ソニーモバイルが「Xperia Z4 Tablet」の軽量化にこだわった理由Mobile World Congress 2015

» 2015年03月05日 23時35分 公開
[村上万純,ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズがモバイル関連見本市「Mobile World Congress 2015」(スペイン・バルセロナ)で発表した「Xperia Z4 Tablet」は、10型クラスのタブレットながら厚さ6.1ミリ、重量も389グラム(Wi-Fiモデル)/ 393グラム(LTEモデル)と薄さと軽さを追求したAndroidタブレットだ。

 ソニーモバイルコミュニケーションズで商品企画を担当する伊藤博史統括部長は、「Xperia Z4 Tabletでは特に軽さにこだわった」と話す。なぜ軽量化に注力したのか。設計担当の斉藤裕一郎シニアプロジェクトマネージャーも交えて、企画面と技術面の苦労や工夫を聞いた。なお、Bluetoothスピーカーやヘッドセットなどアクセサリー関連の担当者にもインタビューを行ったので、別項で改めて紹介したい。

photo ソニーモバイルコミュニケーションズで商品企画を担当する伊藤博史統括部長

理想は「生活に溶け込む360グラム台」

photo PlayStation 4のリモートプレイを10型の大画面で楽しめる

 Xperia Z4 Tabletは、厚さ6.4ミリだった前モデルの「Xperia Z2 Tablet」から0.3ミリ薄くなり、さらに軽量化にも成功した。同時にIP65/IP68相当の防水/防じん性能をサポートし、キャップレス防水のMicro USB端子やイヤフォンジャックを備えるなど、使い勝手も向上させている。

 高精細なワイドQXGA(2560×1600ピクセル)表示対応の10.1型ディスプレイと64ビットのオクタコアプロセッサを搭載しており、エンターテインメントに注力するソニーモバイルらしく、動画や音楽視聴、ゲームなども大画面でしっかり楽しめる。そんなXperia Z4 Tabletはどのようなコンセプトで開発されたものなのだろうか。

 伊藤氏は「ミュージックやゲームなどのエンタメ分野、ディスプレイ、カメラ、デザインといったXperiaの特徴を突き詰めてしっかりとした新型タブレットを出そうと話しました」とした上で、「今回は特に重さにこだわりました」と話す。

 「新端末を作る時はいつも開発(技術)と企画で議論になるが、企画側は重さにこだわり、まず360グラム台の重さを目指そうと決めました」と伊藤氏。というのも、日常生活を送る中で我々自身が使っているものを片っ端から測ってみたところ、おおよそ360グラム台だったからだ。

 「350ミリリットル入りの缶飲料は重さがおよそ380グラム台で(390グラム前後の)Z4 Tabletに近い。缶飲料のようにカバンの中に入っていたり、手で持ったりしても違和感なく自然に生活に溶け込む重量感にしたかった。そこから初めてユーザーとのコミュニケーションが始まっていくと考えました」(伊藤氏)

コンマ単位の見直しで薄型化・軽量化に成功

photo ソニーモバイルコミュニケーションズで設計を担当する斉藤裕一郎シニアプロジェクトマネージャー

 「目標360グラム」を掲げる伊藤氏に対して設計担当の斉藤氏は「最初はできるわけないだろうと思ったが、やってやろうと受けてたちました」と振り返る。

 斉藤氏は薄型化・軽量化のポイントを「液晶ガラス、バッテリー、筐体全体の作り込み」と説明。各設計を一から見直し、液晶ガラスで20グラム、バッテリーで10グラム、筐体全体で5グラムほど軽量化を実現し、同時に各部品の小型化・薄型化にも成功した。

 「Xperia Z2 Tabletの遺産(ノウハウの蓄積)がある」としながらも、「(キャップレス防水対応の)イヤフォンジャック回りは特に難しく、カメラ回りもコンマ1ミリ単位で設計した」と苦労をにじませた。防水構造も変更し、これまでは水の流入を外側から防ぐ構造だったが、Z4 Tabletでは内側から水を防ぐパーツを付けて薄型化を実現。サイドパネルもXperia Z3では金属を使っていたが、タブレットではより軽量な樹脂素材を採用している。ちなみに、今後発売していく製品もキャップレスUSBを導入していく予定だという。

 Xperiaならではのエンターテインメント体験を支える高精細なワイドQXGA(2560×1600ピクセル)ディスプレイにも注目だ。伊藤氏は「高画素になると画面が暗くなり、色にもムラが出がちになるが、2Kディスプレイながら世界最高輝度を実現しました」と胸を張る。音楽関連でも、本体単体でのハイレゾオーディオ再生に対応し、ハイレゾを含む高音質な音源をワイヤレス環境で楽しめるBluetoothの新コーデック「LDAC」をサポート。64ビットのオクタコアプロセッサを採用したこともあり、伊藤氏は「Z2 Tabletの倍のサクサク感を体験できる」と説明。「LTEやWi-Fiの通信速度も(Z2 Tabletから)ほぼ倍になったので、圧倒的なスピードを体験できる」と自信を見せた。また、OSはAndroid 5.0を採用しており、従来のウォークマンアプリを順次ミュージックアプリに対応させる予定だという。

キーボードも「重さ」がキーワード

photo Bluetoothキーボード「BKB50」

 ソニーモバイルはZ4 Tabletの発表と同時に、タブレットをノートPCのように操作できるBluetoothキーボード「BKB50」も発表した。こちらも薄さと軽さを追求し、重量を389グラムに抑えた。タブレットと合わせても800グラムを切り、一緒にカバンに入れても負担が少ない。「タブレットと合わせてとにかく重さにこだわりました」と伊藤氏は説明する。

 伊藤氏は「10型タブレットの楽しみ方、使い方が変わってきており、いろんなユースケースが広がってきている」と話す。BKB50はタブレットの角度を0〜130度まで調節でき、クラムシェルノートPCのように収納できる。Bluetoothキーボードとして、エンタメからビジネスシーンまで幅広い用途で利用可能で、「タッチパッドを搭載し、キーピッチも使いやすい幅なのでライトユーザーはPCのように使えるし、ヘビーユーザーがしっかり使うのも申し分ない」と伊藤氏は説明する。

 キーボードのバッテリーは連続1カ月ほど利用可能。タブレットを装着すると自動的にBluetooth接続されるため、ユーザーはストレスなく利用できるのが特徴だ。さらにZ4 Tabletでは、BKB50とドッキングさせると画面の左下に各アプリが素早く起動できる専用のランチャーも表示される。

メリハリを付けた「スーパーミッドレンジモデル」

photo 「Xperia M4 Aqua」

 海外向けの「スーパーミッドレンジ」端末として発表されたAndroidスマートフォン「Xperia M4 Aqua」について、伊藤氏は「Xperia Z3そっくりだという声をよく聞きます」と笑う。さらに、「M4 AquaはZ3の『カメラ、防水、デザイン』という3つのコンセプトを受け継いでいます」と続けた。

 Xperia M4 Aquaは、有効約1300万画素のメインカメラ、88度の広角撮影に対応する500万画素のインカメラを搭載し、IP65/IP68相当の防水/防じん性能をサポート。ボディは厚さ7.3ミリとスリムで、キャップレス防水にも対応した。容量2400mAhのバッテリーとソニー独自のスタミナモードで「2日連続で使える」ことも特徴だ。一方、5型ディスプレイはHD(720×1280ピクセル)表示で、カメラのセンサーもZ3とは異なるものを採用した。「妥協しないプレミアムなコンパクトモデルである『Xperia Z3 Compact』などとはスペックにメリハリをつけ、異なるレンジのモデルにしました」と伊藤氏は語る。

 日本のMVNO市場にミドルレンジモデルを供給するメーカーも増えてきているが、現時点で日本市場での提供予定はなく、ターゲットはあくまで海外市場だという。


 フラッグシップスマートフォンの発表はなかったが、MWC 2015ではBluetoothスピーカーやヘッドセット、ウェアラブルなど、アクセサリーの展示も目立ったソニーモバイル。特に天気予報やスケジュールなどを話してくれるロボットのようなBluetoothスピーカーは、今後どのような機能が追加されていくかに注目だ。次回はアクセサリー開発のキーパーソンに話を聞いていく。

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