戦いの火ぶたは切られた――3キャリアの「iPhone 6s/6s Plus」を巡る攻防石野純也のMobile Eye(9月14日〜25日)(2/2 ページ)

» 2015年09月25日 00時50分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2       

iPhoneのネットワーク性能をフルに生かすドコモ

 キャリア同士の戦いでは、ネットワークにもスポットライトが当たる。ここで先行したのは、ドコモだった。同社はiPhone 6s、6s Plusの登場に合わせ、2GHz帯(Band 1)と1.7GHz帯(Band 3、1.8GHz帯と呼ぶ方が一般的)の2つの周波数を掛け合わせたキャリアアグリゲーションを開始。同社が「PREMIUM 4G」と呼ぶLTE-Advancedの速度は、国内最高の下り最大262.5Mbpsとなる。

photo ドコモは、4つ目のキャリアアグリゲーションの組み合わせてとして、2GHz帯と1.7GHz帯を活用。25日から正式にスタートする

 すでにLTE-AdvancedはAndroidでも導入されているが、最大の通信速度は下り225Mbps。これは、2GHz帯と1.5GHz帯(Band 21)および1.7GHz帯と800MHz帯(Band 19)の組み合わせによるもの。ほかにも、Androidでは2GHz帯と800MHz帯で、下り最大187.5Mbpsのキャリアアグリゲーションを実施している。ドコモはLTE-Advancedの導入に高度化C-RANと呼ばれる仕組みを導入しており、これによって「実行速度の速い周波数からキャリアアグリゲーションを的確に選択し、基地局と端末が申し合わせて通信する」(取締役常務執行役員 大松澤清博氏)ことが可能になった。

photo AndroidやWi-Fiルーターで使っていた3つの組み合わせが、1つ増えた格好だ。なお、2GHz帯と1.7GHz帯のキャリアアグリゲーションは、今のところiPhone 6s、6s Plus専用となっている

 このうち、iPhone 6s、6s Plusは、世界的に見ると珍しい1.5GHz帯には非対応。2GHz帯と1.5GHz帯のキャリアアグリゲーションが利用できない。もし2GHz帯と1.7GHz帯のキャリアアグリゲーションを導入していなければ、Androidより利用できる帯域幅の合計が少なくなってしまっていた。特に、2GHz帯と1.5GHz帯の組み合わせは、トラフィックが最も集中しやすい大都市圏を中心に、集中して導入されている。

photo 新しいiPhoneの対応周波数。日本特有の1.5GHz帯には非対応となる

 iPhoneの取り扱い開始が遅かったドコモは他社よりAndroid比率が高いとはいえ、混雑しやすい場所でキャリアアグリゲーションの組み合わせが減ってしまうのは、ネットワークにとってもマイナスだ。1.5GHz帯に対応していなかったiPhone 6s、6s Plusに合わせて、2GHz帯と1.7GHz帯を導入したのは、そのためだ。2GHz帯と1.7GHz帯の組み合わせであれば、速度も262.5Mbpsとなり、あくまで理論値だが、他社をリードできる。

photo 2GHz帯と1.7GHz帯を活用することで、キャリアアグリゲーション対応エリアにも厚みを出せる

 実際、auは下り最大225Mbpsで、Galaxy S6 edge発売時点と、最高速度は変わっていない。ドコモと同様、2GHz帯と1.7GHz帯を持つソフトバンクも、この組み合わせでのキャリアアグリゲーションは行っておらず、2GHz帯と900MHz帯(Band 8)のキャリアアグリゲーションでの最高速度も187.5Mbpsにとどまっている。

 2GHz帯は、ドコモが基盤として整備してきた周波数帯。1.7GHz帯も東名阪など一部地域に限定されているが、「特に力を入れて、都市部を中心に大幅な増強をしてきた」(大松澤氏)周波数帯だ。「(iPhone発売時点で)1.7GHz帯のすべてがキャリアアグリゲーションに対応しているわけではない」(同)というものの、すでに広がっているエリアを対応させていくだけなので、スピーディな展開が可能。2015年度末までに、キャリアアグリゲーション対応基地局は1万8000局に拡大していくという。

photo
photo 年度末までには、1万8000局、900都市以上に対応を広げていく

 もちろん、ネットワークは理論値の最高速度が速ければいいというわけではないが、LTE-Advancedの導入は実行速度の向上にも貢献する。ドコモによると、LTE-Advanced導入前後を比較したとき、最繁時でも都市部で20%、全国平均で10%の実効速度の向上が確認できたという。ドコモは下り最大262.5MbpsのLTE-Advancedに関する説明会を開き、そこに合わせて、LTE-Advanced対応のエリアマップも公開した。こうしたところからも、ドコモの自信のほどがうかがえる。

photo LTE-Advancedの導入によって、実効速度も都市部では20%向上したという

 auはWiMAX 2+、ソフトバンクはAXGPも活用しており、エリアも広がっているため実効速度の優劣を一概に比較することは難しいが、下り最大300MbpsのLTE カテゴリー6に対応したiPhone 6s、6 Plusの性能を最も引き出せるのが、ドコモのネットワークといえるだろう。

 iPhone 6s、6s Plusを巡る戦いは、料金で攻めるKDDIに対し、ネットワークで勝負するドコモという構図が浮かび上がってくる。2社に対し、有効な対抗策を講じられていないソフトバンクは、どちらかといえば防戦を強いられている印象だ。もちろん、同社は真っ先にiPhoneを取り扱ったキャリアであり、既存ユーザーも多いため機種変更需要も見込める。ただ、かつてのソフトバンクにあった攻めの印象が薄れている印象は否めない。

 こうしたキャリアのアピールに対し、ユーザーはどのような判断を下すのか。新しいiPhoneを巡る戦いの火ぶたは、間もなく切られようとしている。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月04日 更新
  1. 「モバイルSuica」復旧後も続く混乱…「物理カード最強説」再浮上 今さら聞けない自衛策を解説 (2026年07月02日)
  2. エディオンら、携帯契約時に義務違反 総務省が発表 NTTドコモにも行政指導 (2026年07月03日)
  3. 「ドコモSMTBネット銀行」始動まであと1カ月 下準備は着々と (2026年07月03日)
  4. au PAYとPontaのキャンペーンまとめ【7月2日最新版】 Pontaポイントをお得にゲット (2026年07月02日)
  5. 「メイドインジャパンでは飯が食えない」現実に挑む CIOが“国産充電器プロジェクト”始動、2026年秋に第1弾発売へ (2026年07月01日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. シャープが衛星通信サービスに参入、「2027年の5G NTN標準化でビッグバンが起こる」 AQUOSの小型化技術を生かして端末開発も (2026年07月02日)
  8. PayPay、他社クレカを「完全排除」せず 使うには“利用券”が必要に (2026年07月01日)
  9. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【7月3日最新版】 「超トク還元祭」で高額ポイントゲット (2026年07月03日)
  10. 転売屋によるスマホ回線の「短期解約」「ホッピング」 総務省の検討する対策は十分なのか? 店員からの意見 (2026年07月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー