿すだけでネットワークにつながるとか、冷蔵庫の中の食品を指さしたらネット注文ができるとか。インターネットを意識せずに利用できる仕掛けを作るのが、次の世界なのではないか」と、寺尾氏は将来のデバイスの方向性について述べている。

 そうした新しい機器を生み出す上も、省電力で小型化が容易なPHSが1つの可能性を示すのではないかと、寺尾氏は考えているようだ。ウィルコムはPHSを活用し、カード型の「だれとでも定額パス」などユニークなデバイスを多く手掛けていた。そうした経験を元に端末の小型化を進め、「例えば(だれとでも定額パスの)半分の大きさで6カ月持つデバイスを実現できれば、充電が難しいペットの首輪に付けられるようなデバイスを、半年の“使い捨て”という形で実現できるかもしれない」と、小回りの利くPHSがIoTデバイスの広がりに活かせるのではないかと、寺尾氏は考えているようだ。

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