そうしたBladeシリーズのコンセプトが生かされているのが、今後アップデートでg03に搭載される予定の、網膜認証によるロック解除機能だ。最近ではiPhone 6など多くの端末が、指紋認証機能によるロック解除を採用しセキュリティを高める取り組みを進めている。だがZTEでは、高いセキュリティと正確性を確保しながら、ソフトの改修で実現できるなどコスト効果が高い生体認証手段であることから、網膜認証を採用したと張氏は話している。
「中国メーカーはコストを重視した戦略をとるイメージが強いが、ZTEはエンドユーザーに手頃なプレミアム感を提供することで、他社との差別化を図る」と、曽氏はZTEの端末ビジネスの方針について説明する。単にプレミアムな価値を提供するだけではコストが跳ね上がってしまうが、ZTEではグローバルメーカーとしてのボリュームを生かすことで、コストを抑えながらクオリティを確保することを重視し、それによって“手頃なプレミアム感”の実現につなげているのだそうだ。
「ZTEのグローバル戦略としても、日本はアジア太平洋地域で最も重要な市場と認識している」と曽氏が話すように、今回のNTTレゾナントへの製品供給を機に、ZTEはスマートフォンによる日本市場開拓を積極化させる方針のようだ。
しかしながら日本市場は、iPhoneが最も大きなシェアを占めるなど世界的に見てもかなり特殊な市場となっており、米Apple以外の海外メーカーはシェア獲得に苦しんでいるのが現状だ。それでもなお、日本市場を重視して取り組もうとしているのはなぜだろうか。
日本市場の特性について、曽氏は「日本のユーザーはクオリティをとても重視し、ユーザーエクスペリエンスが高いものを好むというのが、私の認識」と分析する。そこでZTEでは、国内キャリアとのビジネスを7年間経験した中で、品質に対する姿勢を大きく変えてきたほか、デザイン面においても日本の有名デザイン会社とパートナーシップを組み、重点的に取り組んでいると話す。
品質へのこだわりは、もちろんSIMフリー市場への端末提供においても生かされているとのこと。日本市場におけるクオリティへの要求水準の高さが、ZTEの製品戦略と親和性が高いことから、日本を重要な市場と位置付けて取り組んでいると、張氏は説明している。
また曽氏は、グローバルメーカーという側面においても、日本は重要な市場であると話している。ZTEはソニーのカメラモジュールのほか、シャープやジャパンディスプレイの液晶ディスプレイなど、多くの日本メーカーからスマートフォン用部材を調達している。その購買量は「毎年コンスタントに5億ドル、今年の第1四半期で1億ドル」(曽氏)にも達していることから、部材調達の面でも日本市場との関係性を深めたいとしている。
北米ではNBAのプロバスケットボールチームのスポンサーになっているが、日本でも2011年よりソフトバンクホークスのオフィシャルスポンサーになるなど、製品だけでなくプロモーションの面でもブランド価値を高める取り組みを進めているZTE。SIMフリー市場に本腰を入れて取り組み始めたことにより、日本市場でどこまで存在感を高められるかに注目したい。
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