コードは世界を変える?――未来を創るApple 4つのプラットフォーム: 神尾寿のMobile+Views(6/6 ページ)

» 2016年06月14日 21時23分 公開
[神尾寿,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5|6       

全ての子どもたちにコードの力を

 4つのOSプラットフォームの刷新についてプレゼンテーションが終わり、再びCEOのティム・クック氏が登壇する。ここでOne more thing...ではないが、今回のWWDCで最も重要な発表が続いた。Appleのソフトウェア開発環境である「Swift」だ。

WWDC 2016
WWDC 2016 Swiftは新興の開発言語でありながら、急速に支持が広がっているとアピールするティム・クック氏

 「われわれ提供する4つのOSプラットフォームを魅力的なものにするのは開発者の皆さんの力であり、それを支えているのがSwiftだ。SwiftはiOS、macOS、watch OS、tvOSの全てのアプリ開発に使うことができる。Swiftは2年前にリリースされたが、今では約10万以上のアプリがSwiftで開発されている」(クック氏)

 さらにAppleでは2015年にSwiftのオープンソース化を行い、Swiftの開発コミュニティーを積極的に拡大している。AppleのSwiftについては、IBMをはじめ世界有数のIT企業に支持の輪が拡がっている。

 「Swiftはパワフルでありながら、構造はシンプルであり、多くの人がプログラミングコードを書きやすいものになっている。このSwiftをさらに多くの人々に広げるために、iPad用のSwift開発アプリ『Swift Playgrounds』を提供する」(クック氏)

WWDC 2016
WWDC 2016 子ども向けのSwift開発学習アプリ「Swift Playgrounds」。遊びながらプログラミングコードの世界が学べる意欲的なツールだ

 会場にどよめきが走り、Swift Playgroundsの概要が説明されると歓声と拍手が波のように広がっていった。Swift Playgroundsと呼ばれるアプリは、会場にいる開発者たちの後輩を育てるもの。そう、子ども向けのSwift学習ツールだったからだ。

 Swift Playgroundsが目指すのは、世界中の子どもたちにプログラミングコードの世界を教えること。アプリを開くと、ゲームのような画面が表示され、そこに表示されるレッスンを1つずつクリアしていくと、プログラミングの基本概念とSwiftのコードが覚えられるというものだ。MacではなくiPadを学習ツールとして使うメリットを生かして、仮想キーボードにはSwiftのコード群を表示させるなど使いやすさにも多くの工夫が凝らされているという。

 冒頭でも述べた通り、Appleは学生向けのプログラミング教育や奨学生制度を充実させるなど、若手開発者の育成に力を注いでいる。Swift Playgroundsはその取り組みをさらに一歩進めるものであり、子どものうちからプログラミング教育に触れることで、コードで作られたアプリをただ使うだけでなく、コードを書いてアプリを作れる子どもや若者を増やそうとしている。これは今後のIT社会でとても重要なことであり、本当の意味での「IT教育」といえるだろう。これからの時代を生きるにあたり、世界中の全ての子どもたちにコードの力を感じる機会が必要という考えなのだ。

 Swift Playgroundsは、ガジェット好きをワクワクさせるハードウェアではないし、多くの一般ユーザーが今すぐ体験できるソフトウェアやサービスではない。しかし、視線を子どもたちの背中の向こうにある未来に向けたとき、とても大切な取り組みであることに気付く。そして、Swiftを学びコードの力を身に付けた子どもたちが成長したとき、それはAppleの開発者コミュニティーの力になり、Apple製品の魅力にもつながっていく。あまりにも気の長い話? いや、そんなことはない。WWDCは今年で27年目なのだ。

 Appleが2016年のWWDCにおいて、デザインテーマを「コード」にしたことをかんがみても、Swift PlaygroundsがWWDC 2016の目玉であり、そこに込められた思いがとても重要であることが分かるだろう。

 WWDCは13日を始まりとして1週間続く。

 4つのOSプラットフォームと、そこに向けてコードを書く開発者たちの力こそが、今のAppleが世界を変えて未来を創る源泉になっている。

(取材協力:アップルジャパン)

前のページへ 1|2|3|4|5|6       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月25日 更新
  1. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  2. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  3. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  4. iPhone Duoを使って痛感した「Face ID」のありがたさ 充電スタンドに置いたまま通知が見られない不便さに苦しむ (2026年10月24日)
  5. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  6. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  7. モバイルSuicaの新決済「teppay」を早速試した 店員への伝え方や決済音は? スムーズに決済できる? (2026年10月22日)
  8. 「iPhone Duo」を試して分かった9つの疑問と本音 36万円超の折りたたみスマホは「買い」か? (2026年10月21日)
  9. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
  10. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー