とにかくすごい! 「Lightroom for iPhone」のHDR撮影を試してみる【追記あり】荻窪圭のiPhoneカメラ講座(1/2 ページ)

» 2017年03月26日 10時50分 公開
[荻窪圭ITmedia]

Lightroom mobileに「神アップデート」

 「Adobe Photoshop Lightroom for iPhone」という長い名前のアプリがある。AdobeのPC用写真アプリ「Photoshop Lightroom」のiPhone版っていう意味だが、長いのでそのまま呼ぶ人はもちろんいない。

 Adobeでは、iPhone版、iPad版(Adobe Photoshop Lightroom for iPad)とAndroid版(Adobe Photoshop Lightroom for Android)をまとめて「Adobe Lightroom mobile」と呼んでいる。

 僕らも、普通はこれらのアプリをLightroom mobileと呼んでいる。これでもちょっと長いので、この記事では「LR mobile」とさらに略して呼ぶのでご了承を。

 アプリ名の「Lightroom」は、フィルムカメラが主流の時代に写真の現像に使っていた「Darkroom(暗室)」のもじり。デジタルカメラで撮影した写真を整理したり現像したりするためのアプリで、PC版は本格的な写真撮影をしている向けなのだが、まあ細かいことはどうでもいい。

 Adobeは、「Photoshop」や「Illustrator」といった主にクリエイター向けPCアプリを作っているソフトウェア企業。最近ではPCアプリで培った技術を生かしたスマートフォン・タブレット用アプリも開発している。LR mobileは、そのうちの1つだ。

 PC版のLightroomはそれなりに値が張るが、LR mobileはどのプラットフォームでも無料で使うことができる。

Adobe Photoshop Lightroom for iPhone Adobe Photoshop Lightroom for iPhone

 PC版と同様に、LR mobileは主に写真管理と現像処理を行うソフトなのだが、実はカメラ機能も持っていて、なかなか良い出来なのである。

 特にiPhone版で2017年3月に行われたアップデートがスゴかった。カメラ撮影機能に「HDR(高ダイナミックレンジ)撮影」が追加されたのだが、それがシャレにならないほどに優秀なのだ。

 LR mobileのHDR撮影は、より良いHDR処理をするために、撮影したRAW(現像前の写真)データを一度クラウドに送り、クラウドサーバーで処理をして、完成したHDR写真を戻して保存する、という実装になっている。

 そのため、撮影してから結果を得るまでに少々時間がかかる。データ量がデータ量だけに、高速なWi-Fi(無線LAN)環境であっても、撮影が「完了」するまでに何秒か必要だ。

 ゆえに、Wi-Fiのない屋外で使うと「まあ、時間がかかるから、ちょっと放っておくか……」という感じになってしまうのだが、それだけの価値はあるかというと、あるのだ。

 今回のカメラ講座では、iPhone用LR mobileのHDR撮影機能を試してみる。

HDR撮影 LR mobileの最新バージョンのカメラ撮影画面。「AUTO」「プロフェッショナル(設定項目が増える)」に加え「HDR」モードが加わった。HDR撮影したいなら「HDR」を選ぶべし

LR mobileのHDR撮影対応機種(3月27日追記)

 LR mobileにおいてHDR撮影できる機種は以下の通り。

  • iPhone 6s/6s Plus
  • iPhone SE
  • iPad Pro
  • Galaxy S7(日本未発売)/S7 edge
  • Google Pixel/Pixel XL(いずれも日本未発売)

LR mobileのHDR撮影の威力を体感

 LR mobileのHDR撮影のすごさを体感すべく、試しに筆者の部屋の天井の「照明」を撮ってみよう。

 それで、普通に撮ったものがこちら。

普通に撮った照明 普通に撮影した時の照明

 当たり前だけれど、電球部分は真っ白にトンでいる。繰り返しだが、当たり前すぎる結果。

 でも、HDRで撮ったものはどうか。HDRをオンにして撮影すると、その後しばらく「撮影済写真を処理中」と出る。ここでクラウド経由のHDR処理を行っているのだ。「Adobe Creative Cloud」サービスを使っている場合、ここで同時にクラウドストレージに写真が保存されるので「アップロード中」とも出る。使っていない場合は出ないので安心しよう。

HDR処理中 先述の通り、LR mobileのHDR処理はクラウドで行われる。処理が完了するまで、しばし待とう

 撮影済の写真の処理が終わったら、これである。何と白飛びが抑えられて、電球回りのディテールもしっかり出ている。

HDR処理完了 HDR処理完了後の照明。白飛びが抑えられ、電球回りのディテールもしっかり出た

 すごいでしょ。わざわざクラウドへ上げて高度な画像処理をかけているだけのことはあると思うでしょ。

 さらにもういっちょ。今度は、LR mobileのHDR処理がどのくらい極端な明暗差まで耐えられるかテストっていうことで、夕日を撮ってみた。

 まずは、比較用に「iPhone 7 Plus」の標準カメラアプリで撮った写真を見てみよう。スクリーンショットではなくて、実際に撮影した写真を、そのままのサイズで掲載。ちなみにレンズは「望遠」側だ。

標準カメラで撮った写真 iPhone 7 Plusの標準カメラで撮影した夕日(実際の写真は写真をクリックまたはタップしてご覧ください)

 太陽の回りは真っ白で、黄色いリンクが出ている。いわゆる「ゴースト」というやつで、カメラレンズの問題なので、どうしても出てしまうものだ。

 お次は、同じ夕日をLR mobileのHDRで撮った写真を見てみよう。こちらも、処理後の写真をそのままのサイズで掲載する。

LR mobileで撮影してHDR処理した夕日 LR mobileで撮影してHDR処理した夕日。

 これはすごい。太陽がギリギリまで小さく写っていて、暗く潰れてもおかしくない逆光の建物たちもしっかり写っている。この差はすごい。極端な明暗差にも対応してくれるのみならず、不自然さもあまりないのだ。

 さすがAdobe。「オレたちの技術はワンランク違うんだぜ!」と見せつけてくれました。

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