「データローミング=怖い」を解消したい――KDDIに聞く「世界データ定額」の狙い(3/3 ページ)

» 2016年08月05日 17時17分 公開
[らいらITmedia]
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海外と国内データ通信のひも付けが大変だった

―― 実現にあたって大変だった点はありますか?

藤井氏 いろいろありすぎて……(苦笑)。

白井氏 技術的に新しいことをやっているので、技術陣とコミュニケーションを取るのが大変でした。本当にサービス内容が実現できるのか、1つ1つ確かめていきました。

藤井氏 自社内のテクノロジーで賄おうという話はあったのですが、今回は外部のソリューションを含めもっと広い範囲で連携して成り立たせています。例えばデータ容量をつかさどるシステムと外部システム連携をどうするかなど、技術面は非常に苦労しました。

石丸氏 今までのやり方を続ける文化が通信キャリアにはあるので、新しい要素を入れることが当初社内で抵抗がありました。心配の声もありましたが、変わらなければいけないのであえてチャレンジしました。

白井氏 例えばauの料金プランと海外の中継事業者の設備をひも付ける仕組みは新しい試みです。国際ローミングで消費したデータ容量を、auのデータチャージオプションからほぼリアルタイムで減らしていく作業です。

石丸氏 あとは、なんといってもアプリのデザインです。分かりやすいUIにとことんこだわりました。本当は外部にお願いして作ってもらうほうが早いし楽なのですが、時間がないのに別にデザイナーを立てて、一から作ったのでかなり大変でした。

 以前からある海外データローミング用のアプリ「GLOBAL PASSPORT」も好きではありますが、見た目がビジネス用途っぽいんですよね。「ビジネス・男性・40代!」みたいな属性は、「みんなが気軽に使える」テーマとはかけ離れている。先ほど話にも出た、グループ旅行でルーターを借りている人や、韓流スターを韓国まで追っかけているような奥様方にまで使ってほしいです。

 そのためアプリは少ないステップで迷わず使えるようにデザインしています。例えばOS側のローミング設定の導線も、非常に分かりやすく説明しています。またトリップアドバイザーと連携し、アプリからホテルの情報に飛べるなど、情報収集面でも役立ちます。

世界データ定額 トリップアドバイザーと連携してホテルやレストランの情報も確認できる

―― 今後、対応地域はどの程度カバーされる予定でしょうか。サービス開始時点では、日本人の海外渡航先の約7割に対応していますが、例えば日本人の渡航が多い中国は未対応です。一方でバチカンは対応していたり……。

白井氏 中国では法人利用が圧倒的に多く、ITリテラシーも高い人が多い。一方、個人ユーザーのローミング利用はそれほど多くありません。世界データ定額は、プライベートで渡航する数の多い国を優先的に選んだので、中国は今回は外しました。しかし要望の声も挙がっているので、今後検討していきます。

石丸氏 欧州はなるべく固めて多くの地域を対応させました。狭い地域で対象の有無が出てくると、移動中に世界データ定額から海外ダブル定額に切り替わって思ったよりコストが掛かった、なんて可能性が出てきて危ないですからね。

―― 最後に今後の目標をお願いいたします。

石丸氏 現状は海外に行くauユーザーのうちローミング利用率は3割程度ですが、3人に1人から最終的には全員に使ってもらえるようになるのが目標です。

白井氏 人数でも、日数でも、世界データ定額の利用率を上げたいですね。8月29日スタートの「au STAR ギフト」では、毎月24時間分を無料でプレゼントします。まずは1日無料で使ってみて、世界データ定額の便利さを体感してもらいたいですね。(1日無料は)毎月もらえるので、頻繁に海外に行く人にも使っていただきたいです。

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