コードは世界を変える?――未来を創るApple 4つのプラットフォーム 神尾寿のMobile+Views(4/6 ページ)

» 2016年06月14日 21時23分 公開
[神尾寿ITmedia]

OS Xは「macOS」へ――iOSなどとの連携がさらに進む

 「(Mac用の)OS Xを進化させるとき、まずは名前をどうするか、が開発チームにとって重要なテーマになる」

 tvOSの紹介が終わり、代わって登壇したApple ソフトウェアエンジニアリング 担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏は、冒頭でそう話し出して会場の笑いを誘った。周知の通り、Mac用のOSは歴代さまざまなニックネームが付けられてきた。かつては猫科の動物たちの名前が採用され、ここ最近はカリフォルニア州の地名が選ばれていた。例えば現行のOS Xに冠される「El Capitan」は、ヨセミテ公園内にある有名な一枚岩のことである。

 「しかしわれわれは考えた。そもそもOS Xの名前は、(Appleの)他のOSと並べてそぐわないのではないかと」(フェデリギ氏)

 そして明かされたのが、新名称の「macOS」である。実はMac OSという名称は1997年から2011年まで使用されていたが、2012年の「OS X Mountain Lion」で頭の「Mac」の文字が外されたという経緯がある。それから4年ぶりに、今度は小文字の「mac」を付けての再登場というわけだ。実際のロゴを見ても、今回のmacOSの方がスマートデバイスの流れをくむモダンOSっぽくて、印象はとてもよい。そしてニックネームはSierraとなり、リニューアル後の正式名称は「macOS Sierra」である。

WWDC 2016 Mac用のOS Xは名前が改められて、「macOS Sierra」に
WWDC 2016 macOS Sierraの特徴は、iOSやwatchOSなど他のOSとの連携強化や、クラウドサービスの強化だ

 このように新装開店となったmacOS Sierraだが、その中身は、現行のOS X El Capitanを着実に洗練させたものになっている。それもそのはず、OS Xは2010年頃からiPhone/iPadで培われた機能やUIデザインをMac用に再解釈し、積極的に実装してきた。以前から続くPC文化も受け継ぎつつも、ポストPC時代のモダンなエッセンスを段階的に取り入れてきたのだ。そのため、他のPC向けOSのようにユーザーの混乱を招くような大改変をしなくても、とてもエレガントな形で、スマートデバイス時代のOSとして成熟してきているのだ。

 そのような中で、macOS Sierraの大きな特徴になっているのが、さらに進んだiPhone/iPadとの連携機能である。

 なかでもとりわけ便利そうなのが、「Universal Clipboard」。これは同じAppleアカウントで利用中のmacOS Sierraと、iPhone/iPadなどiOSデバイスの間で、クリップボードの共有ができるというものだ。例えば、家族や友達からiPhoneのLINEアプリに送られてきた写真をUniversal Clipboardにコピーし、手元にあるMacBook上のアプリに貼り付ける、といったことが簡単にできる。またMacでレポートやプレゼン資料を書きながら、iPadで資料のWebサイトや電子書籍を開いているといったシチュエーションでも、このUniversal Clipboardは有効だ。クリップボードの共有は一見すると地味な機能に見えるが、実際に使ってみたら手放せない機能になる可能性は高い。

WWDC 2016
WWDC 2016 新機能のUniversal Clipboardでは、MacとiPhone/iPadとの間で、シームレスにクリップボードの共有ができる
WWDC 2016
WWDC 2016 Documents in iCloud Driveでは、macOSとiOS間で書類フォルダやデスクトップが自動的に同期する

 一方、Apple Watchとの連携では「Auto Unlock」機能が搭載された。これはMacのパスワードロックの解除時に、同一のアカウントで認証されたApple WatchやiPhoneを身に付けていればパスワード入力をスキップできるというもの。イメージ的にはクルマのスマートエントリー機能に近い。

 クラウド連携では、iCloudの一部として「Optimized Storage」という機能が新たに搭載される。これはMac本体のストレージ(保存領域)を圧迫するデータやキャッシュを最適化し、古いものはiCloud上に自動で移動するというもの。例えば、古いメールに添付されたExcelやPowerPointのデータや既に見終わった映画など、「削除してしまったら困るかもしれないけれど、日常的には使わないデータ」は少なくない。これらをiCloudに移動しておけば、Mac本体のストレージの空き容量をあまり心配しなくて済むというわけだ。

WWDC 2016 新機能「Optimized Storage」を使うと、Macの内蔵ストレージの中から利用頻度低いデータを自動的にiCloud上に保管し、内蔵ストレージの利用可能領域を広げてくれる

 一方、UIデザインでの大きなトピックスはmacOSとしての「Siri対応」だろう。これまでのOS Xでも音声入力モードが存在したが、自然言語に対応した完璧な形でのSiriは今まで搭載していなかった。macOS Sierraでは、SiriはDock内のアプリをクリックするか、「Hey Siri」と呼びかけるだけで起動することができ、iOSやtvOSと同様に利用できる。例えば、「昨日、作成したドキュメントをリストアップして」と言えば検索リストで表示してくれる。またKeynoteやPagesなどオフィスアプリケーションを使用中に、特定のキーワードでインターネット上から画像や動画を探してくるといったこともできるので、仕事の効率を高める上でも役立ちそうだ。

 またSiri以外では、WebブラウザのSafariで一般的なタブ機能がOS標準機能として拡大し、他のアプリでも利用できるようになった。さらにYouTubeなどの動画の再生画面を、他のアプリ画面に重ね合わせて表示する「Picture in Picture」機能にも対応した。

WWDC 2016 UI関連では、Safariでおなじみのタブ機能がOS標準機能として他でも利用可能になった

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