広告宣伝費ゼロで年間300万DL突破! 画像編集アプリ「cameranコラージュ」が女性を魅了した、たった2つの理由

» 2014年11月20日 10時00分 公開
[村上万純,ITmedia]

 TwitterやFacebookなどのSNSを見ていると、編集や加工をされた写真が日々大量にアップロードされているのを目にするだろう。最近の女子高生や女子大生のスマートフォンを見せてもらうと、写真編集・加工アプリが必ずインストールされており、人によっては10〜20個ものアプリを使い分けている。

 そんな百花繚乱(りょうらん)な写真編集・加工アプリ市場にあえて飛び込んだのが、リクルートホールディングスが提供する「cameranコラージュ」だ。競争の厳しい写真編集系アプリに後発として参入したが、広告を打たずして1年間で300万ダウンロードを達成した。

photo cameranコラージュのダウンロード数推移

 その躍進の要因はどこにあるのだろうか。担当したリクルートホールディングス メディアテクノロジーラボ プロダクトオーナー酒井洋輔氏、ビジネスプロデューサー 土岐佳穂理氏、リードエンジニア 黒田樹氏の3人にcameranコラージュ成功の秘けつを聞いた。

photo 左からリクルートホールディングス メディアテクノロジーラボの黒田樹氏、同じく土岐佳穂理氏と酒井洋輔氏

日本発の「かわいい」文化を持つ雑誌やブランドとコラボ

photo 土岐氏は「『かわいい』は定義の広い言葉で、人によってとらえ方が違います」と説明する

 なぜ彼らは写真編集・加工アプリという競争の激しい市場をあえて選んだのだろうか。土岐氏は、その背景としてメディア環境の変化を挙げた。「メディアの接触時間は、近年テレビやPCからスマートフォンに比重がシフトしています。また、スマホの所有率は男性より女性の方が高く年齢も若い。スマホと女性の親和性が高いと考え、女性をターゲットにしたスマホアプリを開発することになったのがきっかけです」(土岐氏)。

 女性をターゲットにしたサービスはさまざまだが、ユーザーの規模が一番大きいと考えたのが「ビジュアルコミュニケーションである写真の編集・加工ツールアプリでした」と酒井氏は説明する。そして差別化を図るために打ち出したのが「ファッション誌・ブランドの世界観を実現できるコラージュアプリ」というコンセプトだ。酒井氏は日本独特の「かわいい」文化に目を付け、クオリティが高くかわいいコラージュアプリを開発できれば後発でも市場で勝つことができると考えた。

 cameranコラージュは「nonno」「MORE」「BLENDA」「LEE」といった人気の女性向けファッション誌のほか、フランス発のフレグランス専門店「L’OCCITANE(ロクシタン)」、大人かわいいインテリア雑貨がそろう「Afternoon Tea LIVING」などとコラボしており、テーマごとに用意された豊富なデコレーション素材と使いやすいユーザーインタフェースが特徴だ。

成功の鍵は、クリエイティブと品質の両立

photo 「クリエイティブは特にこだわった」という酒井氏

 では、短期間で多くのユーザーを獲得できた要因はどこにあったのだろうか。酒井氏いわく、「成功の鍵はクリエイティブと品質の両立」。いずれも徹底して行ったというユーザーヒアリングの中から重要度が高いと判断して注力したものだ。

 クリエイティブについては、コラボレーションしているパートナー企業と長いスパンで話し合いをし、どういった素材の提供をしてもらうかをブラッシュアップしていくという。酒井氏は「コラボしたブランドとどのような世界観を作り上げていくかを共有し、それを形にしていくのは難しい部分もありますが、それを徹底することで差別化につながります」と話す。

 これまでの写真編集系アプリは海外発のものも多く、日本人好みのかわいい素材が少なかったと考えていた酒井氏は、おしゃれやかわいいを突き詰め、しっかりとした世界観を持つ雑誌社やブランドを厳選してコラボレーションを始めた。さまざまな年齢層やジャンルの雑誌とコラボすることで、幅広いユーザーを獲得することに成功している。土岐氏によると、「ユーザーの9割が女性で、年齢は18〜34歳。ほかの編集アプリよりユーザーの平均年齢が高いのが特徴です。アクティブに写真を撮る20代の社会人や、小さなお子さんのいるママなどをターゲットにしています」ということだ。「いいものがあると、それを積極的に回りに伝えようとするというターゲットの特徴もユーザー増に影響しているかもしれません」(土岐氏)。

 続けて土岐氏は、「今はきちんとした世界観を持つ雑誌やブランドとのコラボが主ですが、今後は色がなくてもかっこよさやかわいさを持つブランドとのコラボもしていきたいです」と語った。

 また、スタンプやフレームといった素材だけでなく、過去のアルバムを本物のページめくりのように読めるアニメーションや、コラージュを削除する時に「シュポッ」と消えるアニメーションなど、細部の質感にもこだわっている。

photo 「前提条件として、アプリが落ちないことを重視しました」と話す黒田氏

 アプリの安定性も徹底的に追求した。ユーザーヒアリングの中で「落ちるアプリはあり得ない」という声が挙がったこともあり、「どれだけたくさんの写真をコラージュしても落ちないアプリ作りを心がけた」と黒田氏は話す。また、「コラージュと聞くと10枚くらいを組み合わせるのかなと思っていたんですが、実際100枚近い写真をコラージュしているユーザーがいて、驚きました。写真が増えるとその分必要とするメモリも増えるのですが、そこでアプリが落ちないようにストレスなく使える実装をしていきました」と続けた。App StoreやGoogle Playにおいて、使い勝手に関するユーザー評価が高いことが特徴であるため、「高い品質を引き続き維持していきたい」と酒井氏は意気込みを語った。

“F1層”にリーチできる魅力あるメディアとしてのマネタイズ

 多くのユーザーを獲得できたため、cameranコラージュは次の段階としてマネタイズに注力している。現在の状況について土岐氏は、「ユーザービリティを考えてバナー広告は出さず、自然に読んでいただける形のネイティブ広告を入れています」と説明する。

 具体的には、化粧品メーカーなど女性向けアプリを提供する企業と提携し、cameranコラージュで、ユーザーが素材をダウンロードをするために、アクションを促す仕組みだ。読者には企業のLINEスタンプをイメージしてもらうと分かりやすいだろう。欲しいスタンプがある場合は、企業の公式アカウントと友達にならなければならないが、cameranコラージュでは、LINEスタンプが各種素材に入れ替わっている。

「企業にとって、「20〜34歳までの女性」を指す“F1層”と呼ばれるユーザーにリーチできるcameranコラージュは、魅力的なメディアであり、広告出稿先になると思っています。今後はほかの女性向けアプリや商品を提供する幅広いジャンルの企業さまと提携し、アプリ内で積極的に送客を行っていきたいです」と土岐氏は今後の展望を語った。

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