―― SIMカード単体なのは、なぜですか。中古端末などの販売は考えているのでしょうか。
石田氏 グループ会社に(中古端末販売の)イオシスがあるので、社長とも緊密に話をしています。端末サイドから見ると、SIMカードを決めてから買いに来る方がかなり多いとのことですが、いつでも連携できるような準備はできています。TSUTAYAの店舗にも、イオシスと連携したリユース店が入っているところがあります。連携はお店側の判断にもなりますが、すぐにできるようにはなっています。
―― 他社もやっていますが、新品やCPO(Certified Pre-Owned=整備済みの中古)はいかがですか。
石田氏 うちが扱ったとしても、他に勝てるのかという問題があります。蔦屋書店や蔦屋家電ではiPhoneを扱っているので、CCCとしてはつながりも多いのですが、台数のコミットなどもあるので、そこでは勝負しない方がいいと思っています。
―― 反響はいかがでしたか。
石田氏 非常に面白かったのは、ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)でご紹介いただいた際に、反応が3倍ぐらいあったことです。視聴率が同じだと仮定した際のWebへのフィードバックを見ていましたが、それが3倍ぐらいありました。(視聴者の)iPhoneに対する当事者意識はすごいと実感しました。
また、加盟店やそうではないところからも、お話をいただいています。iPhoneと子どもという組み合わせには、明確な市場があることが分かり、手応えを感じています。個人的な話ですが、SNSでも知り合いからの連絡が多かったですね(笑)。
―― これまで、せっかく端末を作ってきて、iPhoneだと話題になるというのは少し寂しくないですか。
石田氏 完全解がTONEのm17であることに変わりはありませんが、これはあくまでプロダクトとしての完全解であって、マーケティングとしての完全解ではないということです。iPhoneを欲しいと思われる方は、やはりたくさんいますからね。
ただ、将来的にAppleがどういう方向に行くのかまでは分かりません。もちろん、今のサービスも変な技術を使っているわけではなく、Appleの基準を満たすようにやってはいますが、分からないところもあります。ですから、常に自分たちでコントロールできる完全解は持っておかなければなりません。
―― 狙いとしては、これまでのサービスよりも、高い年齢層なのでしょうか。
石田氏 もともと、トーンの狙いは小中学生とシニアでしたが、今回はもう少し上の、高校生や大学生も狙えると思います。大学生でも親が料金を払っているケースがあり、心配しているというニーズがあります。
―― 大学生にもなれば、見守りは不要なようにも思えますが。
石田氏 緩やかに見守るぐらいでいい。そういうニーズもあると思います。最初の時点であんしんモードを出さないのも、iPhoneを使える方が、そこまで細かなコントロールをしたいのかどうか分からなかったからです。簡単に使えて、位置情報とフィルタリング、あとはIP電話でシンプルに出したいと考えました。
―― 動画やアプリのダウンロードに制限はありますが、その他の通信は完全に定額です。他のMVNOと比べても安いと感じますが、もっと広い層を狙ったりはしないのでしょうか。
石田氏 過去の反省から、まずはターゲットを明確にしています。これだけMVNOが厳しい中で、生き残っていられるのも、ちゃんとしたメッセージを出し続けてきたからです。これを360度にしてしまうと、どこの誰かが分からない存在になってしまいます。
―― その仕組みで、ネットワークの負荷は高くならないのでしょうか。
石田氏 使う人のためにコストがかかりますが、使う人の大半は動画とアプリのダウンロードです。うちはそこだけを(1GB、300円のチケット制にして※)切り出しているので、(ピークが)大きく変わってきます。他社に比べても、ネットワークのコストは非常に低くなっていると思います。ユーザーも、切り替えを意識する必要なく使えます(自動で動画などを再生したときだけチケットの容量を消費する)。
ただ、iPhoneはアプリの監視ができず、(特定のアプリを起動したときだけ高速にする)自動適用ができません。そのため、iPhoneは3D Touchを使って、アプリを起動する必要なく(高速モードに)切り替えができるようにしています。本気でやろうと思えば、交換機側で(動画などのチケットの対象になるアプリの通信を見分けることも)できますが、DPI(Deep Packet Inspection=パケットの中身を見て、通信内容を判別する装置や仕組みのこと)にはいろいろな問題もあるので、そこはやらないようにしています。
―― 高齢者向けはいかがですか。iPhoneの場合、年齢層を問わずに使われていると思います。
石田氏 アップデートのときに考えています。ニーズは全く違いますが、トーンモバイルがもともと持っているソフトウェアで対応できます。ですから、シニア向けも準備しています。
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