IIJが「フルMVNO」で目指す世界 MVNOの正常進化ではなく、ビジネスモデルが変わるMVNOに聞く(3/4 ページ)

» 2018年03月29日 14時43分 公開
[石野純也ITmedia]

個人向けIIJmio「タイプI」の狙い

―― IIJmioでも、2018年度中にタイプIのサービスを始める予定です。これは、どういったものになるのでしょうか。

佐々木氏 ドコモ、KDDIからSIMをチョイスできる中で、3つ目の選択肢として「I」を選択できるようにすることを考えています。いわゆるポストペイの中でやっていきます。ただ、音声通話をつけられないのと、ドコモさんのSIMロックがかかった端末では動かないという制約はあります。そこはご説明したうえで、ですね。

―― メリットは何でしょうか。フルMVNOかライトMVNOかの違いで、回線自体はタイプDもタイプIもドコモだと思いますが。

堂前氏 お好きな方向けですね(笑)。

―― (笑)。

阪本氏 それだけだとメリットは出しづらいかもしれませんが、独自にデザインできることを生かし、例えば何らかのアニメとコラボするなど、通信そのものだけでなく、それを取り巻くものも含めてプラン立てすることは考えられます。

IIJmioフルMVNO フルMVNOなら、SIMカードのデザインも自由に決められる。写真はJapan Travel SIM

堂前氏 単純な通信サービス以外で、デバイスとセットで生活提案のようなところまでしていくことになるのだと思います。サプライ担当(端末担当)も、何か面白いものがないか、以前よりも探している状況です。

佐々木氏 SIMカードが高コストであるというハードルは、だいぶ下がりました。それがサスペンドできるようになったり、物理的なSIMカードがなくなったりすると、ユーザビリティの観点でもすっきりするのだと思います。

―― 発表会では将来の展望として、複数のネットワークを組み合わせるお話もありました。こちらについては、どのような計画なのでしょうか。

佐々木氏 よく言われるのが、KDDIさんやソフトバンクさんですが、現状ではめどはありません。フルMVNOの合意を民間同士でやるのはエポックメーキングであり、アクロバティックなことでしたから、この上、さらにKDDIさんやソフトバンクさんと合意するのかというと、それは別の話です。

 反面、プライベートLTEのようなソリューションも生まれてきていて、こういう事業者との連携については、なるべく早期に実現できればと思っています。また、先進国においては、フルMVNOのネットワークを適材適所で組み合わせている事業者は当たり前のように存在しますから、海外事業者との連携もしていきたいですね。フルMVNOが日本で登場したら、今すぐにでも連携したいというお声はいただいています。

堂前氏 例えば、世界ではクラウドSIMのようなことをやっている事業者がいろいろありますが、ああいう方々のIMSI(International Mobile Subscriber Identityの略で、SIMカードごとの識別をするためのコード)には、日本のIMSIが入っていませんでした。技術論としては、彼らも日本のIMSIは欲していて、それが提供できるのは誰かという話になってきます。

佐々木氏 キャリア(MNO)は強力なローミングサービスをお持ちですが、MVNOにはMVNOに向いたマーケットがあります。クラウドSIMをやられている方々が、ドコモさんと直接ローミング協定を結ぶかというと、それはやはりハードルが高い。ドコモと直接話をするのが望ましい事業者もいれば、日本の事業者からIMSIを買ってくるだけの方が早い事業者もいます。こういったところも、今、MNOとMVNOがすみ分けているようになるのではないでしょうか。

どんな利用シーンがあるのか

―― そういう意味だと、スマートフォンにもいつまでプラスチックのSIMカードを挿せるのかという話もあると思います。

佐々木氏 今のライトMVNOのモデルでも、ドコモさんやKDDIさんからSIMを供給してもらっていますし、それがeSIMになったら全く供給してもらえないとも考えていません。SIMカードは典型的な標準技術のテクノロジーだからです。ただ、キャリアの標準的なeSIMに対応していくのとは別の話として、今までだと非標準的なものへのアプローチがまったくできませんでした。

 現状でも、われわれがAppleさんと協議して、Apple SIMの中にIIJのプロファイルを入れてもらうというのは相当ハードルが高いことですが、これまでは、非標準的なものだと、MNOとベンダーがスキームを作っても、指をくわえているしかなかったんですね。Appleさんの場合はMVNOが協議するだけで大変というのはありますが(笑)、Project FiやApple SIMのような形で、ベンダーと組んでプロプリエタリーな書き換えソリューションを作ることは、今後出てくると思います。

IIJmioフルMVNO 営業を担当した竹内氏

―― サービスが始まりましたが、実際、どのようなユーザーが利用しようとしているのでしょうか。

竹内氏 会社名までは言えませんが、スポーツイベントの中継用の映像を、SIMカードで送りたいというお客さまがいます。今までのライトMVNOでも提供はしていましたが、イベントは一時的なものなので、フルMVNOであれば短期間だけ使うということができます。同じように、工事現場の監視カメラにもという話は、具体的に進めています。

 もうちょっと人が使う用途だと、研修用があります。iPadを使って新入社員の研修をしているところがあり、その時期しか使わないので3カ月だけ使ってあとは寝かしておくというケースがあります。われわれも当初は、思いつかなかった用途です。

―― そういうところにもサスペンド機能は使えそうですね。

堂前氏 (Wi-Fiルーターの)レンタル事業者もそうです。今までだと在庫が回転しないと、とたんに負担になるリスキーなビジネスモデルでした。

佐々木氏 あとは、ウェアラブルの話もチラホラとあります。ただし、ウェアラブルだとどうしても、チップを端末内部に組み込まなければならない。プラスチックのSIMカードだと口が開いてしまうので、防水にしようとするとパッキンなどの処理が必要になってしまいますからね。例えば、子ども向けの端末などはあると思います。あとは、家電メーカーとの話も進めています。

阪本氏 ライフサイクル管理は他社でやっているところもありますが、国内で大容量通信できるのは、ドコモさんと直接やっているからです。IoT向けのお得なプランも出しますし、一方で10GB、20GBといった大容量プランも出しています。

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