アプリ開発者なら誰もが知ってる「App Annie」の実態に迫る:佐野正弘のスマホビジネス文化論(1/2 ページ)

» 2015年08月06日 15時00分 公開
[佐野正弘,ITmedia]

 スマートフォンアプリの市場データや調査ツールを提供し、その動向を知る上で欠かせないサービスとなっている「App Annie」。アプリビジネスの黎明期からランキングデータを提供してきた同社の取り組みや、最近の市場動向などについて、App Annie Japanのカントリーディレクターである滝澤琢人氏に話を聞いた。

photo App Annie Japan カントリーディレクターの滝澤琢人氏

そもそもApp Annieとは?

 App Annieといえば、スマートフォンアプリのビジネスに携わっている人ならその名前を知らない人はいないと言っても良いほど、非常に有名なサービスである。だがコンシューマー向けのサービスではないため、一般ユーザーの知名度は決して高くはないだろう。そこでまずは、App Annieとは一体どのようなサービスなのかを説明しておこう。

 App Annieは、簡単に言ってしまえば世界中のアプリマーケットの市場データを収集し、そのデータを用いた分析ツールを提供するサービスだ。例えば、App StoreやGoogle Playなどのアプリマーケットから国・カテゴリー別のアプリランキングを収集し、特定アプリの過去から現在に至るランキング推移を簡単にチェックできる。

photo 「App Annie」の利用イメージ。iOSアプリの人気チャートを表示してみた(8月3日時点)

 App Annieは、スマートフォンのアプリビジネスが黎明期にあった2010年に中国で創業。当時はApp StoreやAndroid Market(現在のGoogle Play)が誕生して間もない時期で、世界中でアプリ開発者が雨後の竹の子のように生まれている状況であった。その一方で、どのようなアプリを作ればユーザーに受け入れてもらえるのかが分からず、手探りでアプリの企画・開発を進めている状況でもあった。

 そこで、これからの開発者にはアプリマーケットのランキングを中心としたアプリ市場データが必要になるのではないか? と考えたことが、App Annieの創業のきっかけと滝澤氏は話す。その狙いがヒットしてApp Annieは急成長を遂げ、現在は米国のサンフランシスコに拠点を移すと共に、世界12の国や地域に拠点を構えている。

早期参入で存在感を高め、開発者必須のサービスに

 現在でこそ、アプリ市場分析ツールとして確固たるポジションを築いたApp Annieだが、同様のツールは他社も提供していた。にもかかわらず、App Annieが成功を収めたのはなぜだろうか。滝澤氏は「複数の要因が重なった結果」と答えているが、最も大きく影響したのは、やはり参入が早かったことであろう。

 App Annieが設立した2010年を振り返ってみると、当時はまだ「LINE」(2011年開始)も「パズル&ドラゴンズ」(2012年開始)も存在しておらず、提供されていたアプリもシンプルなものがほとんど。市場に対する期待感は高かったが、その先行きは不透明な状況でもあった。そうした環境にありながら、将来的なアプリ市場の成長を予測してサービスを提供し、データやノウハウを蓄積してきたことが、人気を得る大きな要因となったようだ。

 ではアプリを開発・提供する際にApp Annieはどう役立つのだろうか。簡単に説明すると、アプリ市場全体の動向を知り、戦略を立てるために使われることが多いとのこと。

 例えばApp Annieのデータを使えば、ランキングの1位に入るにはどれくらいのダウンロード数が必要で、1位を獲得すればそのジャンルでどれくらいのシェアを獲得できるかなど、多角的な分析ができる。これを元に、プロモーションからアプリのアップデート内容に至るまで、アプリ事業のさまざまな方針を決定する上で大いに役立てられている。

 開発者向けのアプリ分析ツールはいくつか提供されているが、その多くは自身のサービス利用者がどういった行動を取るかという“内部分析”が主体のものだ。だが競合サービスが増え、ユーザーの選択肢が増えてくると、内部分析を進めるだけではユーザーの利用を伸ばすのにも限界が出てきてしまう。それだけに、外部分析ができる環境を世界規模で提供しているApp Annieの存在は、非常に大きな意味を持つといえるだろう。

App Annieはどうやってデータを取得しているのか

 そのApp Annieが、多くのアプリ開発者などから信頼を得ている理由は、やはり充実したマーケットデータをそろえていることであろう。滝澤氏によると、同社のアプリ動向分析に用いるデータは、大きく分けて4つあるという。

 1つ目は、App StoreやGoogle Playなどで公開されている、国毎のアプリランキング情報。2つ目はアプリストアの利用状況データで、これはApp Annie自身が提供している無料の分析ツールを、デベロッパーに導入してもらい、そこから匿名化した情報を用いているとのこと。

 3つ目は、インストールされたアプリがどれくらいの頻度・時間で使われているかというデータ。これはApp Annieが元々所有していた技術に、5月に買収したカナダMobidiaの技術を加え、ユーザーの利用動向から収集しているという。そして4つ目は、現時点で米国でのみ行っているもので、マーケット上のアプリに対するユーザーのレビュー情報から、星の数(点数)だけでなくコメントも言語解析してデータとして活用しているのだそうだ。これら4つのデータを組み合わせることで、マーケットにおけるアプリの状況を多角的に分析している。

 しかしながら、アプリ内の動向や利用頻度などの行動データを取得されることに関しては、取得したデータを匿名化しているとはいえ、好ましく思わないユーザーも少なからずいるのも事実だ。この点について滝澤氏は、「App Annieのミッションは、アプリを使って何らかの革新的なサービスを生み出す人達を応援すること。収集したデータで個人を特定することはミッションにない」と答えている。

 App AnnieはあくまでBtoBのビジネスを展開しており、コンシューマー向けのサービスを提供している訳ではない。中立的な立場から市場動向を広く知る事を目的とし、匿名化した情報のみを収集していることから、BtoCのサービスが個人情報を収集し、トラッキングするのとはそもそも目的が大きく異なるのだと、滝澤氏は話している。

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