ソフトバンクが5Gのデモンストレーションを公開――キャリアは本気で5Gネットワークを構築する気はあるのか石川温のスマホ業界新聞

» 2017年09月15日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 結局、「ソフトバンクの5G」は、2020年開始なのか、2019年後半開始なのか、「NTTドコモよりも先に初めて日本初の5Gを狙うのか」を確認したところ「2020年はソフトバンク株式会社で、2019年のほうはソフトバンクグループ」というよくわからない回答であった。

 今回のデモで見せられたものは、はっきり言って、1年とか2年前にNTTドコモやKDDI、さらにはエリクソンやファーウェイが公開していたものとたいして変わらない。他社はすでに屋外での実験を公開したり、提携先と組んで、具体的な5Gの活用シーンをデモしている。

 結果、ソフトバンクの5Gは「いまだにラボのなかにいるのか」という、他社よりも遅れた印象を植え付けることとなった。

 ただ、5Gに関しては、必ずしも他社をリードしている必要はないわけで、周回遅れにならない程度な距離を保っていればいいのではないか。

 今年のMWCを振り返ると、確かに5Gが盛り上がっているように見えるが、実際は投資が期待できる基地局ベンダーが神輿を担いでいるだけで、キャリアが本気で5Gをやりたがっているのかは首をかしげたくなる。

 LTE導入に比べれば、設備投資の規模は小さいだろうが、それでもネットワークの構築にはそれなりのコストがかかる。ただでさえ、格安スマホ勢に押され、通信料収入の伸びが期待できなくなる中で、さらにコストがかかる5Gに投資したいとは思わないだろう。

 日本は2020年に大きなスポーツイベントがあり、NTTグループはメインスポンサーであるため、5Gは避けては通れないが、あくまで「会場周辺」だけの整備に止め、他のエリアは限定的な5Gエリアにすることだって考えられる。

 5Gで期待されるIoT分野での展開も、今年度にはLTE-MやNB-IoTが始動するだけに、何も5Gでなくてもいい。

 5Gでは「超低遅延」も売りとなっており、自動運転などでの応用が期待されている。しかし、自動運転はあのグーグルであっても、諦めモードになっているだけに、「5Gを生かした自動運転」というのもまだまだ先の展開のように思える。

 おそらく、これから割り当てられる周波数帯での5Gは、キャリアの主力ネットワークになるのはかなり先のことになりそうだ。

 その点、クアルコムはLTEと5Gを連携させたノンスタンドアローンのチップセットを準備している。

 ソフトバンクのように2.5GHzで5G技術を活用していく方向性は、すでに基地局もあり、既存のネットワークや端末の発展型で実現できるため、すぐに他社との差別化につなげることができそうだ。

 5Gだからといって、新しい周波数帯や全く新しいサービスに取り組むというよりも、「いかに既存のネットワークを発展させるか」のほうが、コスト的に優れるし、メリットが大きいと言えそうだ。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年07月28日 更新
  1. 「楽天モバイルWiFiスポット」を試してみた 屋内通信の不満解消へ期待も「接続性」に課題 (2026年07月26日)
  2. 夏の暑さ対策グッズでよく見掛ける「ペルチェ素子」ってなんだ? 賢く使うための注意点も (2026年07月27日)
  3. 折りたたみスマホ「OPPO Find N6」を3カ月使って実感した“真価” 仕事とプライベートで大活躍 (2026年07月26日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  6. 気温35度以上のハンディファンは「逆効果」 猛暑を安全に乗り切る使い方と2026年おすすめ5選 (2026年07月27日)
  7. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  8. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  9. 【3COINS】100段階で風量調整、透明デザインの「大風量ペルチェ付きハンディファン」 3300円 (2026年07月27日)
  10. サムスンが「Galaxy Z Fold8」で横長折りたたみを投入する理由 AIの進化にもマッチ、“iPhone包囲網”も万全か (2026年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー