新iPhone発売で攻めるソフトバンク 「料金」「通信容量」「速度」で差別化を

» 2017年09月13日 19時40分 公開
[田中聡ITmedia]

 「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」の発売に合わせて、ソフトバンクが攻めの施策を打ってきた。

ソフトバンク 「あなたファースト」をキーメッセージに打ち出す

 新しいiPhoneの実質価格が最大半額になる「半額サポート for iPhone」や、月額7000円で50GBまで通信できる大容量プラン「ウルトラギガモンスター」を9月22日から提供。さらに、iPhoneとiPadの修理取次店を全国180店舗に拡大し、10月2日に受け付けを開始する。

ソフトバンク 「半額サポート for iPhone」
ソフトバンク 「ウルトラギガモンスター」

 これらの施策は、「毎月の通信料金が高い」「速度制限が気になる」「サポートが心配」というユーザーの不満解消を目指したもの。

ソフトバンク ソフトバンクユーザーの不満

 ソフトバンクの榛葉(しんば)淳副社長は、携帯ユーザーのストレスを減らせるよう「あなたファースト」というコンセプトを打ち出す。これを「全ての意思決定の中に出していく」(同氏)

ソフトバンク ソフトバンクの榛葉淳副社長

Y!mobileからソフトバンクへの“アップグレード”も支援

 料金については、先述の半額サポートに加え、ソフトバンクはMVNO(格安SIM)に対抗すべく、「Y!mobile」も展開している。「料金は月額1480円からで、他のMVNOと比べて店舗も4000と多い。リーズナブルでサポートもちゃんと展開している」と榛葉氏。Y!mobileは格安SIMの市場で3割のシェアを取る(MMD研究所調べ)など好調を維持している。

 一方、Y!mobileではiPhone SEや5sは扱っているが、他のハイエンドなiPhoneは扱っていない。「入り口としてY!mobileを安い料金で使っていただけるが、いつかは新iPhoneや高機能スマホを使いたいというリクエストは当然ある」と榛葉氏。そこで、Y!mobileからソフトバンクに移行すると、最大3万9500円を還元する「いつでもアップグレード」を展開する。

ソフトバンク

 半額サポートでは、iPhoneを48回払いで購入すると、25カ月目以降の機種変更で残債の半分が免除される。「2年後も次もソフトバンクのiPhoneを使うのなら、月々の利用料を安くする。2年たったらいつでも新iPhoneに機種変更できる」(榛葉氏)というもの。

 榛葉氏は「安価を望むならY!mobile、最新機種を使いたいなら半額サポートを」という形で2ブランドをすみ分けていく。

 サポートにも力を入れ、2015年7月から「スマホアドバイザー」700人を全国のショップに配備している。「このアプリをどう使ったらいいのか」「こういうところに困っている」といったことを気軽に相談したいという要望が多いという。「iPhoneが壊れてしまった」という問い合わせも多く、Apple直営店や正規サービスプロバイダーに回すのではなく、ソフトバンク店舗でも修理対応できるよう、取り次ぎ店舗を増やしていく。

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実質の無制限、ウルトラギガモンスター

 50GBのウルトラギガモンスターは、速度制限を気にせずにデータ通信を楽しんでもらうために提供する。従来のギガモンスター(20GB、30GB)の加入者は、加入前と後でデータ通信の量が2倍に増えたという調査結果もある。その一方で、ギガモンスター契約者のうち、3割が速度制限を経験したことがあるという。

 今後もデータ通信量は右肩上がりで増えていくことを想定し、50GBを基軸ラインとして提供する。「毎日7時間以上動画を見ないと50GBは消費できない。実質の無制限と考えている」と榛葉氏は胸を張る。

ソフトバンク
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混雑時の低速化を抑える取り組み

 ウルトラギガモンスターで通信容量はアップしたが、大容量データ通信を楽しむには、快適に通信できなければならない。ソフトバンクは5Gの要素技術である「Massive MIMO」(送受信に使うアンテナを最大128本に増やす技術)を導入しているが、これを進化させる。

 「Massive MIMO 2.0」ではMassive MIMOをキャリアアグリゲーションに対応させ、一度に利用できる2.5GHz帯の帯域幅を20MHzから30MHz幅に増大。また3.5GHz帯にも対応する(新しいiPhoneも3.5GHz帯に対応している)。他に、複数の基地局をクラウドで管理することで、隣接する基地局を仮想的に1つの基地局として稼働させられる「Distributed MIMO」、既存のAXGP基地局から最大4本のレイヤーを構築できる「MultiUser MIMO」、これを上りにも応用した「UL MultiUser MIMO」も導入していく。

ソフトバンク
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 ドコモやKDDIは、一部地域で下り700Mbps超えの通信を展開するなど高速化に注力しているが、ソフトバンク テクノロジーユニット モバイル技術統括 モバイルネットワーク本部 本部長 野田真氏は「机上のスピードを追いかけるのではなく、いかに快適に使えるかを追求する」と同社のスタンスを話す。特に注力するのが、混雑する場所や時間帯(昼間や夜間など)で低速化を抑えること。実際、8月に横浜で実施されたイベント「Pokemon GO PARK」では、(ソフトバンク調べだが)3キャリアのうち、ソフトバンクの通信が実測で最も速かったという結果も出ている。

 「密集地帯で最高速度が出るというよりは、遅い人をなくすのが狙い。Massive MIMOは5Gの要素技術だが、低速撲滅のため、4Gで最先端の技術を投入していく」と野田氏は意気込みを語った。

 進化したMassive MIMOは9月22日に導入する。ソフトバンクとY!mobileのAXGP対応機種が対象で、新iPhoneも含まれる。

ソフトバンク 「Pokemon GO PARK」でもソフトバンクの通信は快適だったという
ソフトバンク ソフトバンクの野田真氏

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