前回、BroadLineのモバイルWi-Fiルーター「GWiFi G3000」(以下「G3000」)について取り上げました。
国内でのデータ通信を100GB使えるプランが3980円(税込、有効期間は30日間)という破格の条件で使える――そんな“夢のセカイルーター”を筆者は発売日(8月10日)に購入しました。しかし、サービスの品質面でトラブルが発生したことは前回も指摘した通りです。
今回は、筆者のGWiFiの「その後」をお伝えする他、世界中で使えるという売り文句で話題の「AIRSIM」と、UQコミュニケーションズのWiMAX 2+の増速についてお伝えします。
(記事中の通信速度は全て理論値)
筆者は、前回連載の開催後もG3000を使い続けました。しかし、最終的に継続して使い続けるのは現時点では難しいと判断しました。そう判断するに至った理由は、大きく2つあります。
G3000はスペック的には平凡なモバイルルーターですが、「クラウドSIM」という仕組みによって、物理的にSIMカードを入れ替えることなく世界各地の通信事業者の回線を利用できることが大きな特徴です。
BroadLineの「国内も海外も1台でOK!」という説明通りに使えるのであれば、この上なく理想的な通信手段の1つです。
しかし、サービス開始時点で「NTTドコモ回線に接続できないシステム障害」が発生し、記事掲載日(10月22日)現在も解消していません。また、利用できるはずのソフトバンク回線を使っている時も、新幹線や高速バスなど比較的高速に移動するとデータ通信が使えなくなることがありました。
現時点ではサービスと通信の両面で品質に難があり、「信頼できる相棒」たり得ないと考えたのです。
品質改善を理由に、G3000は7月22日から8月16日に発売が延期されました。この経緯を踏まえてた上で、筆者はG3000をあえて買いました。クラウドSIM回りがある程度不安定でも、SIMロックフリーなモバイルルーターとして使う道を考えていたからです。
しかし、実際に発売されたG3000はSIMカードスロットがあるものの無効状態でした。筆者のもくろみは“ご破算”となったのです。
一方で、SIMカードスロットも使えるようにしてあるクラウドSIM対応ルーターもあります。国内でも「Amazon.co.jp」などを通して正規販売されている「GlocalMe G3」はその一例です。サーバの障害などでクラウドSIMが使えない場合でも、万が一の時には通常のSIMカードを挿入すれば通信を継続できます。通信を途絶させないという観点では、非常に便利です。
先述の通り、G3000はSIMカードスロットが無効化されており、ある意味で「クラウドSIM縛り」ともいえる仕様です。理由1にも挙げたサービス・通信両面の不安定さを考慮すると、継続的に使うことは難しいと判断しました。
格安で大容量データ通信が使えることは魅力ですが、サービスと通信面での不安定さと、それをバックアップする手段がないことは、正直残念です。特に前者は問題が発生して2カ月以上経過しています。一刻も早い解決を望みたいところです。
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