ITmedia Mobile 20周年特集

「機能」と「売れ筋」に変化 新たなトレンドが生まれた2017年のスマートフォン:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2017年12月30日 10時21分 公開
[石野純也,ITmedia]
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大手キャリアのミドルレンジが市場を席巻、売れ行きにも変化が

 ただし、こうした進化はあくまでハイエンドモデルに限った話。市場の動向を見ると、ミドルレンジモデルが、その幅をさらに拡大していることが分かる。HuaweiのP10 liteのように、販売ランキングでiPhoneと互角の戦いを繰り広げるミドルレンジのスマートフォンも登場した。Huaweiはnovaシリーズ、Pシリーズ、Mateシリーズにそれぞれlite版の端末を置き、販売数を伸ばしている。

HUAWEI P10 lite Huaweiの「P10 lite」は大ヒットを記録

 ミドルレンジのスマートフォンは、端末購入補助がないか、あってもわずかなMVNO市場でまず火がついた。必要十分な機能を満たしながら、3万円前後で買える点が、ミドルレンジスマートフォンの魅力といえる。もともとの通信費が安いMVNOと組み合わせて使うには、うってつけの存在だったというわけだ。このトレンドは大手キャリアにも波及しつつある。いわゆる分離プランが導入されたためだ。

 分離プランとミドルレンジ端末を巧みにリンクさせ、成功に導いたのがドコモだ。同社は夏モデルに合わせて「docomo with」を発表した。これは、端末に購入補助がつかない代わりに、料金が無期限で1500円割引になる“料金プラン”。これまでの購入補助とは異なり、割引に24回という制限がないため、同じ端末を長く使えば使うほど、お得になるのが特徴だ。機種変更の手続きをせず、SIMロックフリー端末にSIMカードを差し替えても、割引は継続する。

 このdocomo with対象端末として、ドコモはサムスン電子の「Galaxy Feel」と、富士通の「arrows Be」を導入。どちらもミドルレンジで価格は3〜4万円。特に日本向けに独自カスタマイズされたGalaxy Feelの人気が高く、同モデルは12月現在でも、GfKのキャリア別販売ランキングの上位に顔を出すヒット商品になった。機能面、コンセプト面ではフラグシップモデルのGalaxy S8/S8+/Note8が話題となったサムスン電子だが、実売をけん引したのは、ミドルレンジのGalaxy Feelだったというわけだ。

Galaxy Feelarrows Be docomo with第1弾の「Galaxy Feel」(左)と「arrows Be」(右)

 ドコモは冬春モデルでdocomo withの対象端末を計5機種に拡大。おサイフケータイやIGZO液晶を搭載したシャープの「AQUOS sense」が好スタートを切るなど、依然として高い影響力を示している。2018年には「らくらくスマートフォンme」がdocomo with対象端末として発売される予定。シニア世代は1つの端末を長く使う傾向があるだけに、docomo withの仕組みと相性がよく、こちらも人気が出そうだ。

AQUOS sense 冬モデルの「AQUOS sense」も好スタートを切った

 ミドルレンジの売れ行きには、Y!mobileのAndroid Oneも貢献した。Android One自体は2016年から展開しているが、Y!mobileは2017年にこれを拡大。ラインアップをSシリーズとXシリーズの2つに広げ、シャープ、京セラ、HTCが端末の製造を担う。12月にはHTCの「X2」、京セラの「X3」「S4」、シャープの「S3」を発表(関連記事)。iPhoneシリーズとの2本柱として、Y!mobileの成長をけん引する存在になった。

Android One Y!mobileは、1年を通じてAndroid Oneを強化してきた。12月には、冬春モデル4機種を発表

 分離プランはauも導入しており、安価な端末が求められる傾向は強くなっている。2018年は、このトレンドに拍車が掛かるかもしれない。一方で、ドコモとZTEが共同開発した「M」のように、スマートフォンの新たな方向性を模索する端末の発売も控えている(関連記事)。2017年にフルモデルチェンジを果たしたiPhoneやGalaxyの後継機がどのようものになるのかも、気になるポイントといえるだろう。

M ドコモとZTEが共同開発した「M」

 コモディティ化が進んだといわれるスマートフォンだが、ハイエンドモデルを見ていると、まだまだ進化の余地は多く残されているような印象も受ける。特にAIや機械学習を使えば、スマートフォンはもっと人に寄り添える存在になれるかもしれない。2017年に登場したスマートフォンの一部からは、そんな可能性も垣間見えてきた。2018年のスマートフォンはどのように進化するのか――それを見るのが今から楽しみだ。

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