「Xperia Z4」はなぜ海外では「Xperia Z3+」なのか?

» 2015年05月31日 13時46分 公開
[田中聡ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズが、日本で発売予定の「Xperia Z4」を、海外では「Xperia Z3+」として投入することを発表した(→「Xperia Z4」、海外では「Xperia Z3+」として発売へ)。この発表を聞いて驚いた人も多かっただろう。これまで、「Xperia GX」と「Xperia TX」、「Xperia NX」と「Xperia S」など、日本と海外で異なる製品名のXperiaを投入したことはあったが、シリーズ名の番号が異なるというのは初めてだ。

photo 海外で発表された「Xperia Z3+」。スペックやボディカラーなどはXperia Z4と同じだ

 Xperia Z3+のスペックは、ワンセグ、フルセグ、おサイフケータイなど日本向けの機能を除けばXperia Z4と同じ。つまりZ3+はZ4の海外版という位置づけだ。Xperia Z4の海外展開は、同モデルの発表直後から「検討中」とのことだったが、まさかXperia Z3+という製品名で発表されるとは思わなかった。筆者がZ3+のニュースを見て真っ先に思ったのが「Xperia Z4とは何だったのか……」ということ。

 ソニーモバイルは「Xperia Z4はXperia Zシリーズの完成形」とうたっていたが、これでは「Z4はZ3のマイナーチェンジ版」だと自らが認めているようなものではないか。Xperia Z4が日本でのみ発表されたときは、日本のユーザーとしてはちょっとした優越感に浸れたが、Z3+の発表で、「あっ…(察し)」という複雑な思いに駆られてしまった。

photophoto ロゴの部分を除けば、外観もXperia Z3+とXperia Z4は同じだ(写真はXperia Z3+のカッパー)

 なぜ、あえて日本と海外で製品名を変えたのか。ソニーモバイル広報部に聞いたところ、「市場のニーズに合わせて最適なものをお届けするため、(製品名についても)通信キャリアと話し合っている。その結果、日本では最新のイノベーションを積んだものをお届けするため、Xperia Z4という名称にした。海外ではXperia Z3が堅調に売れており、Z3の新たなプレミアム版として、Z3+を出させていただいた」とコメント。

 日本の場合、夏と冬という大きな商戦期を迎えるため、端末メーカーは年に2回のモデルチェンジを強いられる、2014年10月に発売されたXperia Z3はまだ現役ではあるが、後継機のXperia Z4が発売されることで、徐々にキャリアからの注文が抑えられる可能性が高い。

 このように商品サイクルの早い日本でXperia Z3+という製品名で投入すると、マイナーチェンジととらえられ、先進的なものを好む日本人に受け入れられない……と判断したのだろう。つまりXperia Z4としたのは、あくまでマーケティングの観点によるものだったわけだ。

 しかしZ4とZ3+で中身が同じなのに「最新のイノベーションを積んだものをお届けするため」という理由はちょっと苦しい。製品名を「通信キャリアと話し合っている」と述べていたとおり、Z4にしたのは、製品を販売するキャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)の意向によるもの、と考えていいだろう。

 一方、海外では通信キャリアを介さないオープンマーケットでSIMロックフリーモデルも販売されており、日本に比べて1モデルの息が長い傾向にある。実際、1年以上前に発売されたXperia Z2も、「海外ではまだ現役」(ソニーモバイル)なのだ(日本のXperia Z2 SO-03Fはすでに生産終了)。Xperia Z3+の発売後も、Xperia Z3はしばらく併売していくという。そんな中、海外でXperia Z4という製品名で出すと、Xperia Z3が「古い機種」と見なされて売れなくなる……と判断したのだろう。

 個人的には、Xperia Z4でもXperia Z3+でもいいから、製品名は統一してほしかった。日本では、かつてドコモがiモードケータイにて、505iと505iSなど、各シリーズのセカンドモデルを「iS」シリーズとして販売していたこともあるし、Xperia Z3+として売っても大きな影響はなかったように思える。

 ついでに言うと、同時期にドコモが発売する「Xperia A4」も、「4」シリーズ共通のキャップレス防水でないのに、「A4」を名乗るのはちょっと違和感がある。1年前の「Xperia A2」の後継機なのだから、本来は「Xperia A3」だと思うのだが。国内外を含め、Xperiaの製品名は不可解なものをよく見かける。

 一方、海外でもXperia Z1〜Z3はほぼ半年周期で出していたのだから、Xperia Z4として売っても違和感はないはず。それに外観の変化は乏しくとも、OSやプロセッサなど中身は一新しているのだから、自信を持って「Xperia Z4だ」と言ってもよかったのではないか。

 「Xperia NX」と「Xperia S」など“シリーズ名の一部”が違うのならまだ納得はいくが、同じ中身で“シリーズのグレード”が違うのは、やはり違和感がぬぐえない。iPhoneでいうと、「iPhone 5s」を日本だけ「iPhone 6」で売るようなものだ。

 ソニーモバイルによると、Xperia Z4の名前を使うのは、現在のところ日本のみで、欧州や中南米をはじめ、アジアの香港や台湾でもXperia Z3+という製品になるという。気になるのは次の製品名。海外ではXperia Z4を飛ばして日本と共通の「Xperia Z5」となるのか、あるいはデザインチェンジを経て全く別のシリーズに生まれ変わるのか。いずれにせよ、今後海外で「Xperia Z4」の名前を見ることはほとんどなさそうだ。

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