「Xperia Z5」と「Xperia Z5 Premium」は、ソニーモバイルコミュニケーションズの最新ハイエンドスマートフォンだ。真のハイエンド機はXperia Z5 Premiumだが、4Kディスプレイを除くと、カメラやオーディオ周りなど共通している部分は多い。では実際の使用感はどれだけ違うのだろうか。ディスプレイの美しさやパフォーマンスを比較していく。まずは「ディスプレイ編」をお届けしよう。
何といっても気になるのはディスプレイの画質だ。Xperia Z5の5.2型/フルHD(1080×1920ピクセル)に対し、Xperia Z5 Premiumは5.5型/4K(2160×3840ピクセル)という大きく高精細なディスプレイを搭載している。1インチあたりのピクセル数を示す画素密度(ppi)は、Xperia Z5の約424ppiに対し、Z5 Premiumは約801ppiにも及ぶ。
一方で、ここまで精緻な表示を5.5型サイズでどこまで体感できるのかは疑問が残る。人間の目が認識できるピクセル数は視聴距離や視力などの条件で変化するが、「iPhone 4」にRetinaディスプレイが初めて採用されたとき、Appleは「人間の目が画素を認識する限界といわれる300ppiを上回る高精細表示」とアピールしていた。それだけに、Xperia Z5 Premiumが誇る801ppiものピクセルを肉眼で認識できるとは到底思えない。
Xperia Z5とZ5 Premiumのいずれも、ソニーのテレビ「ブラビア」で培った映像技術を生かし、広色域の「トリルミナスディスプレイ for mobile」、低解像度の画像や映像をクリアに表示する「X-Reality for mobile」、動画コンテンツで明るさや黒さを際立たせて表示する「ダイナミックコントラストエンハンサー」を取り入れている。3つ目の「ダイナミック〜」はZ4までにはなかった技術で、実はZ5の表示性能も向上している。
では、Xperia Z5/Z5 Premiumでどれだけ実際の見た目に差があるのだろうか。2機種のディスプレイをさまざまな面から比較してみた。
まず、輝度を中間程度に固定し、2160×3840ピクセルの同じ写真を「アルバム」アプリで表示させて、その見た目を比較した。なお、2機種の画面全体を比較したものは、写真を等倍で表示しているので、画面サイズの大きいZ5 Premiumの方が精細さの面で不利になる。そこで、画素密度を平等に比べられるよう、同じ画素(ピクセル)数でトリミングした画像も並べた。
下記の大型ちょうちんの写真は、2機種ともちょうちんの明るい部分と背景の暗い部分のメリハリが効いており、キレイに表現できている。では2つの違いはというと……正直なところ、スマートフォンの画面を肉眼で見た限りは、ほとんど分からなかった。
下記の夜景、木+空、海辺、食べ物の写真も、解像感の差は感じられなかったが、画作りは違うと感じた。例えば夜景は、夜空の黒い部分は、Xperia Z5 Premiumの方が引き締まった黒に見えた。青空も、Z5 Premiumの方がより「スカイブルー」に近く鮮やかだ。食べ物は、(後述するが)Z5 Premiumの方が青みが強く、おいしそうなのはXperia Z5だと感じた。
アルバムアプリで表示した写真は、フルHDでも4K相当にアップスケールするはずだが、少なくとも下記の果物(フルHD)の写真ではその効果は感じられなかった。
人物(赤ちゃん)の写真を見比べると、解像感の違いを肉眼で判別するのは厳しかったが、Xperia Z5 Premiumの方が肌の陰影が強調されており、より立体的に表現できていると感じた。
Xperia Z5 Premiumで写真を表示すると、いったん表示してから少し間をおいて「キリッ」と奥行き感のある表示に変わる。これは解像度を復元させるX-Reality for mobileによるもの。試しにX-Reality for mobileをオフにすると、キリッとした表示にはならなかった。上記で述べた人肌に陰影が付くのも、この「キリッ」とした後。X-Reality for mobile自体はZ5もサポートしているが、その効果がより生きてくるのはZ5 Premiumのようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.