IIJが「フルMVNO」で目指す世界 MVNOの正常進化ではなく、ビジネスモデルが変わるMVNOに聞く(2/4 ページ)

» 2018年03月29日 14時43分 公開
[石野純也ITmedia]

最も大変だったこと

―― 振り返ってみると、一番大変だったのは、どこだと思いますか。

佐々木氏 ここにいる(堂前氏を除く)3者それぞれ違うと思いますが、私は前半戦のフェーズの協議の部分がメインでした。議論が行きつつ、戻りつつしながら、場合によっては総務省でのタスクフォースやフォローアップ会合で方針を決めていただきながら、最後はお互いにガイドラインが何もない中で、ある意味、約款ベースで対等な条件のもと、合意に至ることができました。

 そこから先の話は、うちでいうと(エンジニアの)大内や、他のエンジニアのメンバーが僕の代わりに考えてくれていますが、そこも非常に大変だったところです。MVNOとして全く未体験のところで、SIMカードを作ったり、HSS/HLRを運用したりするのも初めてのことです。ほぼゼロのところから、エンジニアが解決してこの日を迎えることができたのは感慨深いですね。

IIJmioフルMVNO 開発を担当した阪本氏

阪本氏 開発にも2段階あります。設備、インフラと、サービスの開発です。私はどちらかというとサービス側を担当していますが、ここまでいろいろなパートナーを巻き込んで、HSS/HLRやSIMカードのニーズを伝えていくというのは、今までになかったことです。サービス開発という観点だと、今と違って何がよくなるのかをアピールしなければなりません。

―― 具体的には、どういうことでしょうか。

阪本氏 ライフサイクル管理を1つのメインにしていますが、手動で開通するパターンと自動で開通するパターンの2つを用意して、「家電に入れたときはこちら」「除雪車に入れる場合はこちら」と、ユースケースに合わせてお客さんに入り込んで考えていきます。

竹内氏 私は売っていく立場なので、これからが大変です(笑)。阪本が話した通り、ユースケースをどう当てていくかが必要になります。今までと違ったサービスなので、お客さんにこういうことができるというのをインプットしないと広がりません。新しいサービスなので、理解、周知させていくところには力を入れています。

佐々木氏 まだ誤解を受けるほどフルMVNOが広がっているわけではありませんが、フルMVNOは、既存のMVNOのビジネスモデルを発展させたものというよりも、既存のMVNOとは全く違うビジネスモデルだと考えた方がしっくりきます。これができなかったからフルMVNOになるという正常進化形というよりは、技術的な制約や心理的な制約があり、アイデアにブレーキを踏んでいたことがなくなっていく。今までより、はるかに広いフィールドでサービスを実現できるようになるのだと思います。

 反面、お客さんからすると、そういう哲学的なことはいいから、何ができるのかをはっきりさせてほしい。お客さんに分かりやすく、これがベネフィットですと提案していくことは、これからIIJが総力を挙げてやっていかなければいけない課題です。

タイプIがタイプDを置き換えるわけではない

IIJmioフルMVNO 広報担当の堂前氏

堂前氏 (フルMVNOの発表に対する反応を見ると)スマホだとどう便利になるのかという観点が多かったような気もしますが、それは僕らの広報が足りなかったところかもしれません。本当は、スマホじゃないところまで行かないといけない。家電製品なども、通信機能を持つべきと言われていても実現していませんでしたが、それは従来型のスキームでは実現が難しかったからです。フルMVNOは、それを解決する1つの鍵なんだと思います。

佐々木氏 タイプIでタイプDを置き換えていくかというと、そうではありません。(Japan Travel SIMを始めたのは)旅行者向けには、タイプIの方がメリットがあるからです。反面、今のIIJmioを置き換えてしまうと、SIMロックのかかった端末で使えない問題や、音声通話をどうするのかといった問題もあります。ライトMVNOのSIMカードはそれに合ったお客さまに使っていただければいいですし、今までのSIMカードでは適用できなかった領域もあります。IIJが2つ目の武器を持ったと考えていただいた方が、捉えていただきやすいのではないでしょうか。

IIJmioフルMVNO 訪日外国人向けのプリペイドSIM「Japan Travel SIM」も、フルMVNO版を提供する。なお日本人でも使える

―― 今のお話に水を差すようですが、一方で、フルMVNOのSIMカードを使ってみたいというコンシューマーもいると思います。IIJはそういった志向の客層も、それなりに厚いのではないでしょうか。

堂前氏 それはあると思いますし、私どもも出しますが、そこで立ち止まってしまうと意味がありません。IoTやB2Bといわれるものも、最終的にはB2B2Cだと思っています。われわれがSIMを提供し、それがインクルードされた形でお客さまに届くという意味では、B2B2Cの商材だといえます。通信はどんどん裏方に回っていくことになりますが、そこまで加味して使っていただけるとうれしいですね。

佐々木氏 スマートフォンに入れることも考えていますし、実際にそういうケースもあると思います。ネットワークは1つですが、パッケージングして料金化するときに、スマホに向いたプラン、IoTに向いたプランがあります。さまざまな機能を持っているので、それを適材適所に組み合わせて訴求していく売り方になるのだと思います。

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