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» 2015年08月06日 15時00分 公開

アプリ開発者なら誰もが知ってる「App Annie」の実態に迫る佐野正弘のスマホビジネス文化論(2/2 ページ)

[佐野正弘,ITmedia]
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ローカル化が進みつつある世界のアプリ市場

 ではデータを提供するApp Annieの側から見て、現在のアプリ市場はどう変化しているのだろうか。滝澤氏によると、世界的に見るとアプリ市場はいくつかのグループに分類できるのだという。

 1つは、収益ベースで世界の過半数を占める規模を占めている“スーパーパワー”と呼ばれる市場。ここには日本のほか、米国と韓国の3カ国が含まれている。2つ目はヨーロッパで、スーパーパワーに比べると規模は4分の1から5分の1程度と小さいものの、先進国が多く手堅い収益が見込める市場であるという。

 そして3つ目は、人口が多く成長性が見込めるが、1人当たりの収益性はそれほど大きくない市場で、いわゆる「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)などが相当する。最近では、こうした市場に安価なスマートフォンが入り込んできたことで市場が急激に伸びていることから、注目されているとのことだ。

photo 国別の人気アプリを一目で確認できる

 また人気アプリの傾向も、国によって大きく異なる傾向が見られるという。特に日本と中国、そして韓国の東アジア3国は、それぞれが世界のアプリマーケットとは独立した市場となっており、ごく一部のグローバルサービスを除くと、ローカル企業が際立って強いという。一方で米国は、単独したマーケットというより“英語圏”として捉えられており、ローカライズがしやすいことからヨーロッパ各国も、米国と共通した傾向が見られるとのことだ。

 加えて最近では、特に新興国市場において「地域毎の独自性が見られるようになってきた」と滝澤氏は話している。新興国では従来、先進国が提供するグローバルアプリが流行する傾向が強かったのだが、ここ1、2年でその国の現地企業が提供するアプリが力を付けてきており、ローカル市場でダウンロード数を増やすケースが出始めているのだそうだ。

 もっとも、FacebookやTwitterなどのコミュニケーション系アプリは、グローバルなものが受け入れられていることが多いとのこと。だが比較的嗜好性の高いアプリ、特にゲームなどはローカル性が強いものが人気を博すようになってきていることから、アプリで海外に進出しようとしている企業にとっては大きな変化といえるだろう。

日本ではもう“数を打っても当たらない”

 では日本から見た場合、現在注目されている海外の市場はどこになるのだろうか。この点について滝澤氏は、「日本では今、東南アジアに強い視線が送られているようだ」と答えている。今後大きな成長が見込めるのに加え、地理的に近く、日本のアニメコンテンツなどが受け入れられる土壌が存在することが、その大きな理由として挙げられている。

 では日本国内のアプリ市場はここ最近、どのような変化が起きているのだろうか。滝澤氏によると、日本ではアプリのダウンロード数は比較的落ち着いてきており、「行き渡った人には行き渡ったのではないか」とのこと。だが収益面では前年対比で40%程度の伸びがあり、まだ大きく成長しているという。

photo

 そうした傾向から滝澤氏は、「今までは“数を打てば当たる”状況だったが、これからは消費者側がアプリを使い続けるかどうか、選別を進めていく傾向が強まるのではないか」と分析している。その傾向を象徴するように、最近ではダウンロード数がこれまでより多くないアプリであっても、高い売上を上げて売上ランキングのトップ10にランクするケースが増えているのだそうだ。

 では今後、App Annieはどのような取り組みに力を入れようとしているのだろうか。そのうちの1つは、プロダクトを充実させることだと滝澤氏は話している。現在App Annieでは膨大なデータに基づくさまざまな指標を提供しているが、その指標を増やすことでよりアプリに対する知見を高めることを目指している。

 そしてもう1つは、アプリ市場への参入者を増やし、市場そのものを一層活性化していくことだという。アプリ主体のビジネスをする企業だけでなく、顧客の接点を持つためアプリを提供するような企業であっても、モバイル戦略を正しく進められるよう情報提供していきたいと、滝澤氏は話す。

 かつてモバイルコンテンツの開発・運営に携わっていた筆者としては、ユーザーの動向や市場全体の動向を分析し、戦略を立てることがいかに重要であるかを身に染みて感じている。それだけにApp Annieの存在は、アプリを開発・提供する人にとって非常に大きな意味を持つことがよく分かるのではないだろうか。さまざまな人気アプリが生み出されている裏に、こうしたサービスの存在があることを、ぜひ知っていただきたい。

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