MVNO市場が市民権を得るにつれ、いわゆる「格安スマホ」も盛り上がりを見せています。以前のような「安かろう悪かろう」ではなく、必要十分なスペックで、なおかつデザイン的にも遜色のない、高級感のある端末が登場するようになりました。
今回ASUSから、ZenFone 5をお借りすることが出来ましたので、レビューしたいと思います。
ZenFone 5は今年1月にラスベガスで開催されたCES(家電見本市)で、兄弟機にあたるZenFone 4、ZenFone 6と共に発表されました。ナンバリングの4/5/6はそれぞれ画面サイズを表しており、ZenFone 5は5インチモデルになります。なお執筆時点国内で販売されているのはこのZenFone 5のみです。
先日、楽天のMVNOサービス「楽天モバイル」がスタートしましたが、楽天モバイルが端末+SIMセットとして扱っているのもこのZenFone 5になります。ただ、後述するようにASUS直販モデルと楽天モデルではストレージ容量が異なりますのでご注意ください。今回レビューするのは直販モデル(A500KL-RD16、16GBモデル)です。
サイズは今時の5インチスマホとしては少し大きめ。
上の図は、左からXperia Z1(5インチ)、ZenFone 5(5インチ)、iPhone 6 Plus(5.5インチ)。Z1より少し大きいです。厚みも最厚部10.34mmと厚めですが、周辺部は薄いので持ちやすく、厚さを感じさせません。
なお、画面下部の3つのボタン(戻る、ホーム、最近のアプリ)は印刷です。バックライトなどはないので暗所では見えませんが、慣れれば問題無いでしょう。
重量は145gと軽量で長時間持っていても苦になりません。写真だと伝わりにくいのですが、背面パネルは樹脂製にも関わらずメタリック感があり、チープさは感じられません。デザイン的には格安スマホの枠を超えていると言って良いでしょう。
主なスペックは以下の通り。
CPU | Qualcomm® Snapdragon™ 400 動作周波数:1.2GHz |
---|---|
OS | Android™ 4.4.2 |
ディスプレイ | 5型ワイド TFTカラータッチスクリーン IPS液晶 (LEDバックライト) Corning® Gorilla® Glass 3 |
解像度 | 1,280×720ドット |
グラフィック | グラフィックス機能:Adreno 305 |
メモリー | 搭載容量:2GB |
記憶装置(Flashストレージ) | eMMC:16GB/32GB ASUS WebStorageサービス:5GB (永久無料版) |
Webカメラ | 800万画素Webカメラ内蔵 (アウトカメラ) 200万画素Webカメラ内蔵 (インカメラ) |
サイズ | 高さ148.2mm×幅72.8mm×奥行き10.34mm |
バッテリー駆動時間 | Wi-Fi:約11時間 モバイル通信時:約6.5時間 連続通話時間:約1230分 (3G) 連続待受時間:約395時間 (3G)、約180時間 (LTE) |
重量(バッテリー含む) | 約145g |
無線LAN機能 | IEEE802.11b/g/n |
Bluetooth機能 | Bluetooth® 4.0 |
直販モデルでは、Flashストレージが16GBのモデル(税込28,944円)と32GBのモデル(税込32,184円)の2種類があります。楽天モバイルで販売しているモデルはストレージが8GBで28,512円になります。多くのアプリをインストールされる方は直販モデルの方が良さそうです。
この価格帯では最高峰のスペックと言えるのではないでしょうか。
参考までに、Antutuベンチマーク(v.5.2)のスコアは18227でした。
現在のハイエンド端末(Xperia Z3やGalaxy S5など)では40000前後行きますが、このスコアでも大抵の用途には十分です。アスファルト8あたりの重めのゲームでも(少々フレームレートは落ちますが)プレイできます。
1週間ほど使用しましたが、バッテリーの保ちも満足のいくものでした。
ZenFone 5では、「Zen UI」という独自のインターフェースを搭載しています。標準的なAndroid UIと大きくは変わりませんが、綺麗にまとめられている印象です。
左がロック画面、右がホーム画面。
ロック画面には独自の“What’s Next”アプリと連動したスケジュールや、VIPとして設定したユーザーからの未読メールが表示されます(もちろん非表示も可能)。
また、電話やメッセージ、天気アプリなどを1スワイプで開けるよう工夫されています。
オリジナリティ高いのは、通知パネル&クイック設定パネルでしょうか。
左が通知パネル、右がクイック設定パネルです。
呼び出し方がユニークで、画面最上部の左側を下にスワイプすると通知パネル、右側を下にスワイプするとクイック設定パネルが表示されます。一度の動作でクイック設定パネルを呼び出せるのは便利です。設定項目もかなり多め。メモリ解放があるのも嬉しいところ。
と、上級者向けの顔を持つ一方、ちゃんとスマホ初心者向けに「簡単モード」も用意されています。
オンにするとこんな感じ。左がロック画面、右がホーム画面です。
潔さが素晴らしいですね。「電話」「連絡帳」アプリなどは、簡素化されたUIに切り替わります。初心者でも安心。
さらに、日本語入力で定評あるATOKを標準で搭載しており、日本市場に向けた本気度が感じられます。
ZenFone 5は非常にバランスの取れた端末で、普段はXperia Z1を使用している筆者ですが、大きな不満を感じることはありませんでした。日常使いには十分です。強いて言えばカメラの画質は値段なりかなと感じました。
今の時代、ハイエンドのパソコンを買う人は非常に少数派です。それは、廉価なパソコンでも一般的な用途には必要十分な性能を持つに至ったためでしょう。同様の流れが、スマートフォンの世界にも来ているのではないでしょうか。「誰もが当たり前にハイエンド」な時代は終わりを迎えようとしています。
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